【 個人山行 】 養老山 ( 858.9m Ⅰ等△ ) 養老郡養老町小倉小字小倉山 NT
日曜日の計画が雨予報で中止となった。前日の土曜日は曇り予報で降りそうにない。週一の山登りを欠かすと体力の退化が心配でならない。昨日関ケ原では3~4㎝の積雪、養老山ならもう少し有るだろう。雪山未経験会員のWY女史を誘ってのトレーニング山行である。

- 日程:2025年2月1日(土) 天候 晴れのち曇り
- 参加者:L.NT、MT、WY
- 行程:養老公園駐車場7:09-養老の滝7:27-三方山分岐9:02-小倉山9:41-養老山10:02-小倉山10:50~11:38-養老公園駐車場13:28
- 地理院地図2.5万図:養老
早朝にも関わらず駐車場には車が多く準備中にも県外ナンバーが次々に入って来る、いずれも登山者と思われた。冬季早朝の養老の滝を眺めて石階段を登った。

オランダ人技師デレーケの指導で明治期に造られたと伝わる砂防堰堤を上に見て谷を渡った。海津市の羽根谷堰堤が明治21年完成だからおそらく同時期頃だろう。130年以上経過しても石組みは当時のまま、確かな技術が「養老の滝」の清流を維持し続けているのだ。

谷から約400mの急登を終えて三方山分岐に着、途中急傾斜のトラバースの凍結を心配してアイゼンをザックに忍ばせて来たが嬉しい徒労に終った。分岐下の階段傾斜地で雪上歩行に有効なキックステップを伝授、靴底の踵が水平より少し下げ気味にけり込むと有効。

三方山を過ぎると笹原峠まで長いトラバースが続いた。周りに常緑のアセビが多くなって雪を載せていた。10㎝ほどの積雪で支障はなかったが雪が深くなると幹をしならせて道を塞ぐ、2022年には1mを越える積雪、その重みで常緑樹の細木が曲がって幾重にも横倒しで道を塞いでいた。トラバース道が使えず尾根を直登して笹原峠へ下りた。

笹原峠着、2022年の写真を見るとこの道標が頭部のみが出ているほど深い雪だった。此処まで来ると雪質がパウダー状に変わった。足場の遠い階段を避けその横の踏み跡のない傾斜地の方が楽で新雪の上を選び歩いた。

こういうところが一晩に大量降雪が有ると道を塞がれて通行に難儀をするところだ。今日のこの程度の積雪だとお花見気分でルンルン歩行である。

背後の彼方に養老山地の最高峰笙ヶ岳(908,3mⅣ等△)が見えている。此の付近の常緑の葉は全てアセビである。シカが食しないアセビが大量繁殖しそうな状況だ。その内鈴鹿も含めてアセビに覆われた山になるだろう。

小倉山山頂へ続く斜面の雪面にアセビの幼木が枝葉を覗かせている。積雪の状況次第で小倉山までとしていたが養老山まで問題なく行けそうだ。

雪が深くなって15~20㎝ほどだがサラサラで軽い。背後の下に濃尾平野が広がっている。下で練習したキックステップが有効な斜面である。霞が消えれば御嶽から乗鞍、穂高から北アの山脈と白山を彼女に見せられたのに残念だ。もっとも「今日の天気予報は曇り」だったのだから、青空が覗いているだけで嬉しい予報外れであり感謝せねばならない。

小倉山841m山頂。時間も早いので養老山を往復して此処まで帰ってランチタイムにすると決めた。余談だが「養老山点の記住所」を見ると「養老町字小倉小字小倉山」と有る。三角点の有る高みを「養老山」展望の良いこの高みを「小倉山」と名付けたのだろうか。

小倉山から養老山へ尾根道から高みを越えると養老町側には登山道が上石津町側には林道が併設されていた。両方ともにトレースは有ったが林道を辿った。山頂直下斜面にショートカットで下って来ている足跡を見つけそれを拾って詰めた。

山頂広場の落葉樹に沢山の小ぶりの瓢箪が括られていた。30個ほど有ったが登頂の度に残したのだろうか、滝の水を入れて持ち上げたのだろうか。もしや酒に変わっているかも?と期待の夢を膨らませてくれるのだった。

Ⅰ等三角点、点名・養老山858,9m、点の記には「ようろうざん」とフリガナが打たれている。残念ながら樹木に囲まれて展望が効かないことで、ハイカーの多くは小倉山までで引き返す方も多いようだ。

小倉山への帰路にWY女史の「ワカン講習」を行った。アイゼンの着脱と同じで雪面を平に踏み固めて靴底の雪を綺麗に除去して履く。着脱は必ず山側を向いて行う。バンドは外からリング内を通すと緩みにくい。バンドはしっかり絞めて末端は必ず処理する。

彼女は初めて履いたワカン歩行が楽しいらしく踏み跡のない新雪を求めて我々を置いてきぼりにして小倉山へ引き返して行った。だが深雪となって膝上まで潜るようになると足を雪面上に上げることが辛くなると教えた。急傾斜地では胸まで埋まる。ラッセルは重労働なので一歩でも少なく最短距離で直登が原則、そのためには地形図を読みきる知識が必要と、

広い小倉山山頂は公園化されており東屋やテーブル、ベンチが設置されている。西と北の展望が良いベンチでランチタイムを過ごしたが伊吹も霊仙山も雲が低く景色は今一だった。

下山中に三方山の下で会員のSE女史にバッタリ会った。家事に時間を取られてと火照った額の汗を拭きながら遅い出発時間を恥じる様に口にされた。だがその下にもまだ登山者はいて、この日は登山者が多かった。中には軽装に近い登山者もいて冬山の天候急変に対応出来るのか疑わしく思えるパーティーも何組かいた。彼女はオーバーズボンなど冬山装束を着こなして他の登山者と全く違って見えた。やはり知識と基礎技術を身に付けた我が会の会員は違うと誇らしかった。

上の写真は2022年の2月の小倉山に登った際の山頂直下斜面のラッセル痕である。アセビなどの低木は1mを越える雪の下、他に登山者は居らず本日会ったSE女史を含む4女傑と交代でラッセルし山頂に立った。今日が冬山デビューのWY女史も来シーズンはきっと彼女らに仲間入りができるほど成長しているだろう。山登りは奥が深い、教える方も山に教わることが多く未だ勉強中である。当会の門を叩き一緒に成長する仲間になりませんか。完
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