【 一般山行 】 アサバタ山 ( 1315.7m Ⅱ等△ ) 高山市岩井町大字大向 NT
濡れ落ち葉に埋もれた急斜面の木の根と水分を含んだ表土に何度か足を取られた。斜面で鈍く光るチェーンに助けを求めて掴むと冷たくて手が悴む。高度を稼ぐ毎に急斜面の木の根と用土が格好の足場を提供したが薄く雪を載せて霜柱の花を咲かせていた。眺望を期待した山頂であったが飛騨アルプスの雪景色はガスで遮られて見えず寒かった。
- 日程:2024年11月24日(日) 天候 晴れ
- 参加者:L.ST、GY、ST、NY、NT、FT、MK
- 行程:岩井谷林道駐車地8:47-アサバタ山山頂10:36~11:33-駐車地12:52
- 地理院地図2.5万図:飛騨青屋
岩井谷林道が右岸へ渡る橋の手前に3台ほど駐車できるスペースが有り停めた。登山道は橋を渡らず左岸を進む、大きなマユミの木に「アサバタ山登山口」の看板が有った。
岩井谷沿いに歩き林道が山側へ登り出す広場でNY君持参の「熊追いの爆竹」を2回鳴らした。谷中に爆音が響いて今日の獣害は防げたと確信した。
林道が終えるといよいよ山道となって杉の植林帯へ突入した。杉の穂と小枝で埋まった歩き辛い谷筋を10m間隔で目印が誘導する。これほど近距離で導かねば頂上へ達せられずまた安全に下山できない登山者が近年増えている証であろう。
谷から斜面を40m登ると落ち葉で埋まった尾根に出た。此処で上着を1枚脱いで体温調節の休憩をした。計画書から今日の山行は登山時間が短いことが織り込み済みで休憩を多く取り入れるとリーダーは宣言していた。下山後に高山市内での入浴も予定されている。
尾根は直ぐに傾斜を増して濡れ落ち葉の下の用土は水分を含んでおりよく滑った。表土が流出し地上へ出た木の根は落ち葉で隠され油断が出来ず神経を使う。立ち木に固定されたお助けチェーンを掴むと手袋をしていても冷たく指が悴み痛かった。
実は昨夜、会員H君から本日登った徳山の山で「笹に積もった雪」が藪漕ぎで負担になったと報告を受けた。夜半にふと思い出し、アサバタ山は徳山より冷え込む、急傾斜の尾根が凍結すれば夏靴ではまずい、ザイルとシュリンゲ、カラビナ、軽アイゼンを持参と思い立った。しかし夜半のことで参加者への連絡は思い止まった。幸いS女史も昨日登った山から北の雪景色を見て軽アイゼンを持参していた。2名分有れば最少の対処は出来ると安堵、
標高を稼ぐ毎に尾根は傾斜を増してスリップが命取りになりそうな所も出て来た。濡れ落ち葉と隠れた木の根が嫌らしくお助けのチェーンが有難い。幸いにも落ち葉の下が凍結しておらずチョットは救われる、とは言え帰りは気を抜いたらアカンと言い聞かす。
当会の休憩中の此の風景が好きで自慢だ。我が会の新人会員教育での取り組みの第一は読図である。休憩中に次の行程の地形を読む、地形図を読むことは先を読むこと。読図が出来る様になると山登りが数倍楽しくなる。
いよいよ山頂へ向かって傾斜が増してきたが幸いなことにシャクナゲなどの小木が多くなりスリップしても何処かで引っ掛かって止まりそうで少し気分が楽になる。
木の根と腐葉土の階段を登る。腐葉土は霜柱を発生させていた。高度を増すごとに冷え込みが増して指が悴みカメラのシャッターが押し辛かった。
ヒノキに白い〇が描かれた目印に誘導されて階段状の傾斜地を登る。足元に塩を撒いたほどにチラホラ雪が現れた。凍結した用土や根っ子を踏んで、時折驚きの声が聞こえた。
尾根には大岩の上に根上がりのヒノキなどが有ったが、この岩には「和蔵岩」との看板が有った。傾斜地の用土が流れ落ちて岩が丸出しになったのだろう。
腐葉土に木の根がからみ林床を形成していたが登山靴で踏まれ雨で用土が流出し穴ボコになったと思われる。枯れ木と大きな根っ子が竜のようでも有りオットセイにも見えた。
山頂まで残すところ高度で100m弱、幸い軽アイゼンは使用せずに来られた。最後の休憩風景、期待した太陽は見えず北面の尾根の寒さを身に沁みて感じている。
山頂は広く台地状で笹薮に覆われていたが中央の三角点石柱周辺は広く刈り払われていた。「点名・大向Ⅱ等△」を前に集合写真を撮った。そこから東へ15m進むと穂高等の北ア、乗鞍、御嶽、中央アルプスの展望所となっており横倒しの丸太を格好の椅子にした。
下は初めてアサバタ山を訪れた2017年6月の写真である。当時は道が無く藪を漕いで山頂に立った。笹が濃密で三角点石柱の発見にはソコソコの時間を費やした。発見の手掛かりは保護石で石柱は僅かに覗いており「大切にしましょう三角点」の白い木柱は立っていた。周りを刈り込み撮影した。
正面に乗鞍が見える位置に陣取ったが生憎ガスが湧いて眺望を遮っている。昼食休憩は1時間、時間内に乗鞍も御嶽も穂高も必ず見える確信は有った。この山は4度目で一度も眺望に恵まれていない。が、今日だけは天気予報から自信が有った。チョッと強風が吹けば消えそうなガスなのに・・・太陽の届かない山頂はダウンを着込んでいても寒かった。
虚しく時間は過ぎて山頂を去る間際になって俄かに頭上に青空が覗き山頂に陽射しが届いた。ザックを担いだまま3分ほど陽射しを浴びて日向ぼっこをした。暖かい、本当に太陽が有難かった。目当ての北ア冬景色の展望は今回もお預けとなって又寒い北面の尾根に向かい山頂へ背を向けた。
下山は幾分濡れ落ち葉も乾いて来たのかザイルも軽アイゼンも使用せずに済んだ。道具は準備していても安全が確保されて使わずに済めばこれに越したことはない。「備えあれば患いなし」完
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