【 個人山行 】 烏帽子岳( 865m Ⅲ等△ )、狗留孫岳( 772m △なし ) 大垣市上石津町細野 NT
今年3度目の烏帽子岳である。狗留孫岳からの県境尾根下降に2度失敗し3度目となった。何度も同じルートからでは能がない、今回は烏帽子東尾根と熊坂谷をルートに加えた報告である。三度目の正直となるか?

- 日程:2025年4月3日(木) 天候 晴れ
- 参加者:NT 単独
- 行程:細野登山口8:33-東尾根取付8:53-標高720m細尾根10:15-烏帽子岳10:46~11:05-狗留孫岳11:35-古田分岐11:48-標高430m県境・前回ルート出合12:21-熊坂谷大堰堤12:47-林道出合12:52-細野登山口13:19
- 地理院地図2.5万図:篠立
初めてのルートに少し胸がワクワクし細野登山口から離れ坂道を熊坂谷へ下りた。輿越峠と一軒家・メダカの学校への橋を横目に遡る。熊坂谷と支谷に挟まれた目当ての東尾根末端に着いたが護岸が3mほどの石垣で川へ降りられない。上流へ向かって渡れそうな所を捜して進み狩猟小屋を過ぎると道は左岸へ渡った。獣害柵横から尾根に取り付いた。

取付きから傾斜地を30mほど登りきると棚田状に細かく区画された杉林が広がっていた。明らかに水田の跡で、こんな高い所に有るということは隠し田だったのでは?と想像した。

地形図で急傾斜地が幾つか予想できたのでアイスバイルを準備していた。ズルズル滑りやすい傾斜地に有効だからだがピックを使うことはなかった。好天が続き斜面は乾いていておりストック代わりに石突きは使用した。疎林を歩けば植林帯の藪が薄く見え、植林帯を歩けば疎林の方が楽に見える。右に左にうるさい藪を敬遠して登った。

標高720mで山屋のものらしき目印を見た。下の植林帯でも見たが山仕事用みたいであった。此処から標高750m迄は地形図を見ると細い所が有るので期待していた。先日霊仙山南の「コザト」で細い岩稜が有った、烏帽子も岩が多くもしやの期待が有った。

期待した岩場は無く一番細い所でも写真程度であっけなく通過した。今日は一人で有ったので少々の悪場が有っても越えられる準備はしていたので物足りなかった。

尾根が細くなってシャクナゲが出て来た。今年は裏年なのだろうか「花芽」が少ないようで捜してもこの程度。我が家の庭の蕾はもう割れてピンクの花びらが開きかけている。

細尾根が終わった辺りにイワウチワの群生が有った。東斜面の日当たりのいい一等地で蕾を膨らませピンクの花びらを覗かせている。

標高720mからの細尾根は登山道と見間違えるほどよく踏まれていたが標高800mを過ぎると山頂斜面はアセビとシキビ、リョウブのヤブ漕ぎとなった。狭い細尾根は獣も通行場所を限られるが斜面は各々好きな所を選んで歩くからであろう。

山頂直下10mほどの東斜面は休憩の為などに切り開きが幾つか有って踏み跡も有った。東尾根は初めてという以外に特段の発見もなく感激は薄かった。誰も居ない山頂で東と南の景色を眺めながらランチタイムを過ごした。

今日は狗留孫岳から長楽寺分岐、古田分岐を経て円弧状の県境尾根を忠実に下降して熊坂谷へ下降する目的が有る。山頂で高度計を865mに合わせた。そして20分ほどで食事を済ますと狗留孫岳を目指した。

烏帽子岳からの県境稜線は起伏が少なく熊坂谷へ続く谷筋は広く穏やかで鹿の食害が無ければ緑豊かな広尾根で有っただろうと思われた。

先日訪れた際には雪雲で見えなかった御池岳と藤原岳が今日は良く見えていた。谷に幾筋か雪を蓄えていたが山頂稜線の雪はまばらで直ぐに無くなりそうなほど薄かった。西には先日雪雲が隠していた鍋尻山も見えていた。

長楽寺分岐を過ぎ古田分岐で先日回収し損ねた当会の目印を一本見つけ回収した。此処でコンパスの進行方向を県境尾根の650mに合わせ高度計も確認した。今回は50m高度を下げるごとに修正する。常緑樹の枝を払って分け入り下降した。

片手でコンパスの指針を見ながら下降したがどうもこれまでの直滑降ルートに誘引されそうな状況だ。敢えて左方向を意識して斜面を下ると樹木が生えていない林道の終点のようなザラ場が左下に見えた。地形図をよーく見れば標高670mから650mでグイっと左へカーブしているのだから此処でもう一度コンパスを修正するべきなのだ。

ザラ場の先端に立つと此処から尾根らしくなって急傾斜が下へ続いていた。ザラ場の端に当会の残したと思われるピンクのテープが常緑樹の枝に括られていた。県境尾根は尾根といえないほど急でヤブは濃いとは言えないがうっとうしい。ルートとしては先日の直滑降ルートが切り開かれており歩きやすかった。ルートとしてはあちらが正解だろう。

県境尾根最初の目印からは50m毎に高度計を確認してコンパスの進行方向を修正した。やがて標高500mを過ぎると先日間違えた尾根が近くなった。標高430m見覚えのある古い二重巻きのリボンが両尾根の合流点であった。これで懸案の県境尾根の下降は片付いた。
さて次の課題である。先々回来た時より地形図に記載の有る古田から延びて熊坂谷へ下りている破線の道が気になっていた。既に廃道は確認済みだが今回はこれを下る予定だ。

20mほど引き返してコルより下れば緩傾斜なのは判っていたが古い道跡が有るかもと地形図の破線通り谷芯へ下ったら斜面は結構な傾斜だった。アイスバイルを持参しており少々の傾斜地でも下れる自信はあった。谷はV字に削られ岩は苔むして嘗ての道は痕跡すら見つけられなかった。

熊坂本谷への出合付近はV字の谷を大量の倒木が埋めており通過できる状況ではなかった。本谷右岸をトラバースして本谷へ下りた。岩がゴロゴロした本谷を一旦左岸へ渡り下っていると大きな堰堤が現れ右岸へ渡って植林帯へ抜けた。

堰堤は大体岩場の急峻な所に造られる。高捲きが厄介かも?と思っていたが意外や簡単に抜けられた。捲いた林から河原に下りて仰いだ景色は1月に見た景色と同じ。もう一ツ堰堤を越して林道を想定していたが、立っている所がその堰堤が溜め込んだ砂利の上だった。

林道歩きの途中でカタバミの花が開いているのを見て何とも可愛くてカメラに収めた。午前中は寒かったが午後になって気温が上がったせいだろう。

懸案だった県境尾根の激下りをやっと忠実に地形図通りに下れた。今年になって3度も訪れしつこい自分の正確に少々あきれる。これが山を長く続けられる秘訣なのかもしれない。春の陽気の中を気分よく細野登山口へ歩いた。完
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