大垣山岳協会

発電パネル高原で思うこと 2024.10.22

その他

【 個人山行 】 SM

  • 日程:2024年10月22日(木)
  • 参加者:SM(単独)
  • 行程:内津神社(春日井市)駐車地9:20→国道19号側道市道10:10→11:00北山橋(中央自動車道の架橋)→滝ケ洞砕石場外周路→薮尾根越え→12:20市道舗装路12:50→1:10大沢グランド→県道多治見犬山線→1:40パネル地帯中心部2:00→2:20福田道路前→3:00駐車地
  • 地理院地図 2.5万図:高蔵寺・小泉

 内津神社奥のいわゆる丸形側道から北側やぶ道に入る。目標は北山橋から一つ東側にある中央道架設橋を渡ること。地図に歩道の記載があるが、踏み跡はわずかだけ。すぐ消えてしまい尾根の上に上がる。ここでずぼら丸出し。方位確認せず、西よりに降りてしまう。すぐ、鉄線網の柵に阻まれる。過去に見た記憶が鮮明。苦労して乗り越え、中央道側道に出る。すぐ西側に北山橋が見えた。橋を渡ってから、渡り残した架橋を見に尾根薮を400mほど進む。

 あった!幅4mほど赤茶けた手すり付き橋。(写真①)きっと、山仕事や集落間の生活道路として出来た橋だろう。山間地の人口減少や山仕事の消失で利用価値がなくなった。入り口には金網で通行止めがしてあった。自動車道開通から50年ほどを経過している。人の生活が変われば、高速路を取り巻く環境も変わる。一方で、自動車道には終始トラックの群れが途切れなくゴーゴーと走り続けている。

写真①

 橋を降りて舗装路を北に進むと、博国砕石滝ケ洞採石場の側道に出る。途中で道のない尾根筋から近道して大原町から延びる市道に出る。何度も歩いた道だ。沿道で携帯椅子に座り昼食タイム。そして舗装路を歩き、砕石や廃棄物処理(写真②)などの工場が点在する県道多治見犬山線を進む。やがて太陽光パネル高原に達した。パネル地帯の南側の高台に腰を下ろし、見渡す。南側にパネルで埋まった平原が広がる。(写真③)奥に犬山の八曽山系の山が見えるが、その奥の白山山系は雲海の奥に隠れていた。このパネル帯の東側に別のパネルが広がる。その奥に丸裸の平坦な丘。ここにもパネルが出来るのだろうか。(写真④)

写真②
写真③
写真④

 この巨大なパネル平原には過去3回ほど訪問している。道脇に二つの太陽光パネル事業の説明板が立つ。一つは東京の事業者のTSG社。出力19000kw、運転開始2021年4月、その東側にあるのは岐阜県坂祝町の会社の北小木太陽光発電所、出力499kw。運転開始は21年3月、とあった。大半は21年以後に出現したようだが、一部に2019年21年に稼働した部分もあった。

 今回、気付いたのは前回5月の訪問時に比べ、よりパネル帯が広くなったように感じた。そこで過去の写真を見てみると、5月当時既設のパネル帯の横に白い梱包箱がずらりと並んでいた。(写真⑤)どうも増設用のパネル資材のようだった。また、細長い更地が延びていた。そのような光景が幾つもあったが、今回の訪問ではその箱も空き地もなかった。その分だけパネル帯は広がったと見る。中央道北側の多治見市の大沢町と北小木町の砕石場、パネル地帯をうろつくようになってからまだ1年半しか過ぎていない。ダンプカーが出入りするだけで、歩く人とは一度も出会っていない。

写真⑤

 だが、砕石場や汚泥処理工場ができる前、この一帯は人工物のない広大な平原あるいは樹林帯だっただろう。そんな原野を歩いて見たかった、と思う。壮大なパネルを見る度に、草原や林野の高原だった原生自然が現代人の勝手でパネル高原に変えてしまった。タヌキやキツネがウロウロしていた情景は消えて行く。確かに現代生活に必要な砂利砕石や電力量確保は不可欠な事業だろう。原発再稼働を強行しようとしている政府の方針より、まだ太陽光発電推進の方が安全だという見方もあろう。

 太陽光発電パネルは今、全国の山地に増え続けている。日本の太陽光発電は2022年度で総発電量の9.2%を占めており、世界3番目の普及率という。大気へのCO?放出による地球温暖化を防ぐ優等生ではある。一方で、製品寿命は25~30年とされるパネルの廃棄物の大量排出が2040年以後見込まれる。へたをすると、緑の山野に廃物パネルが山積み廃棄される心配が予測されている。

 緑や草原の山野を歩き回るのが私の山行のスタイルである。山野が荒野に変わったとしも、そこを歩き回りたい。新たに現れた事物、事象、地形を目に入れて、新たな思いや願いを巡らす。そこに楽しさを感じるように思う。見たことのないものを見ると、それは何で、なぜ生じたのか、どんな意味があるのか……。歩きながら思い巡らすことが楽しいようだ。などと人ごとのように思う。完

帰路の脇にある道路用砕石工場。奥の山稜右端は高社山(416m△Ⅲ)。過去3回登っている。

<ルート図>

発信:10/27

コメント