月報「わっぱ」 2024年11月(No.516)
【 一般山行(秋山ミニ合宿) 】 北穂高岳 ( 3106m △なし )、涸沢岳 ( 3103.3m Ⅲ△ ) NY
2日目 北穂東稜編
(涸沢 ~ 北穂東稜 ~ 北穂高岳 ~ 涸沢岳 ~ 白出のコル ~ 涸沢)
10月13日(日)(快晴)
- 参加者:L.SD、NY、HM
- 行程:テント場6:00-東稜分岐7:00-東稜取付き7:30-(北穂東稜)-北穂高小屋9:30~10:00-北穂高岳10:20-涸沢岳11:00-白出のコル(穂高岳山荘)11:30~12:30-テント場15:00(泊)
赤く染まった涸沢のモルゲンロ-トに感動した後、Sリーダー率いる北穂東稜組3人は6時にテント場を出発した。遅いスタートであるが、前日の激しい雨で濡れた岩稜帯の通過はリスク伴うため乾く時間帯を狙ったリーダーの適切な判断だ。
ルートは涸沢小屋の脇を通り一般登山道である南稜を登る。1時間ほどすると東陵の分岐点に到着。ハ-ネス、ギアを装着しこれからの難所通過に気を引き締める。
ガレ場のトラバ-スを30分ほど歩き東陵の取り付きへ。取り付き上部はさらにガレており、足元は容易に崩れる。落石の恐れがあるため間隔を明けてすすむ。
一方、空を見上げると雲一つない抜けるような青空、これ以上ない天気だ。このタイミングに来ることができた幸せを感じる。右手には槍ヶ岳、左手には前穂高、奥穂高。さらに前方遠くには立山、剱、薬師、黒部五郎が見渡せる大パノラマ、眼下には紅葉した涸沢のテント場が広がるすばらしい景色だ。特に前穂北尾根はいくつもの鋭い岩峰を連ねており挑発的だ。いつか挑戦したい気持ちになる。
しばらくすると通称「ゴジラのしっぽ」に到着。奥穂組のA班と交信する。A班はザイテングラ-ドを登攀中とのこと、お互いの安全を確認する。
その後稜線歩きとなるが、大小の岩を越えていくアスレチック感覚。特に難しいところはないが、左右が切れ落ちており適度な緊張感で、皆楽しいとわいわい言いながら進む。途中、一か所垂直の大きなピナクルを登る。ホールド・スタンスは豊富だが、下を見ると痺れる様な高度感で緊張する。集中して一手一足を確認しながら登る。登りきった後にもう一つのピナクルがあり間隔が狭くザックが引っ掛かり苦労する。
いよいよ尾根は狭まり切り立ってナイフリッジに変わった。通称「ゴジラの背」、名前の通りギザギザで左右がスパッと切れ落ちている。ここは涸沢側に身を乗り出し通過する。鞍部に下る最後の下降点に到着、クライムダウンで降りることもできるが、途中のスタンスに前日積もった雪がみられるため、リスクを避け安全に懸垂下降を選択する。
下降を終わるとあとは北穂高小屋への登攀だ。もう終わりか。北穂東稜に少し物足りなさを感じながら、最後の急な壁を登る。足場が悪くかつ距離もあり息があがる。1時間ほどで小屋に到着した。
小屋で休憩中にベンチで同席した若者と山談義に花が咲いた。写真が趣味で単独でボルネオのキナバル山に登った話を聞く。海外の山も身近に感じられる楽しい会話ができた。
10時、小屋を後にしてA班の待つ穂高岳山荘へ至る涸沢岳を経由する縦走路へ向かう。ル-トは昨日の積雪で北斜面はところどころ凍結しており危険を感じる。北穂東稜より神経を使う。鎖やはしごを使いながら涸沢岳に登頂し、11時30分穂高岳山荘到着。A班と合流する予定だったが、A班は積雪で奥穂登頂を断念し涸沢岳往復に変えたため早い下山となり会えなかった。
小屋で昼食をとりザイテングラ-ド経由で涸沢カールのテント場を目指した。9時間に及ぶ山行で少々疲れたが天気に恵まれ大変楽しい山行であった。
※写真はSD、HM提供
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