大垣山岳協会

岐阜県春日古屋から登る百名山・伊吹山 2025.02.15

伊吹山

(MY提供)

【 一般山行 】
伊吹山(笹又谷右岸尾根~東南尾根)( 1377.3m Ⅰ等△ ) 岐阜県揖斐川町春日古屋
NT

 年間計画の若丸山は連日の降雪で国道417号の通行止めが続き断念せざるを得ない状況である。さて代案の山だが、伊吹山の滋賀県側が登山規制継続中であるが岐阜県側ならば対象外と思いつく、会としても久方ぶりに静かな山頂で絶景を独占できるチャンスでもある。既存のコースを避け笹又谷右岸尾根から山頂に立った報告である。

<ルート図>
  • 日程:2025年2月15日(土) 天候 快晴
  • 参加者:L.NT、SL.IM、KT、KT、ST、SM、TS、TK、NY、MY、MT、YC、YC
  • 行程:駐車地7:12-笹又谷右岸尾根取付7:22-ドライブウェイ9:12-東南尾根取付9:26-ブナ平10:36-伊吹山頂11:42~12:26-駐車地14:52
  • 地理院地図2.5万図:美束、関ケ原

 春日に入ると道脇に雪が出て来た。粕川沿いの県道はカーブが多く夜間凍結によるスリップが心配で速度控えめの安全運転を心掛けた。道中に見た夜明け前のスノームーン。

 さざれ石公園手前の水道施設まで除雪されており膨らみに止めて出発、計画では公園から取り付くはずが雪道歩行に嫌気がさし、笹又谷を渡渉し右岸尾根の末端から取り付いた。

 笹又谷右岸尾根末端は杉の植林帯で急傾斜地に雪が薄く載っていた。雪は浅い所で15㎝ほどワカンのツメで掻くと用土が見える。13名もの多人数が下ると雪が剥げてスリップが心配され帰りは「さざれ石公園」方向への下山を決めた。

(MY提供)

 標高600mを過ぎると杉の人工林が尽き落葉樹の疎林となって暗い林から一気に解放された。天を仰ぐと素晴らしい青空だ、今日は北アの端まで遠望が利く予感がした。

 ドライブウェイへの最後の登り、出口直下に岩が有るのだが完全に雪で覆われていた。先日登った時より50㎝ほど雪が多く出口の木に括られた赤い目印が雪面付近に見えた。

 息を切らせてドライブウェイに這い上がると待ちあぐねて休憩モードの仲間達。それにしても最高の天気に日焼けが気になり肌をいたわる仕草があちこちに。

 東南尾根に取り付き50mほど高度を稼ぐと周りの木々が細くなりカルスト地形とカヤの低木帯となる。先日の個人山行では雪が浅く踏み抜きが多発し苦労の挙句にスパッツに鍵穴を作った。今日は連日の降雪で雪厚が確保され落とし穴の被害は最少で済んだようだ。

 これまで冬の東南尾根は大概単独だったが今日はモデルがおりいい写真が撮れそうだ。ドライブウェイと川戸、その奥は明神山、最奥に霞んでいる南宮山をバックに1枚。

 大垣から冠雪した伊吹を見ると北尾根のラインがアルペン的で神々しい。東南尾根は大垣からは正面に見える為尾根の形状が北尾根に見劣りするが弥高尾根と共に冬季伊吹山へ既存コースでは体感できないバリエーションを提供する。南に霊仙山、御池山、藤原岳の鈴鹿北部の山並みが霞んで見えていた。

 山頂台地の東端が高く聳えている。尾根にブナが出てくるとカルストとカヤの低木帯が尽きて踏み抜きを気にせず安心して歩けるようになる。東南尾根の唯一平地ブナ平を行く。

 ブナ平を抜けて雪深い斜面を登った。この斜面のラッセルは手強いはずだが本日は13名の猛者たちが一緒で助かった。最高の天気の中を彼等のトレースに助けられ追った。

 伊吹東端山頂台地への最後の斜面基部「天狗ノ見晴らし台」に居る仲間達を追う。群青色の空を見上げて感動する仲間の声が聞こえて来た。早くあの高みへと焦るが足が重い。

 仲間達は最後の斜面に向かっていた。雪が堅くなってワカンのツメが気持ちよく効いた。左は地獄谷、右は笹又谷へ急傾斜で落ちており下山は気の抜けない所で有る。

(MY提供)

 東端の抜け出し口に仲間が待っていてくれた。申し訳ないので少しでも早くとの気持ちはあるのだが・・・年と体重のせいにして勘弁してもらおう。

 東端台地から1377mの三角点まで約500mの歩行は本当に長く感じる。雪はほぼ締っておりくるぶしより深く埋まることはないのだが辛い。背後の絶景に後押しされて山頂へ。

 やっと全員揃っての集合写真。三角点の標石柱は雪の下である。リーダーは最後尾から楽をして来たがSLのIMさん、ラッセルに奮闘されたメンバーの皆様有難うございました。

 山頂には我々以外に登山者が3人ほどいたようだ。滋賀県側を見下ろすと弥高尾根にはトレースが無かったが表道(上野口)に踏み跡が確認出来た。米原と彦根市街の先に琵琶湖が薄いブルー色で冬季に珍しく波のない穏やかな湖面に思われた。

 暖かい山頂だった。広い山頂台地に腰を下ろして絶景を眺めてランチタイムを過ごした。恵那山から北に中ア、御嶽、乗鞍、穂高から北アの連山、剱岳が見えるとも・・・少し離れて白山が一際大きく白い。そして能郷白山から続く奥美濃の山並み、山座同定に花が咲いた。

 帰りに「天狗の見晴らし台」で2023年の8月に亡くなったS君を偲んだ。奥美濃が好きで名古屋に居住しながらも入会、その後常任理事として長く貢献し会に骨を埋めた。奥美濃への起点である伊吹山、この景色こそ彼を偲ぶにふさわしい展望台と思われた。

 帰りは雪も緩んで春山の様相となり急傾斜地の下降は油断がならなかった。登りで大丈夫だった雪面には新たに大きな穴が幾つか出現しておりメンバーの苦闘の跡を垣間見た。

 駐車地に帰ると我々の外に3台車が増えていた。山頂台地では笹又夏道ルートからの踏み跡を確認していないので彼等は未だ届いていないと思われた。若丸山は道路規制で登れなかったが伊吹山の冬季限定ルートを楽しんでいただけたようでホッとしている。完

コメント