【 個人山行 】 木曾駒ヶ岳 ( 2956m Ⅰ△ )、空木岳 ( 2864m Ⅱ△ ) NH
- 日程:2024年9月11日(火)~9月12日(水)
- 参加者:NH(単独)
- 行程:後述
- 地理院地図2.5万図:木曽駒ヶ岳、空木岳
9月11日(火)1日目
- 大垣3:30出発=菅の台バスセンター到着5:30=千畳敷駅8:40-中岳9:42-木曽駒ケ岳10:12-宝剣岳10:58-極楽平11:39-島田娘11:51-檜尾岳13:58-檜尾小屋テント場14:15
平日の連休、かねてより登ってみたかった空木岳に登ってきた。
どうせ登るなら木曽駒ケ岳(2956.1)から、目指す空木岳まで縦走をしてみようと思い、丁度中間点にある檜尾小屋で一泊の計画を立てた。山の天気予報アプリによると、二日間とも天気は晴れで登山ランクA。ところが現地に到着すると何やら雲行きが怪しい。平日だから混んではいないだろうと思っていた菅の台バスセンターの乗車待ちの長い行列の中、「ついてないなあ。雨の中登りたくないよ」等という声が、聞くともなく耳に入ってくる。予定発車時刻から一時間ほど遅れて出発。ロープウェイに揺られる頃にはとうとう雨が降り出した。

千畳敷駅に到着すると、雨は小雨程度だが、ガスがかかっており千畳敷カールの景色は全く見えない。平日とは思えない人の中、行列の一員となって木曽駒ケ岳に向かう。

途中、「木曽駒ケ岳はどっちですか」と高齢の男性に聞かれる。所々に道標があるのでわかりそうなものだが、ガスの中視界がきかないので不安なのだろう。さすがにこれならわかるだろうと思われる道標がある所まで一緒に歩いて案内してあげた。
やがて中岳を経て木曾駒ケ岳に到着。展望は得られなったが三角点にタッチ。やっぱり初めて登る山は嬉しいものだ。しばらく休憩して宝剣岳(2931)に向かう為木曾駒ケ岳を後にしようとすると、先ほどの男性が登ってみえた。「やあ、あなたのおかげで登れました。とても嬉しいです」と声をかけてもらった。山頂での写真を撮ってあげて、別れを告げた後振り返ると手を降って見送ってくれた。何だか亡くなった山好きの両親を思い出してしまった。

宝剣岳に向かうも相変わらずのガスの中。歩みを進めるとボンヤリと岩の塊のような宝剣岳が現れた。

ふと気が付くと、今まであんなにいたハイカーの姿がほとんどない。岩峰に取り付く手前に「滑落事故多発」の注意喚起の看板が設置してある。やがて数名のハイカーがいる最高点と思われる箇所に到着。祠がお祀りしてある。視界がきけばかなりの絶景や高度感を味わう事が出来たのだろう。回りの岩しか見えないピークをそそくさと三ノ澤岳との分岐方面に下りにかかる。鎖場が連続する足場を下るのだが、すれ違いが難しい箇所があり緊張した。

宝剣岳を後にして檜尾山へと向かう。三ノ澤岳との分岐を過ぎると極楽平に至る。なるほど比較的アップダウンの多いルートの中でも「極楽」のような平坦な所だ。途中わずかではあるが、ガスがとれて三ノ澤岳やまだ先にある島田娘(2858)が見れた。この島田娘という山名は、農期を知らせる雪形(左側を向いた島田結いの女性の姿)から来ているとの事だ。


その先の濁沢大峰の前後は岩場もあるアップダウンが続く。途中「調査中」の腕章をした方に出会った。何の調査をしているのか尋ねると、ライチョウの生息状況の調査をしておられるとの事だった。以前は個体数が激減したらしいのだが、現在中央アルプスにおいて個体数が増えているとのお話をして下さった。
ようやく檜尾岳(2728.0)に到着し、テント場へと向かう。テント場は檜尾岳から少し下った所にあった。すでに4張程のテントが設営してある。檜尾小屋はそこからさらに先にあった。

