大垣山岳協会

三ツ谷奥ノ廊下ゴルジュと壮観ブナ尾根…猫ヶ洞 2024.11.03

猫ヶ洞

【 個人山行 】 神又谷から猫ヶ洞 ( 1065.3m Ⅲ△ ) HT

  • 日程:2024年11月3日(日) 晴れ
  • 参加者:HT(単独)
  • 行程:神又谷出合7:15-三ツ谷出合7:45-780m二俣9:40-猫ヶ洞三角点11:10-最高点11:20~12:00-神又谷13:30-神又谷出合14:15
  • 地理院地図2.5万図:美濃川上

 誇大表現気味のタイトルでどこからかクレームを頂きそうですが、とても楽しい山行でテンションが上がった結果とご容赦ください。

 三ツ谷から猫ヶ洞に登ったのはもう15年も前になる。我ながらその年月の経過にびっくりする。記憶の鮮度が高いのでそんなに経ってないだろうと思っていた。それだけ印象的な山行だったということだろう。果たして今回はどうか。

 前日は台風崩れの低気圧通過で風雨がすごかった。増水が心配だったが思ったより降雨時間が短かかった。一晩で幾分かは水位が下がっている事を期待して現地に向かった。

 坂内池ノ又林道を進み神又谷出合に駐車。ここから先は崩壊林道の復旧工事のため現在通行止め。来年の6月に開通するらしいがどうなることやら。

 車止めの前にはすでに2台の車があった。関西方面から来たらしい3人パーティだった。沢支度をしているので行き先を聞くと「神又峰」との返事。神又谷を遡行して帰りは尾根を下ってくるそうだ。普段は穏やかな谷だが今日はやはり増水している。大変だろうなと思いながら彼らを見送った。

 パーティからやや遅れて出発。堰堤を越えたところの流れはいつもより深かった。水量からいうと倍くらいというところだろうか。

概ね林道跡を歩いていく。傍の流れは濁りがあり流速が速い。

 30分ほどで三ツ谷の出合。奥に続く林道跡をわずかに進むと巨大な二段の堰堤が横たわる。意外な圧迫感にやや腰が引けた。

 左岸にモルタル壁がありその上あたりに狙いを定め登り始める。かなりの急斜面でルートを見極めつつ木枝を引っ掴み身体を持ち上げる。モルタル壁のすぐ上は樹木はあるが斜度がきつい。もう少し上に登ってトラバースに移る。樹木は立つが高度感のあるヒヤヒヤのトラバースは気が休まらなかった。二つ目の堰堤のモルタル壁は上がバンドのようになっていて助かった。が、そこから着地までがこれまた急斜面で木枝を掴みながら滑り落ちるように降りた。無事に川原に降りた時は心底ホッとした。右岸巻きの方が良かったのだろうか。

 堰堤を越えてからしばらくは何ともない沢が続く。釣り人のものなのか、左岸に明瞭な踏み跡がある。増水した沢中を避け踏み跡を辿っていく。

 ところどころ、かつて林道だったのではないかと思われるところがあった。その中に踏み跡が続いている。

 標高660mあたりで左岸山腹の重なり合った樹木の向こうに朝陽に輝く塔のような物が見えた。何だか気になって山腹を登って近づいてみた。それは地から生えて伸びたような岩だった。だが独立した塔ではなく岩尾根の切れ落ちた末端だった。猫の耳のように見えるから「猫耳岩」と名付けよう。猫ヶ洞だけにピッタリ。

 穏やかな谷の奥は左右に緩やかな斜面が広がりそこを素晴らしい樹林が覆っている。清々しい空気が立ち込め気持ちが安まる。堰堤越えのストレスから一気に解放された。

 780m二俣から直登沢へ入る。やはり増水気味なので目当てのゴルジュ越えは無理かもしれないが様子だけでも見ておきたかった。

 ゴルジュ入り口の滝は水量多く直登は避けたい。だが左から落ち口まで巻いていけそうに見えた。やってみるとうまく立木があり無事ゴルジュの入り口に立てた。

 ゴルジュに入れた事でテンションが上がったがすぐに斜瀑が現れたじろぐ。しかし、よく見れば登れそう。

 両岸切り立った岸壁が続く。左右への逃げ口がない中、滝がいくつか現れる。その度に登れるのか、と身構える。が、いずれも快適に登れて楽しささえ感じる。

 ゴルジュ最後の滝は高さ10mそこそこの斜瀑。下半分は登りやすかったが上は水流もあり微妙。しかし、とにかくゴルジュを乗り切ったことに感激した。

 ゴルジュを抜けると沢の雰囲気は一変して穏やかに。だが現れた滝はゴルジュの滝よりいやらしかった。

 秋晴れの下、穏やかな沢筋の左右に広がる樹林帯はゴルジュとは別世界。

 左右にブナ林を見ながらかれた沢筋を辿る。

 薄い笹藪を掻き分けて猫ヶ洞三角点到着。何だか以前よりさっぱりしたような…

 休憩は最高点で取る。こちらは広い台地状でその中にブナの巨木が数本立ち秋空に枝を伸ばしていた。

 下山は北に伸びる緩やかな尾根を下った。下り始めは枯葉に埋まる急斜面で沢足袋のままではきつかった。標高850mくらいに人工的とも思える平地がありそこからは穏やかな尾根になる。

 目的の尾根は広く緩やかでそこにブナの樹林が続く。

 枝振りのいい巨木もそこかしこに見受けられた。

 広い尾根を埋め尽くすブナ林はそれだけで壮観だ。時折現れるユズリハバリケードが玉に瑕ではあるが訪れて良かったと言える尾根だった。

<ルート図>

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