大垣山岳協会

2Gのヨタヨタ登高記・鈴鹿黒尾山~銚子ヶ口周回 2024.12.20

庭戸山

【 個人山行 】
鈴鹿・蓼畑登山口 ~ 黒尾山( 949m Ⅲ△ )~ 銚子ヶ口( 1077m Ⅲ△ )~ 杠葉尾登山口周回
滋賀県東近江市永源寺町
NT

 この秋から3度目の銚子ヶ口1077mは永源寺蓼畑から黒尾山949m経由で周回した。岩稜有り、痩せ尾根有り、急登有りの75才ジジイ2人のヨタヨタ山行報告である。

<ルート図>
  • 日程:2024年12月20日(金)  天候 晴れのち曇り
  • 参加者:NT、MT
  • 行程:蓼畑登山口6:35-丸山7:41-庭戸山8:09-黒尾山9:42-銚子ヶ口・南峰・西峰分岐12:45~13:31-銚子ヶ口13:45-風越・北尾根分岐13:55-杠葉尾15:52
  • 地理院地図2.5万図:日野東部・御在所山

 このコースは先日青川から遠足尾根で一緒した女傑2名がこの秋に登ったとの報に、なら我々オジイもと挑んだ。ただ長いコース、彼女らに体力で劣る我々は下山口の杠葉尾に車をデポ、なお出発時間をも早くしヘッドランプを燈し暗い中をスタートした。

 今日は一日北面の行動で寒さは覚悟していたが早くも雪の出現、昨日降ったようだった。

 鉄塔が立つ高みに到達した。振り返ると、この14日に登ったばかりの日本コバが北に見える。東に目を転じれば竜ヶ岳と釈迦ヶ岳も見えていた。

 庭戸山687mに到着したはずだが山名板らしきものは見当たらない。山頂の証を捜して南へ進むと「庭戸山」と書かれたプレートが有った。そして鉄塔はもう1基あった。

 庭戸山から一気に70m急下降、スリップに気を使った。腰越峠に降り立つと吹き抜ける風が冷たくて北面の尾根に居ることを実感した。そしていきなり尾根は細くなった。

 細い岩尾根をストックでバランスに気遣いしてツボ足で進むと岩稜となって下っている。最悪だ、こんな細い所でアイゼンを履く作業は至難の業、だが冷静に観察すれば凍結しているわけではない。ホールドはしっかりしている。若い日に過ごした「穂高や剱のクライミングに比べれば」と自身に言い聞かせツボ足で慎重に越えた。

 岩の急登が何ヶ所か有った。それを嫌ったトラバースルートが雪の上からでも確認出来て追ったが急傾斜地のツボ足は雪下の腐葉土が滑り気疲れした。雪の下に岩が有るとこれまた最悪、これを繰り返して約250m登って高みに着いた。地形図で黒尾山948,7mと確信したが付近に三角点がない。「おかしいなー」と西へ20mほど捜し歩くと標石柱があった。

 正直読図に自信を失いそうになっていたので三角点(点名・萱尾Ⅲ等△)石柱を見つけた時はホッとした。山名板も傍の樹木に括られていた。

 黒尾山から971mの峰までは何の障害もなく順調に進んだ。東に竜ヶ岳が見えてそのズーと奥に写真では見えないが御嶽山と中央アルプスが白い帯で連なっていた。

 写真下のような広い尾根が銚子ヶ口の西峰と南峰分岐迄続けば楽なのだが地形図を見る限り971mの峰を過ぎると100m以上の下りと細く複雑な尾根が推察出来ていた。

 目の前に岩稜の直登が確認出来た。次は難場の始まる前に安全な所でアイゼンを履くと決めていた。今季初のアイゼン着用である。奥美濃では春に堅雪のアイゼン歩行は体験できるが岩稜は少ない。貴重な岩稜帯でのアイゼン歩行が経験できそうなルートである。

 最初の難関の下降を終えホッとして振り返る。結構な傾斜を下りたと思ったが写真で見るとそうでもない。腕が、いやバランスが年齢相応に鈍ったか、レンズで傾斜を旨く表現出来なかったからかもしれない。

 戸隠山のアリの戸渡りを思わせる痩せ尾根を慎重に越える。佐目子谷川側は断崖、須谷川側も急傾斜で落ちている。久方ぶりにアイゼンを心強く感じた。

 幾つかの岩コブを越え、須谷川側の長いトラバースを終えて急傾斜地を登りきると尾根は広くなり落ち着いた。アイゼンの効果は覿面で雪下の腐葉土を捉えて傾斜地での滑りは半減した。だが広尾根ではアイゼンがダンゴになって絶えずストックで叩き落とした。

 見覚えのある分岐に着いた。銚子ヶ口、南峰、西峰の分岐である。この秋、水舟の池を訪れているので此処まで来れば先の見通しは立った。そして銚子ヶ口から来ているトレースを発見し心にゆとりが生まれ45分のランチタイム大休憩を決めた。

 トレースの主は1人、此処まで来て諦めたようで南峰にも西峰にも行った形跡は無かった。おそらく杠葉尾から北尾根経由で銚子ヶ口へ登り南峰か西峰を目指し此処まで来たが引き返したのだろう。この足跡を追えば楽々で杠葉尾まで下れるだろう、ラッキーだ。

 南の神崎川へ落ちる尾根の鞍部奥に山頂部に塔のような人工物が有る山が確認出来た。おそらく御在所岳でその右肩辺りに鎌ヶ岳が三角錐の山頂部を背伸びして覗かせていた。

 トレースに案内されて銚子ヶ口へ着いた。この秋から3度目の山頂訪問であった。他人の足跡を追う登山は地形図を広げることも、考えることも、判断することもなく楽であった。ただ、こうやって未熟な登山者が量産されるのだと気付かされる。

 風越谷モノレールルートを右に見送り、須谷川源流へ下ると北尾根のトラバースへとトレースは思惑通りに導いた。いつ尽きるのだろうと思うほど長い杉と檜の混合人工林は退屈だったが足元の雪はすでに消えて歩きやすくなっていた。

 杠葉尾の登山口に着くと国道を挟んだ直ぐ下の茅葺屋根の葺き替えが行われており、3人の職人がほぼ最終工程のハサミでの仕上げ作業を行っていた。懐かしい子供の頃の田舎の集落風景を思い出し撮影の了解をもらって写真に収めた。

 長時間行動を覚悟して下山口にも車をデポして国道歩きをパスしても9時間17分(休憩含む)を要した。ヨタヨタ歩きでノロくなったと自覚するが雪も少しは邪魔をしたと虚栄と言い訳は衰えない。年が明け3月になれば互いに76歳の2G(ジジイ)これが精いっぱいの山登りで有る。完

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