大垣山岳協会

登頂断念となったが貴重な極寒の雪山を体験できた硫黄岳 2025.02.22-23

硫黄岳

【 一般山行 】 八ヶ岳 硫黄岳(2760m △なし )赤岳の頭撤退 MY

  • 日程:2025年2月22日(土)~ 23日(日)
  • 参加者:L.SD、NY(赤岳班) SL.NT、KM、KT、SM、TK、MY、MT(硫黄岳班)
  • 行程:
    22日(1日目)(曇り時々雪):三城交番西駐車場1:00=安八スマートIC=諏訪南IC=美濃戸口駐車場・出発4:00~5:00-赤岳鉱泉8:20~9:20-赤岳の頭11:44~11:48-赤岳鉱泉13:09(宿泊)
    23日(2日目)(快晴):赤岳鉱泉7:15-八ヶ岳山荘駐車場9:14~10:45=縄文の湯=勝味庵(昼食)=諏訪IC=大垣IC=三城交番西駐車場16:20
  • 地理院地図2.5万図:八ヶ岳西部

 今年最初の冬山宿泊山行は、赤岳鉱泉に泊まり、赤岳、硫黄岳をそれぞれ目指す2班に分かれて往復する計画で9人の参加。

 午前1時、三城交番西駐車場から3台で出発。目的地まで3時間の路面に積雪は全く無く、予定通り無事八ヶ岳山荘駐車場に駐車できた。

 しばし休憩の後、5時出発の号令で各自準備を進めたが、極寒での慣れない作業に手間取る者が少なからずあり全体に迷惑をかけることになった。

 赤岳鉱泉までは全員同じルートの予定だったが、赤岳組3人が先発し硫黄岳組6人が少し遅れて出発した。

 1時間ほどは暗闇の林道をヘッドランプで照らし、チェーンスパイクを装着しての進行。

 チェーンスパイクを始めて履いたが、凍り付いた斜面などでは安心して歩くことができた。

 やまのこ村あたりから明るくなってきたが、この先雪がチラつき始めるあいにくの天候。

 ガスが広がり周りの景色も楽しめない沢沿いの道をひたすら500mあまり高度を上げる登りが続く。

 沢の水も凍り付き流れを止めてしまっている。

 出発から3時間余り、名物のアイスキャンディーを眺めながら赤岳鉱泉に到着した。

 「アイスクライミングを安全に体験できる場」として造られたのが、赤岳鉱泉のアイスキャンディ。毎年10月鉄骨で骨組みの組立て作業を始め、晩秋から水を撒きながら徐々に氷を厚くしていき12月から翌年3月頃まで使用できる冬季期間限定の氷瀑だそうだ。

 赤岳鉱泉では、屋根のある空間で空腹を補った後、アイゼンへの履き替えと更なる万全の極寒・強風対策を施す。自身は念のためゴーグルを装着した。

 硫黄岳へ向かうルートを誤りかけたが、懸命なメンバーが気付き事なきを得た。そこから少し進んだところで丹生リーダーが体調不良を訴え、経験あり信頼できるメンバー2名(SM、MT)に先を託し小屋に留まることとなった。急な事態で動揺もあったが、SMさんのリードに皆が続き、MTさんが後詰となり6人が一団となって硫黄岳へ向け再出発。

 ここまでと違い、急に雪深で傾斜も厳しくなり体力も奪われるが、足が攣り気味のメンバーに合わせゆっくりペースの慎重な進行が続く。

 相変わらずガスがかかり、山頂からの眺望も期待できない。ただ、この先長く続く急登が目に入らず良かったのかもしれない。

 赤岳鉱泉から標高400mほど登り、何とか赤岩の頭(2656m)に到着した。

 瞬間的に硫黄岳の姿が確認できたが、ここから先は踏み跡も無く、何より右側に逸れると危険が高いと感じたため、ここまでで引き返す判断となった。

(KTさん提供写真)

 山頂まで残り100mあまりの登りで所要40分程、とても残念ではあったが、次の機会に素晴らしいであろう絶景を味わいたい。

 集合写真は撮影したが、通常と違い極寒の中ではカメラ操作もスムーズに行えず、そこから戻る急下りはとても撮影どころではなかった。

 急下りの歩き方として、アイゼンを交差させないよう横歩きで階段を作るようにMTさんに教えていただくが、新雪で足が流れ階段を滑る場面もしばしば。

 それでも順調に1時間余りで無事赤岳鉱泉に戻ることができた。

 宿泊客で混雑気味の小屋にチェックインし安堵。その後、夕食までの長い時間、談話室で反省会を兼ねた談笑会が続き、大いに盛り上がった。

 重装必然の冬山ではとにかく予めの準備と迅速な行動が必要であることを痛感した。

 夕食後、18時過ぎには皆就寝モード、暖かだった部屋は暖房が切られ、夜中は寒さで眠れないメンバーも多数あった。

 翌朝は6時から朝食、7時過ぎ集合写真撮影の後に下山開始。

 昨日とは打って変わっての快晴。クライマー憧れの岩峰である大同心、小同心がくっきり眼前に迫っている。

 すれ違う今日の登山者は絶景を拝めること間違いなしと少々羨ましく思いながら、快適なチェーンスパイクでの下りを2時間ほどで日差したっぷりの駐車地八ヶ岳山荘に到着した。

 今回の1泊2日山行は、八ヶ岳の寒さやそのための備え、アクシデント場面など様々経験することができた。次の冬山山行に向け、少しでも対応できるよう改善したいと思う。

<ルート図>
2/22 美濃戸口駐車場-赤岳鉱泉-赤岩の頭-赤岳鉱泉(青矢印)
2/23 赤岳鉱泉-美濃戸口駐車場(赤矢印)

地理院地図

2/22 美濃戸口駐車場-赤岳鉱泉-赤岩ノ頭-赤岳鉱泉

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