大垣山岳協会

鈴鹿の奥座敷周回・カクレグラ(水谷岳)、タイジョウ、杉峠 2025.06.06

水谷岳(カクレグラ)

【個人山行】カクレグラ(水谷岳990mⅡ等△)、タイジョウ(1061m)滋賀県東近江市甲津畑 NT

当会7月のイブネ山行計画を前にカクレグラからタイジョウ、杉峠を周回した報告である。
昨年初めてイブネを訪れ鈴鹿の奥座敷に魅了され以来7度目の鈴鹿通いで有る。

<ルート図>
  • 日程:2025年6月6日(金)  天候 晴れ
  • 参加者:L.NT、SE、HT、MT
  • 行程:藤切川鳴野橋駐車地7:00 カクレグラ南西尾根取付7:19 カクレグラ山頂8:55 向平西9:47 千種街道下山路分岐10:28 タイジョウ11:15 タイジョウ・イブネ・杉峠分岐12:21~51 杉峠の頭13:00 杉峠13:13 タイジョウ分岐14:56 駐車地15:48
  • 地理院地図2.5万図:日野東部、御在所山


 鳴野橋手前の駐車地を出て林道を徒歩15分で山側斜面に急な鉄階段が有り登った。鉄階段を登り終えると急斜面を約70m、靴の滑りをこらえ息を切らせて尾根芯に出た。

 尾根の踏み跡はしっかりして目印も多かったが所々で何度か木々の下潜りが有った。これが身体が固くなった老体には辛かった。しかし花期は過ぎていたが尾根を埋めるほどのイワウチワの大群落の新緑葉に元気をもらった。

 水谷岳山頂着、木の幹には「カクレグラ」の山名板が括られていた。東近江市の案内標識は水谷岳の表記であったが若者には別名の「カクレグラ」表記の方が人気なようだ。

 山頂三角点(990.3m点名・佐目村、Ⅱ等△)文字面が北向きで珍しい。石柱天端が欠かされており残念、三角点石柱は明治期国土測量の遺物である大切にして欲しい

 山頂の先は写真のように明るい林で確認もせずつい誘われるように成り行きで進入した。
写真を撮った直後に進行方向を念の為にコンパスで確認すると進路が全く逆でパニックに。
だが冷静に地形図をよく見れば50mほど登って来た方角へ引き返せばタイジョウへ向かう尾根の分岐が有ることが解る。思い込みや成り行きは危ない。又、山に教えられ猛省した。

時折大きな木も有り少しずつ緑が濃さを増す気持ちの良い尾根歩きを楽しんだ。

 南東の962mピークの「向平西」、そして911mピークを順調に越えたコルで、駐車地を出発以降初めて案内標識を見た。実は当会は7月に此のコルと千種街道を結ぶ谷コースからタイジョウを経てイブネを登る計画で有る。その下見も兼ねての今山行でもあった。おそらく千種街道から谷沿いに此処まで、以後もタイジョウ迄、いやイブネ迄この種の目印が200m毎に案内してくれるのだろう。

 コルを過ぎるとレスキューポイントの立札が200m毎に出て来た、一般道を歩いているようで緊張感が緩んでしまう。だが登山者と出合うことはなく自分達の登山は続けられた。

 タイジョウ1061mへ最後の登りは大きな岩塊が折重なったカルスト地形状の岩場だった。
目印は北の尾根へトラバースしていたが何処でも登れそうなので直登した。しかし、最後は壁に阻まれ右へ捲いて直上したが抜け出しが滑りやすい腐葉土斜面の急登でバランスを強いられた。岩登りや沢登りで最後の草付の直登抜け出しと同じだ。甘い判断で仲間に嫌な所を登らせたと猛反省している。

 タイジョウ1061mの山頂は展望こそ効かないが緑のシャワー浴びが出来る感じの良い所、三角点の無いのが残念、東近江市のレスキューポイントが山頂山名板の役割を担っていた。

 尾根では朱色のヤマツツジが一際目を引いた。他にサラサドウダンが控えめな薄ピンクの釣鐘状の房をたわわに提げていた。シャクナゲは裏年のようで花は少なかった。シロヤシオ(ゴヨウツツジ)の木々は多かったが既に花期を終えていた。

 細尾根や急斜面での木の根が丸出し個所も多かった、雨降りで濡れていると滑りやすく緊張の糸を張り詰めで疲労も増すと思われた。

 シャクナゲの群落に覆われた1084mのピークを越えて細尾根を登ると行く手に崩壊地が現れた。佐目子谷川の崩壊は登山道の際まで侵攻しておりいずれ消えると思われた。振り返るとタイジョウと奥に薄くカクレグラが見えていた。

 イブネ・杉峠分岐の手前50mほど離れた風通しの良いシロヤシオ、サラサドウダンの多い萌黄色のシャワーが注ぐ下でランチタイムとした。分岐まで行けば人通りが多くなるはずで敢えて避けた。人に会わず静かに仲間だけでランチタイムを楽しみたかった。

 イブネから杉峠へ至る道は昨年歩いている。偶然だがメンバーも同じだ。記憶では本日歩いたカクレグラ(水谷岳)からタイジョウの尾根道とは比較にならぬほど明瞭なはずである。
杉峠の頭1121mでもヤマツツジやサラサドウダン、シロヤシオに歓迎された。

 杉峠に立つ枯杉、昨年は此処から神崎川源流へ下り根の平峠を越えて朝明渓谷へ下山した。
今日は逆方向の渋川へ下りる。これでほぼ千種街道の山道は歩いたことになる。峠から古木の林立する斜面を九十九折に下ると湧水が有りカップで飲むと最高に美味しかった。

 「一反ぼうそう」「向山鉱山跡」「シデの並木」「蓮如上人旧跡」と千種街道の名跡説明札を見て下る。写真は蓮如上人旧跡地のクマシデの古木、他にも街道沿いに巨木、老木を多数見た。蓮如上人旧跡地では古井戸の先にタヌキの歓迎を受けるも写真は撮り損ねた。

 渋川本流では渡渉を何度か行った。梅雨前の不安定な天候で雨が多かったせいも有って当日は水量が多いようだった。雨の程度に寄るが降雨時の渡渉は危険と思われた。

 街道の本流や支谷に架かる木橋を幾つか渡ったが総じて古く「通行止め」の札が置かれ使用不能の橋も2橋あった。

 この橋は傾いており相当の勇気がいる。手摺り用のロープが張って有ったので踏み抜いても下まで落ちることはない。最重量の小生が先に渡り落ちないことを証明して皆が続いた。

 ツルベ谷出合と塩津々集落遺跡を過ぎて避難小屋の有るタカジョウ分岐へ着いた。7月にはこの分岐から911mピークの東コルへ突き上げる谷道を使う予定であるので入口を確認した。進入口の道は明瞭で吸血ヒル以外は問題はないと思われた。

 駐車地が近くなった林道の膨らみに上写真の千種街道の案内が掲示されていた。昨年クラシジャンダルムやイブネを知って以来鈴鹿の奥座敷へ7度も足を運んだ。古道の山道を歩いて歴史や遺跡に触れた。また通った中で2度もミスを起こしそうになった。中々満点の登山を継続することが難しく山の神に教えられることが多い。しかし、ミスは「伸びしろ」「成長過程」と信じ山に通っている。大垣山岳協会はそんな山ヤの集団である。一緒に山を楽しみ集う仲間を求めています。完

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