小屋までの微妙な登りがしんどい。かつては無人小屋だったらしいのだが、現在は管理人が、ある期間常駐しているとのこと。素泊まり7000円、テン泊一人2000円。テント設営の受付を済ませ、水場を尋ねると小屋からさらに下った所にあると教えて頂いた。うーん遠い。しかし贅沢を言ってはいけない。ハアハア言いながらテント場に戻り、小雨の降る中テントを設営。ホントは星空にカンゲキしながらの一人宴会をしようと思っていたのだが、星空どころか視界がない。雨がテントをたたく中、担いできたビール二本と焼酎、さっき小屋で買ったビールをもう一本追加。飲みすぎである。すでに暗くなっても数パーティが到着してテントを設営していた。
このテント場は携帯電話の電波がしっかり届く。明日の天気予報を調べると予報では晴れだが午後は怪しいみたいである。出発は早めにしよう。
9月12日(水)2日目
- 檜尾小屋テント場4:30出発-大滝山4:57-熊沢岳5:53-東川岳7:03-木曽殿山荘7:30-空木岳8:47-駒峰ヒュッテ9:00-駒石9:44-空木岳登山口へ下山完了13:41
まだ暗いうちからテントをたたみ、ヘッドランプの明かりをたよりに出発した。空を見上げると星が見える。今日は期待できそうだ。

やがてあたりが白みだすと伊那盆地を挟んだ東側に南アルプスの山並みが浮かび上がってきた。西方面には雲海の中に御嶽山が浮かんでいる。そして日の出の時間を迎えた。登る朝日の傍らに富士山の頭が見える。目指す空木岳方面も朝日に照らされて朝焼けに染まっていく。至福の時間だ。昨日とは打って変わって天気も上々。昨日の雨か朝露なのか、ハイマツ帯を歩くと足元がビショビショになるが、景色も良く楽しい空中散歩である。

大滝山(2708)、熊沢岳(2778)を過ぎ、東川岳(2671)を経て木曽殿越えにある、木曽殿山荘に到着した。地形図でもわかるがアップダウンが多くてしんどい。
ここからいよいよ空木岳に続く北西の尾根に取り付く。すると今まで良い天気だったのだが、2782地点にガスがかかり始めた。風があまりないせいか、太陽を遮るように滞留している。稜線の際に太陽があり、ガスがその光を反射して時折七色に光って後光のようだ。「?これってもしかして…」慌てて稜線に向かって走り出す。途中見下ろすと下にもガスがかかりだした。そしてスクリーンの様に稜線の形をその中に浮かび上がらせ彩雲のように光りだした。

息も絶え絶えになりながら稜線上に立ち、太陽をバックに下を見ると、遠く離れてはいるが、そこには後光をまとった観音様が…。以前読んだ新田次郎の「槍ヶ岳開山」の中にもある。霧の中に浮かぶその姿は阿弥陀如来様か、亡くなった父、母か…。とにかくその姿に驚き手を合わせたという。ブロッケン現象である。現代では説明のつく自然現象とわかりつつも思わず私も手を合わせる。やがて風にガスは流され、その姿も山肌に消えていった。しばらく余韻に浸った後空木岳を目指す。

2782を過ぎると巨岩の岩稜が続く尾根になり、偽ピークに何度か騙されながらようやく空木岳(2864.0)に到着。三角点に触れることが出来た。雲は若干多いものの、青空が広がり、眼下には駒峰ヒュッテが見える。さながら天空の城ラピュタの世界である。


ヒュッテで大休止した後、下山開始。幽霊の出ると言われる尾根の下にある空木岳避難小屋に寄ろうとも考えたが面倒くさくなって「駒岩」と呼ばれる大岩経由で、長い長い尾根を下って行った。
高度がなかなか落ちない尾根で、後半にさしかかると「大地獄、小地獄」と呼ばれる激下りがあり、山慣れしていない人にはきつそうな箇所だった。
バスターミナルに到着するとやはり高所とは違い暑いのなんの。平日にもかかわらず、昨日と同様沢山の車が駐車してあった。

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