【 一般山行 】 日本コバ( 934.15m Ⅲ等△ ) 滋賀県東近江市永源寺町 NT
上石津町多良で全員が揃い出発、夜半の雨がまだ残っており気温は3℃、烏帽子岳を見上げると雲が垂れた山腹に雪が確認出来た。三重県へ入ると藤原岳も竜ヶ岳も雪を抱き雲の切れ間に青空が見えている。この気圧配置が滋賀県永源寺町まで届けば最高の登山日和となるのだが・・・国道421号石榑トンネルを潜り滋賀県側へ抜けると路面に薄く雪が現れ川端康成の小説のような冬景色となった。

- 日程:2024年12月14日(土) 天候 曇り後霰
- 参加者:L.TS、OS、GY、TK、NY、NT、FI、MY、MK、MT、MH、YM、体験1名
- 行程:駐車地7:50-登山口8:00-カツラの大木8:44-岩屋9:57-日本コバ山頂10:58~11:35-藤川谷・政所分岐12:53-衣掛山870m13:01-政所口14:37-駐車地15:02
- 地理院地図2.5万図:百済寺
道の駅から国道421を挟んだ登山者駐車場から約10分歩いて藤川谷登山口へ着いた。階段を登ると古い野面積みの石垣を左に、藤川谷の切れ落ちた谷を右に見て歩いた。

古い神社を過ぎて藤川谷の川底へ下りた。橋が有るのだが樹皮をはいだ杉の丸太橋は濡れていかにも滑りそうである。幸いに川底は浅い危険を冒さず渡渉した人も多かった。

標高460m辺り苔むし滑りやすい大石が重なり合った谷中にカツラの大木があった。落葉してから日が経過しており香ばしい甘いクリームのような匂いは谷に残っていなかった。渡渉をして斜面を登るとヒョウ穴との分岐となったが今回は寄らずに進んだ。

谷沿いに針葉樹の人工林が長々と続いた。針葉樹の森は少しの雨なら雨宿りに最適である。しかし、朝方までの雪をたっぷり樹冠に蓄え我々を迎えた森は気温が上昇すると雪を溶かし、その下は降雨状態で最悪だった。梢に白い花を咲かせた落葉樹の林とは全く異なった。

標高650m辺りの渡渉は滑りやすい石の上に雪が載っており慎重に越えた。冬靴でスパッツをしておれば多少水に漬かっても早足で行動すればソックスを濡らすことはない。それを過ぎると斜面は傾斜を増してトラバース気味に斜上した。

20mmほどの太いフィックスロープの設置された岩場に着いた。夏でも滑りやすい石灰岩に雪を載せており心配したが皆さん上手に登ってくれた。ザイルは準備したが使うことはなかった。だが、こういう岩場はストックを仕舞って両手を使いより安全に登って欲しい。

岩を越すと平地が有って、竜ヶ岳や静ヶ岳、銚子岳など東の展望が開けて一望できるのであるが生憎の曇り空で見ることが出来なかった。また、此処には岩屋と呼ばれる石灰岩の岩場でよくみられる洞穴が有り今日のような寒い日は風が避けられる適地である。

岩屋の広場を過ぎると傾斜が落ちて周りに常緑樹のアセビが多くなった。これも雪を溜め込んでおり衣服の袖を濡らした。政所コースとの分岐を過ぎると藤川谷源流を目指して緩やかな下降が続いた。

藤川谷に再び降り立つ、源流域は傾斜が落ちて水量も少なく渡渉は容易だった。以前この付近はナメコを結構な量収穫した記憶がある。周辺を見回したが全く確認出来なかった。

谷底から尾根に上がりきった所で竹森リーダーは地形図で現在地の確認を指示した。日本コバ山頂から北へ延びた尾根へ上がりきった鞍部に居る。左に向かえば標高862mの峰、右方向へ登れば日本コバ山頂だ。尾根や谷の分岐など明瞭な場所での現在地確認を怠らないことが安全登山の基本である。

鞍部からは高度で約90mの登りだ、最初の60mは傾斜が有って落ち葉の上に載った雪が薄く不安定で滑りやすい。夏靴は冬靴に比べて雪山では靴底が柔らかく曲がって滑りやすい、高価な冬靴がもったいなくて。やがて東から来る尾根が近くなって山頂が近いと感じた。

山頂は広く平地が確保されていた。立派な山名柱と山名板が有って三角点石柱(点名・日本コバⅢ等△)は欠けもなく綺麗だった。幸い、今日の天候では他の登山者の来訪は無いだろうと決めつけ山頂を貸し切ってランチタイムを楽しんだ。

40分のランチタイムは寒くて5分早く切り上げた。雲の流れは速く何度か青空が覗いたが直ぐに又次の雲が・・・冬山定番の天気だった。下山は藤川谷源流の山域尾根を周回するコースにした。

周回中に雲が切れて青空が時々覗くと撮影会となった。岐阜県岳連は来年度もカレンダーに使用する写真を募集する。入選を目指し奮って応募していただきたい。

この周回コースには「衣掛山」が2ツ有る。標高880mと標高870mの峰に「衣掛山」の山名板がそれぞれ木に括られていた。双耳峰なら東西とかⅠ峰Ⅱ峰とかで区別出来ようが途中にコブも有って双耳峰とは言い難い。標高880mの衣掛山は歩いていて尾根上のコブにしか感じなかった。コースには個人の手製と思われる案内板などを多く見たがこういう行為は山を汚しているだけにしか思えてならない。近頃は奥美濃の山でも勝手に山名を名付けて札を木に括っているのを見る。案内表示や山名板は公的な機関や団体に任せるべきと考えるが如何だろう。我が会は山行で使用した自分の目印は全て回収を義務付けている。


政所コースには斜面のトラバースが何ヶ所か有るがスリップが命取りになりそうな急傾斜地も有る。竹森リーダーは下降に自信のない方は軽アイゼンの着用をと指示した。アイゼンは必ず山側を向いての着用が基本である。今回は積雪量も少なく樹林帯の中で雪崩の心配はないが普段から山側を向いて着脱する基本を必ず守っていただきたい。

急斜面のトラバースでは山側の足先はやや山側に、谷側の足先はやや谷側にしてストックは山側に使用して地球に対して垂直を保つようにする。傾斜に負けると山側に身体が傾きアイゼンを引っ掛けたりしてバランスを崩しスリップの原因となる。

政所集落に下りてやれやれ、背後のこの景色が好きだ。以前、積雪時に来て以来すっかり魅了されている。

駐車地へは御池川左岸の県道34号をのんびりと歩くつもりであったが霰が激しく降って来たので結局早足となった。体験参加のKさん楽しんでいただけたであろうか、竹森リーダー、メンバーの皆様お疲れさまでした。次週は今年登り納めの風越山、1年があっという間に過ぎようとしている。完
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