【 個人山行 】 岩巣山( 480.6m Ⅲ等△ ) 愛知県瀬戸市上品野町 NT
岩巣山は名古屋近郊の里山で年間を通じハイカーで賑わうようだ。当会2月の週日山行で有ったが大雪の為に名神高速道路が通行止めとなり山行は中止となった。参加メンバーには日頃の山行で会っていない方が多くMリーダーに再計画をお願いした。しかし、再計画も雨で流れ、再々計画となって参加者が少なくなり少し寂しい報告となった。

- 日程:2025年3月7日(金) 天候 晴れ
- 参加者:L.MY、OS、GY、ST、NT
- 行程:岩屋堂駐車場9:42-展望台10:12-元岩巣山11:10-岩巣山11:27~12:22-岩屋堂駐車場13:15
- 地理院地図2.5万図:猿投山
夏と秋以外は料金無料の有難い岩屋公園駐車場を後に車道から遊歩道に入る。山道なら慣れたものだが地形図で現在地が掴めておらずリーダーとはぐれないよう後を追う。

岩屋堂の大石を見て「アッ、来たことがある」・・・恥ずかしながら、その時は大人数登山で後方から追っかけるだけの山行で記憶に残っていなかった。奈良東大寺大仏造立の勧進で高名な行基が聖武天皇の病気平穏を祈願し此の岩窟で仏像を彫ったと説明書きが有った。

花崗岩の山は一枚岩の大石が多い。道沿いの岩にはロープやワイヤーで落石防止策がとられていた。岐阜では熊や獣は珍しくもないが「熊注意の看板」がありこんな低山にもいるのかと・・・イノシシの生息数は多いようで登山道脇は餌を漁って掘り返えされていた。

デッキを備えた展望台で小休した。白い伊吹山が先ず確認出来て南に霊仙山から御池岳、藤原岳の鈴鹿の山並みが白い帯で見えた。伊吹の手前には川戸から相川山、明神山、南宮山、笙ヶ岳からの養老山系の山並みは黒く見えて名古屋のビル群も青空の下に有った。

大滝コースの分岐を過ぎ風化した花崗岩のザラ場状の道を進んだ。道は起伏が少なく楽チンと思いきや俄かに長い階段が現れて登り出した。

三角点の有る岩巣山は展望が効かないとのことで標高499mの元岩巣山に立ち寄った。北と西の展望が開かれており御嶽山、白山、伊吹山と名古屋市街のビル群が見渡せた。

雪を抱いた大きな御嶽山を眺めて北進し標高499mの鉄塔を過ぎた。岩屋堂からの整備が行き届いた道は東海自然歩道で北の白岩町へ延びている。岩巣山は自然歩道白石分岐から500mほど離れた距離にある。道標に登山者は往復するようにと注意喚起のビラが貼られていた。道迷い事故が多くて地元は迷惑していると思われた。

岩巣山山頂に到着した。三角点石柱(Ⅲ等△480,6m)と何故か寒暖計が木に吊るされており気温を確認すると8℃で有った。風が冷たく吹き抜けてランチタイムを過ごすには不適地で日溜りを捜して周回西進した。

岩巣山頂から直ぐ近くの登山道南側斜面に格好のランチタイム適地を見つけた。花崗岩の岩上が絶好の日溜りで周回して来た元岩巣山と鉄塔(499m)を眺めて歓談に花が咲いた。ところが「友人と離れ離れになった、見なかったか・・・」と、歓談に水を差された。はぐれてスマホ片手に捜し歩いていた。気の毒だが注意喚起のビラは必要だった。

なるほど岩巣山からの周回ルートは季節柄落ち葉が道を埋めているせいも有って幾つかの分岐で間違えて進入した紛らわしい踏み跡が有った。残置目印は多かったが全て周回用につけられたとは限らず他人の残した目印を当てにしない。登山は自ら主体的にやるもの、高みや分岐で地形図とコンパスで確認するのを当たり前にすれば道迷いは避けられる。先程の行方知れず登山者は無事なのを確認したが組織に所属して基本を学んで欲しい。

最後の鉄塔を潜って針葉樹の林の急下降をしていると舗装道路が下に見えて岩巣山周回山行は終わった。標高500m足らずの山であったが良い1日を過ごせた。

今回訪れた瀬戸市は将棋の藤井聡太七冠が居住する街である。当然車中でも話題となった。将棋は「頭脳の格闘技」と呼ばれ特に藤井七冠は切れ味鋭い終盤力で最短手数での際どい一手勝ちを目指す。その天才的詰将棋は芸術的である。私の将棋は全くのヘボでど素人で俄かファンだが彼の対局棋譜は必ず視聴している。
将棋と山登りは通ずるところが有るように思える。ヤブ山や雪山では未知への興味が感性や創造力を育てるところが将棋と似ている。既存の登山道やコースであってもGPSや道標のみに頼って只通過するのではなく、要所で地形図やコンパスと向き合うことで「成り行き歩き登山」から「主体的登山」へと成長出来る。棋士は過去の棋譜研究から未知の領域へ踏み込むようだ。対局者は新手で切り返す。それが天才を生む棋界の土壌になっているようだ。山もコースやルートを先読みし技術や知識の研鑽を積めば単純な事故は減るだろう。完
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