大垣山岳協会

春山トレーニング・小島山 2025.02.27

小島山

【 個人山行 】 小島山( 863.5m Ⅲ等△ ) 揖斐川町春日六合樫原谷 NT

 近頃体力の退潮甚だしく先日来霊仙山、池田山と好天を見計らい退化に抗う日々である。朝の天気を見て小島山でも、と思っていた矢先に女傑2名が小島山へとの情報、しかし、出発時間も登山口の情報も得ておらず旨くゆけば山頂で会えればと朝ドラを見て家を出た。

<ルート図>
  • 日程:2025年2月27日(木) 天候 晴れ
  • 参加者:NT、SE、HT
  • 行程:県道駐車地9:50-滝不動明王院9:57-R尾根取付10:14-白樫山11:19-小島山12:32~13:20-白樫山13:54-白樫登山口14:54-白樫神社15:04
  • 地理院地図2.5万図:池野

 当初は中電L鉄塔尾根を登るつもりで駐車したが準備を終え出発の段になって「駐車禁止」のコーンに気付いた。この季節に畑仕事に来る人もいないだろう。一旦は堰堤を越える所まで歩いたが車のロックを忘れているのに気付き引き返した。もしかして「不吉の予兆」かも?とL鉄塔尾根を諦めて車を移動、県道へ再び下りて滝不動明王院への坂道をやり過ごし橋を渡って直ぐの膨らみに駐車、R鉄塔尾根から登ることにして急な坂道を登った。

 熊野神社の階段と白樫城跡の道標を過ぎて林道ゲート脇を抜け滝谷沿いの林道からR81の中電標識に導かれ尾根へ上がった。既に10:15分、山頂へは届かないと思えた。

 踏み跡は明瞭で目印も多かった。だが遅い出発であり標高を稼ぐ為に九十九折やトラバースは障害物がなければ斜面を直登し最短で高度を稼いだ。

 最初の鉄塔R81についた。晴天を予測して家を出たのだが曇天で裏切られた。目の前に足打谷と2日前に訪れた池田山を見て腰を下ろした。休憩を終え上へ向かおうとするが斜面はシキビ等の常緑樹のヤブ、木々の隙間は猪に掘り返されドロドロで道を見失った。ヤブの隙間を捜したが見つからず猪の掘り返したドロの上を辿った先にやっと道を見つけた。

 雪が出てくると最短で標高が稼ぎやすくなった。白樫山の直下くらいでワカンを装着した。根雪がソコソコ堅く、くるぶし当たり迄しか潜らず助かったが雪は重かった。

 ワカンを履いて直ぐに白樫山(点名・白樫568,8mⅣ等△)に着いた。ここで東から来ている足跡を発見し女傑2人の足跡と判断できた。2人が登って来た道は古道らしく長い年月の往来の為か凹んでいた。地形図に東から来ている破線の記載を思い出し彼女らはそれを登ったと思っていた。実際は破線の道はもっと上で此処で地形図を確認すべきだった。

 白樫山を過ぎると標識や目印が短間隔で賑わしくなった。此処などは白テープに誘導されて道を踏み外すことは先ず無いだろう。以前に奥美濃のヤブ山で作業用PPテープが延々山頂まで残してあるのを見たことがある。手段を選ばぬ山登りを悲しく思い出した。

 15~20m間隔で目印が続く、足跡は確実に高みを目指して続いていた。下りの足跡がないので彼女たちはまだ山頂から引き返していないと思われた。足跡と豊富な目印、山頂まで地形図を広げる必要はなかった。

 足跡を追うと次々に現れる分岐、この他にも1ヶ所分岐が現れた。実は登頂後のランチタイムに地形図で確認して気付いたことだが記載されていた破線の道は此処(写真下)であった。登山中は足跡を追うのに懸命で地形図を見ることをしなかった。

 気温が上がって来たのか少しずつ踏み跡が深くなって来ていた、それに雪が重たい。彼女たちの馬力は凄く着実に高みへ向かってトレースは延びていた。遅い出発で山頂まで届くのが危うかったが彼女らの踏ん張りでどうやら山頂三角点まで行けそうだ。

 小島山山頂鉄塔の直ぐ下の南斜面でランチタイム中の彼女達と会った。向こうが先に気付いたようで声を掛けて来た。私は目の前の踏み跡を追うだけで周りを見るゆとりは無かった。彼女らは山頂から引き返し陽の中に居た。ラッセルに感謝し帰りは一緒に下ろうと告げ、取り敢えず山頂に行って来るとやり過ごした。

 鉄塔から1分足らずで小島山山頂であった。三角点はストックで捜すと容易に掘り当てた。もしL鉄塔尾根から登っていたらラッセル疲れやタイムオーバーで彼女達に会えなかっただろう。駐車地でロスタイムが発生したがR鉄塔尾根経由に変更して正解だった。

 二人は私より30分ほど早く着いたようだ。彼女たちのトレースのおかげで山頂に届いたと感謝を言った。食事をしながら彼女達の辿ったルートを地形図で確認すると私の全く知らない道であった。地形図に破線で記された道は上野ルートと呼ばれる別道であった。

 下山は私の登って来たR鉄塔尾根から下る予定であったが白樫山まで来て地形図に記載のない道に興味が湧いて彼女らの登って来た尾根に変更した。途中白樫城跡の記念碑を見たがそこは凄い傾斜地であった。滝不動明王院にも白樫城の案内標識が有ったのだが・・・

 標高350m辺りから凄い傾斜で下り出してそれまでの古く凹んだ道から一変した。急傾斜地に新しく階段状に造られた道は足元に注意が必要だった。私の登って来たL鉄塔尾根の方が傾斜も緩く遥かに楽であった。改めて二人の馬力に敬服した。

 急傾斜に気疲れして一度来ればコリゴリと軽口を叩きながら登山口に着いた。このルートどうやら地元有志の方々の尽力で再生したようだ。

 登山口から更に林道を10分、雪解けの泥で靴を汚し白樫神社の駐車地に着いた。境内の案内看板には北朝の後光厳天皇や足利尊氏、2代将軍足利義詮が瑞巌寺や小島頓宮に一夜の宿をとったこと等が記されており古式ゆかしい神社と思われた。

 例年貧雪を嘆き過ぎたのだろうか、今季は2月遅くまで降雪が有って奥美濃の県境の山々は遅くまで残雪の山行が楽しめそうだ。我が家の梅の蕾はまだ固く春が遅くなったぶんフキノトウやウド、コシアブラなどの山菜も麓から峰まで収穫時期が長くなりそうだ。谷の雪が消えれば竿を忍ばせて渓流魚を追う、ワクワクする山登りの楽しい季節が始まる。完

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