大垣山岳協会

冠山トンネルから若丸山へ 2025.03.22

若丸山

【 個人山行 】 若丸山(1,286.7m) SK

  • 日程:2025年3月22日(土) 天候 快晴
  • 参加者:L.TS、SK、ほか3名
  • 行程:国道417号線冠山トンネル南手前駐車地(駐車)8:00-1,262mピーク分岐10:50-(途中昼食)-若丸山山頂12:45~12:55-分岐14:35-駐車地16:15
  • 地理院地図2.5万図:冠山

 若丸山(1,286.7m)は、人気のある冠山(1,256.6m)の東に続く山だけれども、登山道のないヤブ山である。徳山ダム湖で扇谷の下部が水没してからは、残雪期にヒン谷入口の公衆トイレの駐車場から東に向かう尾根に取り付き、途中から若丸山の南に派生する尾根に入るルートで登られてきた。2023年11月に冠山トンネルが開通し国道417号線が冬季も通れるようになる前は、国道は3月21日頃まで閉鎖だったので、登れる時期が短く登山者の少ない山で、地の利のある当会では、読図訓練もかねて、よく登られてきた。

 ところが、昨冬から417号線が冬季も通行できるようになると、冠山を冠山トンネルの南入口にある尾根から1,262mピークを経由して登るルートがネットで紹介され、関西・中京方面から手軽に登れる雪山として、一気に登山者が増えた。このルートで1,262mピークから東に向かえば、若丸山も大変登りやすくなった。

 ただし、今冬は久しぶりに豪雪過ぎて、雪崩の危険があるということで、国道は岐阜・福井県境区間が通行止めに。ようやく春分の日あたりから通行可となったので、個人山行として、当会会員2名、その他メンバー3名で、この新ルートで若丸山をめざすことにした。

 冠山トンネル手前の擁壁に階段が付けられた取り付き口にある駐車場は、すでに17,8台の車で満杯。少し離れた道路の張り出した部分に車を止め、8:00登山開始。本来なら6:00には出発したいところ。

 擁壁を登ってしばらくが凍結した急登で、アイゼンを装着することにしたところ、1名の冬用の登山靴のソールが両方とも剥がれてしまったため断念ということに。冬靴は、夏の間はしまったままになるので、劣化とかに気が付きにくい。登山前にきちんと確認しておくことが大切と改めて認識させられた。

 尾根は、取り付きと、地図に残る694m、834mポイントを通る登山道(実際には下部が水没し廃道)と合流してしばらくの部分が急登となる。尾根を登高すると、一回皆伐された後の若いブナ林越しに、冠山は雪の中に黒い岩肌を見せ、さらに標高を上げていくと、より鋭い三角錐で眺められる。このルートはさまざまに表情を変える冠山の姿を眺めながら登高できるのが魅力だと感じられた。左手は金草岳(1,227m)。

 1,262mピークが見えてきた、実は丸いこのピークの方が冠山より高い。10:45通過。

 ほとんどの踏み跡が冠山に向かう中、われわれは、越美国境稜線を東の若丸山へと向かう。その先はるかに能郷白山。以前、テント2泊で高倉峠から冠山、若丸山、スギクラを経て能郷白山まで県境稜線を縦走したので懐かしい。

 福井県側の部子山(1,464.3m:へこさん)、銀杏峰(げなんぽ:1,440.6m)の白い姿が近い。

 12:50 若丸山山頂に到着。登ってきた方を振り返ると、手前の釈迦嶺、千回沢山・不動山などの向こうに、笹ヶ峰、三周ヶ岳など奥美濃県境縦走をしたルートが一望のもと。それにしても、テント泊でなければ立てなかったこの稜線に、日帰りで手軽に立てるようになったのは、地元の登山者としては複雑な気分がする。とはいえ、地球温暖化の中、何年か振りの豪雪で、しっかり奥美濃の雪山を拝めてありがたい。

 14:35 1,262m分岐まで戻る。右手に白い荒島岳(1,253m)、その奥に白山がうっすらと眺められた。

 冠山からの登山者のほとんどが下山し終わった尾根は、トレースがぐちゃぐちゃで滑ったり、穴ぼこに足を突っ込んだりしがちで、慎重に下る。それにしても、急斜面の足場が不安定な部分の踏み跡の中心を尻セードしてつぶしている輩(やから)がいるのには閉口。

 16:15 残留メンバーが待っていてくれる国道417号線に降りたつ。

 この新ルートを通っての感想。今日はおそらく50~60名の登山者が入ったのだろう、景色は抜群だけど「踏み跡だらけの山」だった。

 雪山初級者が、経験を積むにはいい山だとは思う。ただし、山に放り出されルートファインディングしながら冒険的な気分を味わう奥美濃の山ならでの味わいは、もはやそこにない。

 その反面、このルートを使えばさらに奥山を目指すことも可能ともいえる。あくまでこのルートは「アプローチ」と割り切って、さらに冒険的な登山を求めていく手もあるなと思った。

<参考>
・若丸山は従来のヒン谷入口の公衆トイレの駐車場から登り、今回のルートで下山する周回も可能となった(時計と反対周り)。しかし、この周回ルートを、時計回りに今回の冠山トンネルからのルートで登り、ヒン谷入口に下るのは、踏み跡がなかったり視界がなかったりする場合、山頂から1072mポイントから始まる明確な尾根に入るまでの区間のルートファインディングがむつかしいので注意が必要。

<ルート図>

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