大垣山岳協会

【夏山合宿】雲ノ平、鷲羽岳、三俣蓮華岳、黒部五郎岳 2024.08.09-12

三俣蓮華岳

月報「わっぱ」 2024年9月(No.514)

【 一般山行 (夏山合宿) 】
雲ノ平、鷲羽岳 ( 2924.4m Ⅲ△ ) 、三俣蓮華岳 ( 2841.4m Ⅲ△ )、
黒部五郎岳 ( 2839.7m Ⅲ△ ) ほか5山
YC

  • 日程:2024年8月9日(金)~12日(月)
  • 参加者:CL.FI、SL.MT、IM、KM、MY、YC
  • 行程:後述
  • 地理院地図2.5万図:有峰湖(高山10-1)、薬師岳(同6-3)、三俣蓮華岳(同6-4)
    [ 鷲羽岳 :北緯36°24′、東経137°36′、三俣蓮華岳:北緯36°23′、東経137°35′、黒部五郎岳:北緯36°24′、東経137°32′ ]

8月8日(木)(晴れ)
三城交番西駐車場22:00=岐阜各務原IC=東海北陸自動車道=北陸自動車道=流杉SIC=
8月9日(金)(1日目) (晴れ) 有峰林道ゲート前2:00~(仮眠)~6:00=折立臨時駐車場6:30~7:00-点名・青淵8:35-太郎平小屋11:00~11:40-薬師沢小屋13:50(泊)

 2021年10月、丹生理事長が黒部川源流奥の院周回をされ、その記録を読んだ時に感動したとともに「いつかは行きたい」と憧れていました。今回は理事長の周回の逆周りで、北アルプスの最奥部黒部源流の峰々を歩く計画です。私には最後のチャンスと思い参加しました。

 前日の夜10時に出発し、有峰ゲート前の駐車場で仮眠する予定が、想定外のやぶ蚊の襲撃をくらい睡眠不足。朝6時にゲートが開き駐車場に向かいますが、すでに満車で300m先の臨時駐車場に停めます。折立登山口にはトイレや自販機があり、いよいよ長い登山の開始。

 樹林帯の整備された歩きやすい登山道を地味にひたすら登ります。お盆休みでもあり前も後ろも人人人、頭上にはヘリコプターの音、北アルプスにいるんだと実感します。

 1時間半登り、三等三角点「青淵」のある立派なベンチにザックを下ろすと剱岳が見えワクワク。森林限界を越えるとガレと木道が長く続き、雲海から白山が覗いています。太陽の光が眩しい。太郎平小屋で、南北に優美に伸びた「北アルプスの貴婦人」薬師岳の絶景を前に昼ご飯を食べ休憩。薬師沢小屋に宿泊する人は通過時間確認の為に太郎平小屋で受付をします。

 薬師沢を下ります。すれ違う人もグッと減り、オオシラビソの向こうに水晶岳、三俣蓮華岳の雄大な景色に静かに浸ることが出来ます。

 カベッケガ原の木道脇にはチングルマの綿毛、りんどう、秋のキリン草と山は秋の気配です。沢の音が聴こえてきて、山小屋の赤い屋根が見えます。薬師沢小屋は黒部川源流と薬師沢の出逢いに位置しており、少し傾いています。部屋は6人個室の2段ベッドです。

 各自コーヒーを飲んだりしてくつろいだ時間を過ごします。私は光を浴びてエメラルドグリーンに輝く清流に惹きつけられ、足をつけると冷たく疲れもとれ気持ちいい~。部屋に入りザックの重さ比べをすると、会の浅い人が一番重くテント泊程の重さがありました。IMさんのザックのパッキングが見惚れるほど美しく、中身を聞くとツエルト、コッフェル等ビバーク出来る用品でした。プロの山岳ガイドと一緒に登っているみたいで安心して眠ります。

<ルート図①:1日目、4日目

8月10日(土)(2日目) (晴れ)
薬師沢小屋4:30-アラスカ庭園6:50-雲ノ平山荘7:50-祖父岳(2825m)9:25-ワリモ岳(2888m)10:50-鷲羽岳11:30~12:00-三俣山荘-三俣蓮華岳14:00-黒部五郎小屋15:30(泊)

 いよいよ今回最長13.5㎞、10時間30分の山行。水2ℓ、朝ごはんのチマキ3個。ザックを担ぐと気合が入ります。薄暗い中、小屋前の赤い吊り橋を渡り直ぐ濡れた垂直の梯子。急坂は一直線、苔石を滑らないよう慎重にみんな無言で登ります。雲ノ平の入口アラスカ庭園に入るとチングルマの綿毛に朝露が宝石のように朝日に輝く。祖父岳、水晶岳、黒部五郎岳の雄大な名山に囲まれた空中庭園、日本最後の秘境・雲上の楽園。人間がどんなに頑張っても出来ない自然の偉大さを感じます。のんびりと雲ノ平を散策したいのですが、まだまだ行程は長くそのまま祖父岳(じいだけ)に向かいます。

