大垣山岳協会

2025年春の市民登山・貝月山 2025.04.27

貝月山

【 月例山行(市民登山) 】 貝月山( 1234m Ⅱ等△ ) 揖斐川町坂内坂本字品又 NT

 2025年春の市民登山は藤井利定リーダーの下に46名の参加で貝月山で行われた。我々が日頃慣れ親しんだ地元の山であるが近すぎて応募者減を心配したが昨年の御嶽山以来馴染みの顔に出遭えてホッとした。雪を抱く県境の山並みを市民の方々と眺めて至福の時間を過ごした報告である。

<ルート図>
  • 日程:2025年4月27日(日) 天候 晴れ
  • 参加者:FT他46名
  • 行程:揖斐高原スキー場8:16-第2リフト分岐9:14-小貝月山10:42-貝月山11:16~12:07-揖斐高原スキー場14:27
  • 地理院地図2.5万図:横山

 1班から4班に分かれ点呼を終えると各班リーダーの指示で連絡員各1名を従えてスタートした。無雪期のスキー場跡は芝が植えられ盛土で区画されたオートキャンプ場となっておりゴールデンウィークを家族で過ごすキャンパーの大型テントが並んでいた。

 冬季直登するゲレンデの斜面は幾筋もの亀裂が出来て通行禁止となっていた。第2リフト終点跡へ通ずる林道を歩き登山口のある尾根へ取り付くと萌黄色の新緑が眩しかった。

 第2リフト終点跡(点名・貝月Ⅳ等△802.9m)から延びて来た主尾根へ合流した。リーダーの「休憩」のコールにザックを降ろし額の汗をぬぐった。最後尾の4班はリーダーの指示で現在地を地形図で確認しており市民の方々に読図による登山を説いていた。

 標高960m辺りで貝月谷側東斜面をトラバースした。タムシバの白花が3~4輪と盛期を過ぎて花びらを落とし少し寂しい。視界が開けると残雪を抱いた能郷白山が前山と一体となって白く大きな山塊で見えた。まだまだ県境の山々は残雪が豊富であった。

 「イワウチワ群生地」の看板を幾つか見たが群生地と言えるほどの「群落」は見当たらなかった。シカの食害で少なくなったとの声が漏れ聞こえてきた。

 班別に時間差をつけて出発したが最後尾の4班は既に3班に追いついて休憩も一緒に行うようになった。せっかくの市民登山である大いに袖を触れ合って欲しい。

 貝月谷から吹き上げる風は谷の残雪の冷気を含んで冷たかった。それが汗ばんだ身体に心地よくて市民の足取りも快調、この分なら落伍者もなく全員山頂へ行けそうだ。

 小貝月へ向かい左上して尾根へ上がる斜面に雪が残っていた。此の急斜面、冬は深雪で足が上がらずラッセルに苦労する所だ。今日は靴先を鋭く蹴り込みキックステップで登った。

 小貝月山への最も急な傾斜地1170m辺りにも雪が残っており深いステップが切られていた。冬季はこの斜面を小貝月山頂へ直登するが下山時には高度感がある。雪が堅いと貝月山冬期登山で唯一ピッケルとアイゼンが欲しくなるところである。

 小貝月山頂下のトラバースで休憩、東と南の展望が開けて眺めが良かった。足下の谷を東に目で追うと旧春日村美束の「長者の里」が見えた。その背後に鍋倉山が尾根を南へ延ばし六字ヶ峯と鎗ヶ先とで山塊を形成し粕川に向かって急傾斜で落ちていた。

 南正面の鞍部は国見峠で左の高みは国見岳、右の高みが虎子、国見峠の奥に鍋を伏せたような山容は伊吹山で大垣から見るアルペン的な容姿と全く異なっていた。

 小貝月山から目指す貝月山山頂展望台を右前方に見て尾根は50m下降しながら西に弧を描いて小さな起伏を2度繰り返すと小規模のブナ林となった。小貝月からリョウブ等の低木帯となっていたが山頂手前で急に現れるブナの太い高木に見とれた。

 山頂着は1班と最後尾の4班では10分ほどタイム差があったようだ。山頂は今日の市民登山参加者がランチタイム場所を自由に選べるほど広い。北に能郷白山から西に県境の山並みが白い帯で見えていたが春霞で白山や北アルプスは見えず少し残念であった。

 各々、気の合う仲間と好きな場所を求めて小グループに分かれた。腰を下ろした背後の新穂峠の西に雪を幾筋か残した金糞岳が長い北尾根を坂内まで延ばしていた。

 この山頂を西に下った鞍部が日越峠で日坂と春日千疋を結ぶ古道が今も地形図に破線で記載されている。その峠を挟んでブンゲンの双耳峰が中腹に雪を白点で残し見えていた。

 この日の山頂は幸いに我々だけ、集合写真は展望台を貸し切って行った。

 天候に恵まれ事故もなく山頂に到達した。白山や御嶽、乗鞍、穂高を始めアルプスは春霞に邪魔をされたが雪を抱く奥美濃の山並みを眺めることは出来た。市民とふれあう中で山の魅力の発信や読図力の向上など共有できる場になればと願っている。秋には高島トレイルの赤坂山を予定している。会員一同更に研鑽を積み多数の参加をお待ちしています。完

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