大垣山岳協会

広い山頂台地の庭園巡り・鈴鹿御池岳 2025.05.13・15

御池岳

【 個人山行 】 鈴鹿・御池岳( 1247m 三角点なし ) 滋賀県東近江市君ヶ畑町 NT

 御池岳は関ケ原から近く市民登山などで過去に2度ほど訪れたことが有るが印象の薄い山であった。ところがこの度訪れて山頂台地の庭園風景と新緑にすっかり魅了され2日に渡り散策した報告である。(上の写真は元池と御池岳山頂である)

  • 日程:
    • 5月13日(火)コグルミ谷~御池岳~鈴北岳~鞍掛峠~鞍掛トンネル東口
    • 5月15日(木)コグルミ谷~御池岳山頂台地~鈴北岳分岐県境稜線~コグルミ谷
    • 天候 両日ともに晴れ
  • 参加者:NT、WY(13日)
  • 行程:
    • 13日 コグルミ谷登山口7:32-カタクリ峠8:40-御池岳9:49-鈴北岳11:00-鞍掛峠11:53-鞍掛トンネル東口駐車地12:00
    • 15日 コグルミ谷登山口6:56-カタクリ峠8:13-御池岳9:10-奥ノ平9:21-ボタン淵9:39-御池岳10:00-サワグルミの池10:21-真ノ池10:24-元池10:34-鈴北岳・県境尾根分岐10:48-鈴北岳分岐11:32-コグルミ谷登山口13:06


 5月13日は鞍掛トンネル東出口駐車地を利用、15日はコグルミ谷登山口下の駐車地を利用した。両駐車場共直ぐに満車状態となり路上駐車禁止の看板を幾つか見た。

 カタクリ峠を過ぎてシロヤシオを確認したがカタクリは養分不足で小さく絶えそうだった。

 13日、コグルミ谷に入って直ぐの岩場でシマリスの歓迎を受けたが突然でシャッターチャンスを逃した。7合目から8合目付近でよく見ると聞いたが13日も15日も見ることが出来なかった。15日は犬連れの登山者が直ぐ前を歩いておりその影響が有ったかも。

 真ノ谷分岐から谷沿いの斜面を埋めるバイケイソウの群落に目を見張った。以後山頂までの斜面や山頂台地の至る所に群落を作っていた。時折鹿が食んだと思われる葉を見た。毒成分が強いはずだが鹿も飢えには勝てなかったのだろう。

 カルスト地形カレンフェルトの山頂は尖った石が多く休息に腰を下ろすには不適であった。展望は良くないが東の三重県側は開けていた。三角点が埋設されておらず少し寂しい山頂だが鈴鹿山脈の最高峰で人気が高くウィークデーであったが駐車地は満車だった。

 13日は当会の会報郵送日で山頂台地散策のゆとりがなく早々に下山した。だが広い台地の空間を埋める芝草と苔、梢をくねらせ風雨に耐えた枝先と新緑、自然の造形美にすっかり魅せられ再訪を決めていた。15日に再度訪れると先ずは南東の奥ノ平を目指した。

 山頂台地の所々が網で囲まれ笹の植生保護が図られていた。嘗て霊仙山や藤原岳等鈴鹿の山は笹で覆われていたが無残な禿山となって久しい。奥ノ平周辺は雨水で用土が流出し浸食が進んでいた。鹿の食しないアセビが懸命に保全に寄与していた。

 奥ノ平の展望は霞が邪魔をしなければすこぶる良いと思われた。ランチタイム場所に最適だが時間が早いのでボタン渕を目指しゴルフ場のコースのような丘陵地を下った。

 ボタン渕西面は500mの断崖で御池川の支谷へ落ちており西から南の展望は抜群で有った。天狗堂や日本コバ、御在所、雨乞岳等滋賀県東近江側の山並みが眺められた。

 天狗ノ鼻と呼ばれる岩が断崖から突き出ていた。霊仙山や伊吹もそうだが石灰岩の山は奇岩や断崖を形成しているのを見ることが多い。ここで登山者1名と出合い挨拶をした。

 天狗ノ鼻から風池を左下に見て御池岳へ引き返す。御池岳や周辺の山頂台地は全て滋賀県であるが何故か三重県いなべ市の案内標識が多い。県境稜線はカタクリ峠から鈴北岳、鞍掛峠へと続いているが、そこから御池岳と山頂台地は600m以上も滋賀県に入っている。事故防止の為の標識であるが地形図を持参しない現代の登山者は勘違いの遭難事故を心配する。

 御池岳を経由し尾根歩きでサワグルミの池、南池経由で真ノ池を目指した。山頂を出て5分ほどのところでシマリスが突然現れ枯れ木の上をチョチョロ、慌ててカメラを取り出したがまごまごして、またしてもチャンスを逃がしてしまった。(写真はサワグルミの池)

 南池から5分で真ノ池に出ると真ノ谷コースに合流、道脇にドリーネを幾つか見て進むと左手上に庭園風の景色が広がって来た。尾根へ上がると鈴北岳と元池の分岐があった。

 登山靴で踏まれ凹んだ地道を進み振り返ると高原台地に不規則に距離を置いた岩や灌木、まばらな新緑の立ち木が景色を造っていた。自然の織り成す造形美に時間を忘れた。

 たおやかな高みの御池岳が「丸山」と呼ばれる所以が納得できる景色だった。本日訪れた5ツの池で元池が一番大きい。ふわふわの芝草絨毯を踏んで薄い雲と空を映した池を周回すると草むらで戯れた子供の頃の遠足を思い出すのだった。

 石灰岩の大石が無造作に転がるカルスト地形の丘、芝草と大石と高みの林の新緑のバランスが何とも素晴らしい、自然の造形は何時間眺めても飽きない景色と思われた。

 13日は鈴北岳から鞍掛峠経由でトンネル東口へ下りた。15日は鞍掛峠からの登山者を目前に見て鈴北岳手前で東に向きを変えカタクリ峠を目指して県境稜線を下った。

 県境稜線の歩行も新緑の高原散策気分が満喫出来て素晴らしい景色の連続であった。元池でもそうであったがメインコースから外れると誰にも会わず景色を独り占め出来た。

 真ノ谷を隔て右奥に奥ノ平を見て見通しの良い尾根を進む、前方の芝草と立ち木のマッチングも芸術的であった。所々で鹿の糞を見たが彼等が林床の芝刈りをしているようだ。

 陽射しが届く林の中はシマリスの生息地に適しているように思われ用心して歩いた。棲み処に適したカルストの岩場も何ヶ所か有ってその度に立ち止まって待ったが会えなかった。

 コグルミ谷からのコースに合流するとシマリスと出合えそうな8合目と7合目中間辺りで昼食休憩をとりながら待った。20分ほど待ったが嫌われているようで諦め下山した。

 御池岳はクマガイソウの植生地で有名だ。この花を見る目的で訪れる登山者も多いようだ。小生も訪れたが群落の上下は丸太で保護されていたが規制範囲が狭く左右には規制のロープも無かった。クマガイソウは地下茎が長く1m以上になるそうだ。植生地の用土は水分を含み柔らかく1m以上は離して立ち入りを規制しないと用を成さない。

 群落の直ぐ近くまで大勢の見物者に踏み固められた用土は20㎝ほども陥没していた。地下で茎は1m延びているのである、踏まれて相当痛んでいると思われた。

 クマガイソウは環境省のレッドリストの絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。此処のクマガイソウはいずれ消滅するのではと危惧している。以後しっかりとした保護策がとられるまで御池岳のクマガイソウ見学は慎もうと思っている。完

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