大垣山岳協会

2024年秋のミニ合宿・穂高涸沢 №1 入山編 2024.10.12-14

北穂高岳

【 一般山行(秋山ミニ合宿) 】 穂高岳 ( 涸沢周辺 ) 長野県松本市安曇 NT

1日目 入山編

 当会2024年秋のミニ合宿をCL.NH、SL.SDの下に穂高涸沢で行った報告である。思わぬ降雪に一部計画の縮小を余儀なくされたが北穂東稜から涸沢岳周回は当初の予定通り成果を残した。又涸沢からの下山は前穂北尾根屏風のコルを越えて奥又白谷へ至るパノラマコースを採用し槍・穂高の雄姿を眺め秋のアルプスを堪能した。

<ルート図>
  • 日程:2024年10月12日~14日(土~月)
  • 参加者:L.NH、SL.SD、KM、GM、NY、NT、HM、MM
  • 行程:後述
  • 地理院地図 2.5万図:穂高岳

10月12日(土) 天候:晴れ(晴れ後ヒョウ後一時雨)

  • 行程:上高地バス停5:50-明神6:46-徳沢7:29-横尾8:50-涸沢12:16

 混雑するアカンダナで3台目の臨時バスに乗れると一安心し車中で睡眠不足を補った。上高地へ着く頃には夜が明けて上々の天気を確信して笑顔で出発した。

 早朝の河童橋は未だ観光客はまばらで五千尺の売店も閉まっていた。岳沢の上部穂高の稜線はガスが隠していたが晴れ間が覗く確信は揺らがなかった。

 明神岳の尖峰を見上げて感嘆の声が漏れ聞こえて来る。明神館から梓川を渡ると明神神社が有って随分昔の事だが関根恵子がヌード写真を撮って騒がしかったことを思い出した。

 前穂東壁を臨む徳沢の緑地テン場。一度のんびりテン泊したい憧れの地だが未だ叶えていない「女に出来ない岩ならば、せめて行きます徳沢へ、貴方のご無事を祈りつつ心でジッヘルいたします」女性とのかかわりの少ない山屋の願望を歌にして合宿で唄ったものだ。

 横尾への道すがら梓川を隔てて前穂高東壁を見上げる。山頂直下の右岩稜とDフェース、Ⅳ峰正面壁が確認出来る。正面の谷が奥又白谷でその左の尾根上に奥又池が有ってその左の谷が中又白谷である。写真最右の尾根が慶応尾根で帰りはそれを跨いで下山予定である。

 横尾で梓川右股(槍沢)に架かる横尾大橋を渡って横尾尾根末端から裾野を横尾谷沿いに進む。対岸に前穂高北尾根の屏風の頭が威圧している。

 前穂高北尾根の末端は屏風岩である。壁の最左凹角がⅠルンゼ、その右のスラブが東壁、ブッシュの目立つ壁が中央壁、右端が中央カンテで屏風岩が初めて登られたルートである。我が会の副会長であられた武藤嘉彦氏(故人)も初登攀に関わられた。また東壁は日本で初めて埋め込みボルトが使用され近代クライミングの幕開けとなった。

 横尾谷左岸から右岸へ渡る橋の河原で休憩をした。ここからいよいよ涸沢への登りとなる。

 横尾谷を右岸へ渡ると一気に高度を稼ぐ、足場が不規則で高く宿泊装備の重さがズッシリと腿に負荷をかけるや直ぐに両ふくらはぎが痙攣を起こした。たまらず道脇の石にへたれた。それほど経験もないような女性が次々と抜いて行く、自尊心がズタズタに裂かれた。

 先ず北尾根が見えて涸沢カールの上部ザラ場が見えた。白出しのコルに穂高山荘の赤い屋根が見えている。若者のペースについて行けずメンバーにはテント場の確保が有るので先行していただきNH君にスローペースのお付き合いを願った。

 石畳の階段を登り切ると凄い数のテントがカールを埋めていた。テント受付所は北穂沢方向へ60mほど長蛇の列で我々の若い時代には考えられない状態だ。ここはパーティーの利を生かし申請と設営に分かれ行動、私のペアのGM君は既に設営が終わる所であった。

 10月前半の涸沢の魅力はナナカマドとダケカンバの見事な紅葉であるが今年は夏の異常な猛暑が影響して黒くチリチリに葉焼けを起こしカールの彩りは期待外れで有った。テント傍に難を逃れたいくらかましなナナカマドの株を見つけて撮影した。

 設営を済ますと先ずはビールで乾杯をと長蛇のテント申請者を横目にヒュッテの展望テラスへ移動した。ところが此処でも売店は長蛇の列、よほど根気がなければ並んでいられない。ここは体力自慢SDちゃんにお願いして涸沢小屋迄買い出しに行ってもらうことに。

 やっとビールが手に入り呑み助は喉を潤した。そして長い列に根気よく並んでいた女性陣はラーメン等の暖かい器を抱えて帰って来た。やっと全員が揃って盛り上がった14時過ぎに俄かに雲が低く垂れて寒くなると透明な固形物が落ちて来てテーブルや床ではねた。6㎜ほどの固形物はヒョウで頭や肩も叩かれ痛い!慌てて風防を被り防いでいたがやがて雨となって止む気配がない、宴会は中止、蜘蛛の子を散らすようにテントへ逃げ帰った。

 ヒョウから冷たい雨に変わるも直ぐに止むと思っていたが意外に長引いて16時を過ぎてもまだ降り続いていた。その日は結局テント毎に食事を済まし分かれて過ごした。

KM提供

 気掛かりはこの雨が岩を濡らし夜半の冷え込みでベルグラ(薄氷)が張らないか心配である。明日は奥穂高ザイテングラードと北穂高東稜に分かれての行動であるが両班とも安全を期し出発を1時間遅らせることにした。

 やがて雨が上がり陽が落ちると背後の北穂東稜と南稜がシルエットで浮かび周りのテントに灯が燈った。夜半に外に出ると星が近かった、オリオン座を見上げて明日の晴天を確信した。

№2へ続く


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