月報「わっぱ」 2024年9月(No.514)
ガイド地図のからくり
HY
この夏、私を含め4名で新潟県南部の火打山、妙高山に2泊3日で登ってきた。久しぶりに泊まる山小屋は以前と違って快適だったし、天候にも恵まれ非常に楽しい山行だった。
その計画段階の話である。私が計画案を提示しても他の3名からは「無理です」「自信ありません」の返事。どうしても話が合わない。いろいろ調べると、お互いの見ている地図が違っていたのである。多分皆さんも利用していると思うが昭文社の「山と高原地図」。私は約30年前の1996年版を見ており、他は最新版を見ていたのである。その間、当然だが地形は変わっていない。登山道のルートもほとんど変わっていない。要はコースタイムが変わっていたのである。具体的に言うと、登山口の笹ヶ峰から妙高山までの所要時間は1996年版では4時間40分だったのが最新版では6時間15分になっていた。30年間でなんと35%も伸びていたのである。
今回の山行で実際のコースタイムを検証した。その結果は3日間の平均で1996年版のコースタイムより35%オーバーしていた。つまり最新版のコースタイムだったのである。
私は現在77歳。以前のように早くは歩けないし、特に下りは一歩一歩慎重に足を運ぶようにしている。その結果、登山中すべての人に追い抜かれた。つまり一番遅い人の所要時間が最新版のコースタイムなのである。
ということだから、皆さんはガイド地図のコースタイムを鵜呑みにせず、体力に応じで7掛けとか8掛けする、あるいはガイド地図を信用せず自分で地図を読み高低差や距離から所要時間を推測するなどしてほしい。ガイド地図を鵜呑みにして山小屋に早く着きすぎて無為な時間を過ごすより、道中をゆっくり楽しく過ごした方がどれだけ有意義だろうか。
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