【 個人山行 】 鈴鹿霊仙山系・リョウシ ( 722m △なし ) 滋賀県犬上群多賀町霊仙 NT
今年は2月の寒波で何処も梅を始め開花が遅れているようだ。それを見込んで2週ほど遅らせ福寿草の花見山行を計画した。山行前日に関ケ原では雪が舞ったが先日訪れた霊仙山は雪が少なくリョウシに至る稜線も新雪は有っても10㎝に満たぬと思って決行した。

- 日程:2025年3月20日(木) 天候 晴れ
- 参加者:NT、SE、HT
- 行程:県道139号藪谷出合ゲート6:53-五僧峠7:55-白谷出合9:00-リョウシ山頂11:35~12:05-コザト分岐13:03-白谷林道14:20-白谷出合15:11-五僧峠16:05-県道139号藪谷出合ゲート17:08
- 地理院地図2.5万図:彦根東部・霊仙山
県道上石津・多賀線で時山集落を過ぎ藪谷を越えるとゲートが有り膨らみに駐車した。此処より徒歩で五僧峠を越える。気温は-5℃で滋賀側に入ると凍結個所が多くなり雪も増えた。保月集落との分岐を過ぎると権現谷沿いの県道には幾つか雪崩跡が有り越えた。

駐車地から2時間を要して白谷出合のリョウシ南尾根末端に着いた。昨年の4月訪れた際に取り付きの斜面のズルズル滑りとグズグズの浮石に手を焼いた。今回はアイゼンとピッケルを準備して挑んだが正解だった。

石灰岩カルスト地形の山稜は急傾斜地が多い。前を行く女史の靴裏のアイゼンの爪が見える。この程度の新雪なら福寿草の花見に全く支障なく群落で撮影会が出来ると思った。

高度を稼ぐ毎に積雪が増えて来て福寿草が隠されていないか少しずつ不安になって来た。快晴になれば春の雪、融けるのは早いと期待したが気温は上がらず指が冷たかった。

カルスト地形、カレンフェルト状の尾根は昨年4月に訪れた際に雪は無かった。だが突起の岩床が歩き辛くルート選定に気を使った。新雪で覆われると困難は増して岩の隙間を足でまさぐり進み時間を浪費した。

振り返ると南に鍋尻山838mその奥に高室山818m何れも雪を載せている。想定外の積雪の多さに戸惑いながらボチボチ福寿草の群生地のはずと目を凝らした。

新雪の吹き溜まりは深い所で膝まで有り福寿草は雪の下と思われた。花見は出来ないかもと諦めムードが漂った矢先に「福寿草見っけ!」HT女史の声、一輪見つけて雪を手で除けると次々に・・・

この日は晴れていたが雲が多く太陽が覗いたと思うと直ぐ隠れるまどろっこしい陽気であった。冷たい雪を破って覗いた花が何とも可憐であった。

花や花芽が雪の下で尾根は迂闊にあちこち歩けない、靴底に雪がくっ付いて地肌が現れるとそこに福寿草の花や花芽があった。

草丈は10㎝ほどで短い、用心して踏まぬように注意して撮影を行った。3人と少人数で良かった。大人数だと雪の下に隠れた福寿草を踏み荒らしたかもしれない。

行者谷を隔てて霊仙南西尾根が白く輝いていた。南西尾根も福寿草のメッカで今日も登山者が多いと思われるが標高が高い分深雪だろう発見は難しいと思われた。

寒さで花びらを開いたものは少なかったが南斜面の岩を風除けにした好条件のマイホームに恵まれた福寿草は陽を浴びて花びらを広げていた。

寒い中で懸命に太陽に向かう福寿草の花々、お花見は佳境で時間を忘れてシャッターを押した。

雪を払えば此の下にもおそらく可憐な花がまだ隠されていそうだった。

寒さに震えてまだ固い蕾、陽射しがせめて30分継続してくれれば開花すると思われた。

日が長くなったとはいえ時間を忘れた撮影会も無制限とは行かない。ぼちぼち発とうか、

撮影を切り上げ再びカルスト地形の岩を縫う難しい歩行を強いられてリョウシへ向かった。対岸に三角錐のスノーピークが格好いい霊仙山南西尾根の1003mPであろう。

リョウシ山頂へ着いてやれやれ、ランチタイム中に下山はコザト経由で白谷林道へ降りると決めた。辿って来たカルストの岩稜帯を戻る気が失せていた。

昨年コザトから霊仙山へ向かい県境尾根を五僧峠へ周回下山する予定で権現谷を歩行中に偶然今日の女傑二人とサプライズ、結果、私の霊仙山へ同行願った。今回はその時彼女らが下降に設定していたルートを採用した。コザト山頂下の標高800mから南東に尾根芯を外さぬように注意して激下りしたが一ヶ所標高670mで細い岩稜に突き当たりたじろいだ。

トラバースが出来そうであったが断崖で躊躇した。ザイルは持参していたが時間ロスがもったいなくて正面から岩稜に上がり細尾根をクリア、さすが女傑見事なバランスであった。

雪のヤブの激下りは衣服もザックもベタベタ、ドロドロ、鬱陶しいヤブだったが枝を掴めるから下れたのだった。白谷のせせらぎが聞こえ出すと杉の植林帯となった。林道が真下に見えると安全な降り口を求めて九十九折に下ったが最後の法面は3mほどの擁壁となっていた。ザイルを使って降りようとザックから取り出すとSE女史が木にぶら下がり身長分下りた所で飛び降りると大胆な発言。アカン!高齢者の骨は脆くアキレス腱も弱いんで。だが、冷静に林道上流側を見ると20mほど先の擁壁が1mほどに低くなっている。斜面には獣が踏んだ跡も、それを辿ると簡単に林道へ降りられた。

白谷林道へ降り立つと雪の上に足跡を見つけた。最初は登山者のものと思ったが、その後谷へも踏み跡が延びており釣師のものと判明した。白谷林道は西向きのせいか雪が深くて今朝下って来た権現谷の比ではなかった。コザトからの激下りで体力を消耗していたので釣り師のトレースは有難かった。この下山口から50分かけて白谷出合、更に2時間を要し五僧を越えて時山の駐車地へ着いた。気楽にお花見山行が結構ハードな山行となった。
この山行で国土地理院地形図の間違いを見つけた。(地形図に記入)我々が下り立った尾根末端は地形図によれば白谷の河原で有るはずだが実際は林道であった。地形図では左岸に林道が記載され50mほど上流で右岸へ渡っている。実際は下りた所から300mほど下流で左岸に渡っていた。コザトの分岐でヤブに飛び込む前に地形図を入念に確認、白谷の河原に下り立つはずであったので不思議であった。帰宅後にGPSとも照合して地形図の間違いに気付いた。完
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