大垣山岳協会

ガラ場の急登百名山・蓼科山 2025.06.08

蓼科山

【一般山行】蓼科山(2530.3m Ⅰ等△) 長野県茅野市 NT

 元来百名山に疎く蓼科の名は知ってはいたが高原の高み程度の認識で有った。今計画で八ヶ岳北端近くに聳える百名山と知り、地形図から富士山のイメージを想像し臨んだ山である。従いザラ場の急登を予測していたがガラ場の連続に大汗を掻きカラマツの柔らかな芽出しと緑深い樹林に己の登山観を洗われた報告である。

  • 日程:2025年6月8日(日)  天候 曇り
  • 参加者:L.TS、UT、OS、KM、KY、GY、SM、ST、NT、MK、MY、YH、RH、YT、WY、体験1名
  • 行程:女ノ神茶屋登山口8:51 蓼科山頂12:07~50 登山口15:17
  • 地理院地図2.5万図:蓼科山(長野12-3)

 駐車地からビーナスラインを100mほど引き返し登山口から入山した。低い笹丈の高原状の緩やかな斜面にシラカバとダケカンバの木が混在していた。

 シナノザサの丈が低い、この近辺もシカの食害が進んでいるようだ。笹原の傾斜が増してくると木の根が階段をつくり火山特有の丸い石が道脇に現れて来た。

 本日参加中最年少TU嬢、春の岩登り講習以来の参加、コンパスを使用して進行方向を確認中、岩講習もそうだが山登りは学ぶ気持ちが強いほど成長が速い。

 柔らかいカラマツの新芽が萌黄色に頭上で燃えていた。その林をぬけると深い緑のツガやシラビソ、オオシラビソの混合林となって暗く感じた。

 林の中の大石の川を遡る。不規則に重なった大石を跨いで超え、踏んで越え、隙間の小石の浮石に気遣いして越えた。苦行に近い行軍に太ももの筋肉がピクピクと駄々をこねた。

 急登を終えて平坦部になるとリーダーの「休憩!」の声にヤレヤレ、周辺にはミツバオウレンとマイヅルソウの小花がいじらしく咲いていた。

 当日は曇り空だったが急登に汗が滴った。水分補給を怠らずザックは肩から下ろして休む。
奥美濃と違い行き交う登山者が多い道を空けて休もう。周辺の石などに腰を降ろした方が疲労は抜けやすいようだ。

 辛い登りに顔をあげられない。女性陣のゆとりのへっちゃら顔とは対照的だ!その先のオオシラビソの白化した枯れ木の景色を見るゆとりも湧いてこない。

 歩き辛い大石の階段の行軍が延々と続きヘロヘロ、行く手にロックフィルダムの堰堤のような大岩の壁が見えて来た。女子大生のパーティーがパンパンに膨れた60ℓほどのザックを脇に置いて休息していた。担げない自分が恨めしく彼女達の若さが眩しかった。

 ロックフィルダムの大堰堤のような岩塊が重なり合って行く手を阻むように白い空へ続く、所々にオレンジ色のポールが有って鎖やロープが見えていた。

 山頂まで最後の胸突き八丁を前に取り敢えず休憩、水分補給や栄養補給で体力回復を図る。
大岩群は長い年月をかけて、それぞれが複雑に旨く嚙み合って浮石は少なかった。

 無造作に将棋台に駒を積み上げたように見えた岩塊だが、それなりにルートが整備されている。百名山登山者の靴で踏まれ摩滅した岩は白くコース外のそれとは明らかに違った。

 大岩の上を歩いたり、飛んだり、隙間に身体を入れて攀じる。これまで大汗を掻いて登って来た苦行の疲れが何処かへ消えていた。やはり岩は触るだけで楽しくなる。

 山頂と思しき上に人が見えたがルートは右へ導く、その先に山頂ヒュッテが有った。北面からのコースに合流すれば山頂は近い、最後の踏ん張りと声を掛け合い励ます。

 山頂着お疲れさま、一人の脱落者も出さず皆よく頑張った。パーティー登山は全員登頂に意味が有る。弱者を上手に導くのもリーダーの力量である。山頂は大勢の人で混み合っていたが山名柱周辺が空いた隙を捉えて集合写真が撮った。

Ⅰ等三角点石柱(点名・蓼科山)は風化が進んでいたが欠けもなく大きかった。

 山頂は平らな噴火口痕で広い。平地中央の蓼科神社奥宮付近は人がいない、混み合う山頂を避けて移動した。Tちゃんに教わったミネズオウの花、他にイワカガミも綺麗だった。

  蓼科神社奥宮の近くに陣取りランチタイムを過ごした。Tリーダー手作りの山椒実入りフキの煮つけを御相伴に預かり舌鼓を打つ、絶品だ!我妻に食させ・・・・・

 登山口周辺には奥美濃で見慣れない白い花を見た。グミかなと思ったが違っていた。綺麗で目立つ、メンバーに尋ねられたが答えることが出来なかったので帰宅後調べると「ズミ」という木の花のようだ。

 登りも辛かったが帰りも長く遠かった。よく此の急登を我慢して登ったと感心しつつ下山した。何より全員がへばることなく登頂、ケガもなく下山出来た。リーダーの手腕も有るがパーティー登山をメンバーが理解している証である。
 体験参加のMさんは山行中に会員とよく会話を交わされており安心した。立派な体格、しっかりした足腰、我々から見た彼の印象は良く、当会の若手と岩、沢、山スキーと意気投合出来ると思われた。入会に前向きなようで心強い仲間が増えそうだ。
 当会はほぼ毎週山行を行っており入会は「来るもの拒まず」である。体験参加は随時実施しております。完

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