【 個人山行 】 御嶽山・鈴ヶ沢遡行 HT
- 日程:2024年8月4日(日)晴時々曇りのち一時雨
- 参加者:L.HT、SL.NH、HM、YC、他1名
- 行程:
8月3日(土) 大垣14:00=御嶽山・田ノ原駐車場17:30 前泊
8月4日(日) 田ノ原駐車場5:15=鈴ヶ沢林道車止め6:00~15-入渓地7:00~15-大滝7:40-奥の大滝11:20-田ノ原駐車場13:25=鈴ヶ沢林道車止め=大垣 - 地理院地図 2.5万図:御岳高原、王滝
鈴ヶ沢は十数年前に2度訪れている。1度目は単独で小三笠山を経由しての周回ルート。2度目は田ノ原に車をデポして4人での遡行。いずれも美しい渓相に目を奪われてばかりだった。あの景色をもう一度見たい。その思いから今回の計画となった。
田ノ原に車をデポする予定なので5人に車2台で出発。途中で買い物をして田ノ原駐車場に向かう。駐車場にはすでに御嶽登山と思われる車が何台もとまっていた。適当な場所に駐車して脇で談笑しながら食事し早めにシュラフに入った。ガスが流れる中、時折覗く星空が綺麗だった。
まだ暗い4時に起床、食事後沢装束になって1台に乗りこみ鈴ヶ沢林道に向かった。林道を進み橋を右岸に渡ったところで車止め。その手前に駐車して出発した。
20分ほど林道を歩くと橋に出る。計画ではこの橋から入渓するつもりだったが昼からの気象予報が芳しくないので少しでも時間短縮するため更に林道を進み次の橋の袂から入渓した。
入渓直後は荒れた感じのゴーロ。しかしすぐに感じの良い滑床が現れる。
ゴツゴツとした岩床は火山性の岩質だからだろう。色合いも独特だ。
左岸には美しい滑滝が落ちていた。入渓からまだそれほど歩いてないうちに見どころが次々に現れる。
谷が細くなると大きな釜を持った美しい滑滝が目を奪う。
ふと頭上を見ると大きな岩が顎を突き出して今にも崩れ落ちてきそうだった。
入渓からわずか30分、早くもこの谷のハイライト、30m大滝が姿を現した。前衛の滝を巻き上がると大きな釜がありその向こうに小滝がかかっていた。この小滝を登り大滝に近づいてみる。大滝の下には深い青色をした底の知れぬ滝壷が恐ろしげな口を大きく開けていた。
大滝は右岸の踏み跡を辿って巻いていく。前日のものと思われる新しい踏み分けがあり助かる。しかし、滑りやすい急斜面なので慎重に。以前は途中で滝裏へ入る事ができたのだが今回はその場所が分からなかった。ルートが変わったのだろうか。裏見の滝をメンバーに見てもらいたかったのだが残念。
大滝を巻き終え奥に進むと4mほどの滝。ここは以前登った右側の壁を同じように登ってみる。しかし、岩が滑っていて登りにくく後続にはロープを出した。
4m滝を登り終えると谷が狭まってその中に美しい流れが続くようになる。ここからがしばらくがこの谷の最も魅力的なところ。美しさに目が奪われ歩が進まなくなる。メンバーからも感嘆の声が絶えなかった。
現れる滝はウォータスライダー系のものが多い。滑ってみてもいいような気もするが今日は意外と気温が低くて気が乗らない。
現れる滝や淵は微妙なへつりをして越えることも多かったが今回のメンバーなら問題ない。
続く美渓にうっとりして進んでいくとY字の滝が現れた。この滝は以前登ったことがあるので今回も挑戦してみた。しかし以前のようにはいかず中ほどから滑りおち釜へダイブした。十数年の歳月のせいなのか、条件が難しかったせいなのか、岸に泳ぎついて恨めしい視線で一瞥しすごすごと左岸を巻いた。
絵になる10mほどの垂瀑が現れた。釜は大きく深い。左岸から巻いていく。
水流を思わず歩き出す気持ちがわかる。僕も後に従う。冷たいが楽しい。
そしてこの谷の不思議、流れ込みのない釜。実は奥の岩の下に穴がありそこから水が流れ込んでいる。こんなのがどうやってできたのか、自然の面白さだ。
これも不思議な造形の斜め滝。このあたりからやや大きな規模の滝が続く。左岸から巻く。
左右に滑滝がかかった二股。左は苔むした中に水流があり不思議な感じ。進むのは右の方だがここで痛恨のミス。左岸を巻き上がっていくも高巻きしすぎてどうも様子がおかしい。で戻ってもらうことになった。その戻る途中で奥に続くバンドを発見。それを辿って何とか巻く事ができた。結果は良かったのだがメンバーには迷惑をかけた。
穏やかな滑床の後に続く大滝。今度のは10m幅広。これは手前にある水流の弱い階段状の滝を登って簡単に越えられた。
下に大きな空洞ができた壁の先に落ちている6m滝。この辺りはいかにも溶岩が冷え固まってできたという様相だ。右岸から巻いた。
10mはありそうな巨大なウォータースライダーは左岸の岩斜面を慎重にトラバースして樹林に入り巻く。
滝はまだまだ続く。滑滝の連瀑。メンバーから「まだ滝がある!」と悲鳴にも似た声があがる。僕自身、こんなに滝があるとは思ってなかった。
小規模の滝ながら釜は深い。不思議なことにこの釜の水は今までと比べて透明度がかなり高い。
あれほどあれほど続出した滝が落ち着きゴーロの沢となる。この頃から空に暗雲が広がり何時底が破れるかと気がかりになった。
やがて荒々しい岩壁が頭上を取り巻くようになる。粘度の高い溶岩が固まってできたものだろうと推測するが果たして。
最後の5m滝は上に流木がかかり登りにくそうだったので左から巻く。
奥へ詰めていくと行く手に壁が立ちはだかる。これもおそらく溶岩ではないかと思われる。地形図では滝のマークが付いている。一見これ以上進めないように思われるが左岸を少し戻ったところに巻きルートがある。
それと思しきところに行くとまだ新しい踏み分けが残されていた。30m大滝の踏み分けと同じものだろう。いずれも10数年前に比べると不明瞭で、最近は頻繁に遡行されることがなくなったのかも知れない。
巻道の上部はちょっとした岩登り混じりの急登で慎重に登っていく。
尾根に出てしばらく藪を漕いで進んでいく。背丈を越えるような笹原が続き体力を奪っていく。適当なところで右手側の沢筋へ下降。沢筋はまるで敷石でもしてあるかのようで歩きやすくホッとする。
明瞭な沢すじが続き迷うことはない。しかし、途中で雷鳴が轟き、やがて激しく雨粒が落ち始めた。たまらず上だけカッパを着て雨を凌ぎ先へ進む。
徐々に斜度を増し途中、壁を巻くような場面もあったが思ったほど労せず車道にたどり着く事ができた。雨はいつの間にやら止んでいた。メンバーの顔にはやっと確かなところに出られたことへの安堵感とやり切ったことへの満足感とが相混ぜになった笑みが浮かんでいた。
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