水晶岳を正面に雲ノ平の木道を進む

 祖父岳の山頂は鐘状に盛り上がっていてのびやかです。ケルンの前に山名版。休憩も兼ねて1対のライチョウをモデルに写真撮影をして、エネルギー補給します。岩苔乗越、ワリモ岳から見た鷲羽岳はがっしりと見上げるように高い。鷲羽岳の西斜面からの滴り落ちるしずくの一滴が黒部峡谷となるロマンを感じながらも頂上までが遠い。着替えを2日分持ってきたことを後悔し、ザックに付けた熊鈴、今回のA4地図9枚までもが重く感じます。

 鷲羽山頂は石でごつごつしており人も多いです。槍・穂高をバックに鷲羽池が眼下に見え思っていたより大きくて不思議な気分。360度大パノラマの中で贅沢なランチタイムですが、冷たい水分の飲みすぎと疲れ等で胃が痛く、胃薬を飲みます。

 三俣山荘に13時までに到着出来なかった場合は、三俣蓮華岳はトラバースして登頂しないとリーダーから聞き、鷲羽岳からザラ場を三俣山荘に下ります。12時50分に到着しリーダーの綿密な予定表に驚くとともに感謝の気持でいっぱいになりました。

 三俣山荘のテント場は若い人達でにぎやか。挨拶を交わしながら元気をもらい、今日最後の山、富山・岐阜・長野を分ける三俣蓮華岳に向かいます。三俣蓮華岳山頂はあいにくガスの中。やっと電波が届いたため黒部五郎小屋に「遅れるかもしれない」と電話連絡をすると「4時までは大丈夫」と返事をもらい安心します。黒部五郎小屋まで500m下るのに思っていたより時間が掛かりましたが4時前に入れました。

 山小屋で暑い日が続くので明日の出発時間を早めたほうがいいとアドバイスされ1時間早めました。ここでも8人1部屋に私達6人だけ。仕切りもありゆったりくつろぎます。
長い長い一日が終わり、三日月を見ながらホッとしました。

<ルート図②:2日目

8月11日(日)(3日目) (晴れ)
黒部五郎小屋6:00-黒部五郎岳8:30-中俣乗越10:20-赤木岳11:10~11:40-北ノ俣岳12:40-太郎山(2373m)14:00-太郎平小屋14:10(泊)

 朝6時なのに日差しが目に痛い。お世話になった山小屋の方にお礼を言い、憧れの黒部五郎岳に向かいます。いつかは登りたいと願っていた山、嬉しくて疲れも吹き飛び足も軽い。

 スプーンですくった様なカール、そそり立つ岩壁と巨岩が点在の片隅で、モミジカラマツ、黄色のウサギギク、ミヤマリンドウが咲き対比が美しい。小川が流れ、その水は冷たく澄んで美味しいです。景色を楽しみながら、ゆっくりと登っていきます。肩の分岐にザックをデポして10分程登ると黒部五郎岳の山頂。山名版の前には石の不動明王が鎮座しています。

薬師岳をバックに黒部五郎岳で全員集合

 朝が早い為か頂上には数人。槍、穂高連峰が先程まで見えたのに、今はガスの中で残念。この先の赤木岳、北ノ俣岳、太郎山までアップダウンがなだらかに見え安心。白いタテヤマリンドウが咲き誇る道を下り、振り返り黒部五郎岳に別れを告げます。

 中俣乗越で赤木沢から上がってきた若い男の子達に出逢いました。ここが一番尾根道に取りつきやすいと聞きましたがNHリーダー達の沢組はもっと先で上がるだろうとIMさん。

 赤木岳山頂はトラバースが多く、踏み跡が分からず危険。頂上で私達だけのランチ。この3日間の昼は疲れもありパン2つ、バナナチップ、ナッツだけしか食べられません。

 北ノ俣岳でも数人沢から上がってきましたが大垣山協の人ではないようです。

 太郎山まで穏やかに緩やかな長い道のり。以前は池塘がいたる所にあり、水に青空と白い雲が写りきれいでしたが、今は干上がり赤い渇いた土が見えるばかりです。今日最後の山、太郎山に着くと小屋まで5分です。嬉しいような淋しいような気持になります。

 太郎小屋で赤木沢組と無線で連絡をし、15時30分に拍手で出迎えます。皆さんやり切ったいい顔をしています。

<ルート図③:3日目

8月12日(月)(4日目) (晴れ)

 朝3時、KMさんにペルセウス座流星群の流れ星が見れると聞き、外に出て夜空を見ます。

 沢山の星がはっきり見え流れ星も見ました。薬師岳の方を見ると、灯りが幾つか見え綺麗だな~と思いました。

 山小屋の朝は早く5時に食事。赤木沢組と7時に合流して下山です。

 全行程50㎞、30時間。長い山行の宿泊先の調整やルート変更等で、FI.CL、MT.SLにはお世話になり心から感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。

(4日目のコースはルート図①:4日目  )


フォトギャラリー ~ 旅の想い出 ~

Photo by KM

ライチョウの夫婦

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