大垣山岳協会

2024年前期(5月)岩講習会・権現山 2024.05.26

岐阜権現山

【 一般山行(岩登り講習会) 】 芥見権現山 NT

 2024年前期、岩講習会は5月26日(日)NH.L、SM.SLの下に18名の参加で行われた。講習はA組(経験)B組(初級)に分けて行われ、NH.LからはA組であってもロープ結びなどが未熟と判断すればグループの入れ替えを行うという厳しいお言葉、体験参加者も交えて一日安全登山の基本技術習得に励んだ。

<講習地>
  • 日程・講習時間:2024年5月26日(日) 6:50~13:30 晴れ
  • 参加者:CL.NH、SL.SM、PL.SD、PL.HT、IK、KM、KT、ST、SK、TM、NY、NY、NT、HM、MY、MT、YC、体験参加1名
  • 地理院地図 2.5万図:岐阜北部

 NH.CL以下のコーチ陣5名は講習時間を有効に活用する為に岩場に固定ロープを張り巡らす作業の為に我々より早立ちしている。みっちり練習して習得せねばと気合を入れる。

 先ず「岩場に着いたらヘルメットを装着して下さい」NH.CLの第一声で有る。岩場は人だけではなく自然落石がある。NH.CL、SM.SLの注意喚起のあとA,B組に分かれた。

 A組は何度か講習を経験している方が対象で有る。SD.PLの講義を熱心に聞く参加者、安全が第一で聞き逃しが事故に繋がる、真剣で有らねばならない。

 A組では直ぐにトップロープの実践で登り出した。クライミングは三点支持が基本、両手、両足四点の中で動かすのは一点、登山の手段としてのクライミングであり人工壁競技と同一視しない。自然の岩場は浮石も多く必ずホールドとして使えるか確認して体重を預ける。

 HT.PLのビレイを見つめるA組の講習生、クライミングは登攀と確保が完璧に出来てザイルパーティーが成立する。延びたザイルの後方から登っただけではクライミングが出来たとは言わない。これからも沢登りなどの計画が有るのでしっかり学んで欲しい。

 順番待ちの間にもロープ結びに取り組む「未熟者は組の入れ替えで降格させる」NH.CLの一言はいい刺激になったようだ。

 B組はSM.SLの指導で先ず簡易ハーネスの作り方から入った。彼女の指導はわかりやすく明るい性格は場を和ます。簡易ハーネスの重要部の説明では「こうなるからダメなんやー」とやって見せる。実に分かりやすい、旨いと感心した。

 次はクライミングに欠かせないシュリンゲの作り方、近頃は専門店で市販されているが是非自分で作って欲しい。シュリンゲ作りのダブルフィツシャーマンズ結びはロープ結びの基本であるからだ。絶対に解けてはいけない時のザイルの連結にも使用する。

 シュリンゲを使ってフリクションノット(メインロープにシュリンゲを巻き付ける総称)の練習、ブルージック、クレムヘイストノットを反復した。この時重要なのはメインロープよりもシュリンゲの径が3㎜細いこと、滑り止めの効きが悪くなり危険である。

 初めてハーネスを着用する。捩りが有ると強度が低下する。アンザイレンした時にパートナーと互いに指差し呼称でチェックをし合う習慣をつける。

 口述講習に飽きが来る頃、B組SM.SLは岩場をトップロープで登る実践訓練を取り入れた。本日体験参加のWさん、ハーネスやザイルを見るも触るのも初めてであるが上手に登っていく、女性で初めてだともう少し手古摺るのだがバランスも度胸も良い。

 岩は上手に登るだけではダメ、登り終えて次の行動に移る時が一番危険で事故が多い。今回、終了点から上部をトラバースして道へ出るフィックスロープをセットした。必ずセルフビレイ(自己確保)を確実にとる、NH.CLの指導、チェックを受ける講習生。

 岩場を安全確実に下降するアップザイレン(懸垂下降)も必修の技術である。ビレイ・デバイス(確保器)を使って行ったが夏には器具を無くしたピンチの時のムンターヒッチ(カラビナ使用)下降も取り入れたい。今回はブルージックの自己確保と上からの補助ロープでの二重確保で行ったが夏の訓練ではそれ無しで出来る様になっていただきたい。

 A組はリードクライミングを行っていた。目指す山登りによって訓練の内容は変わる。ゲレンデでは支点のチェックが怠りがちになるがピンが抜ける事故も有って訴訟も見聞きする。必ず自己責任でチェックする癖をつけて戴きたい。

 この日は有難いことに涼しくて何本も登ることが出来た。初めて岩に触れた講習生たちもすっかり慣れて果敢に挑んで成果を確信した。

 この日は当会の全会員へ知らせたい嬉しいサプライズがあった。予てより病気療養中のG君がヒョッコリ岩場を覗いてくれた。岩講習に合わせて権現山リハビリ登山を計画して会いに来てくれたのだ。昨年夏の剱岳以来の山での雄姿を見て本当に嬉しかった。着々と復帰に向けて努力をしている彼を見た、やっと待ち焦がれた仲間が帰って来た。

 最後に回収したザイルを次回スムーズに使えるようにキンクを直して持ち運びがしやすいように束ね中央で巻いて処理する。ザイルの長さに応じていろいろなやり方が有るが先ず一つのやり方を完璧にマスターする。講習では沢山のザイルを使用する、率先して片づけをすることがザイルの扱いを早く確実にマスターするチャンスである。

 今日の講習会に手応えを感じニコニコ顔で岩場を後にする参加者たち、これからの登山の幅を広げていく自信に満ちた顔が頼もしくて嬉しい。指導者冥利に尽きる。

 NH.CL、SM.SL、SD.PL、HT.PLの熱心な指導のお陰で講習会は上々の成果を上げた。夏には黒部源流域、秋には穂高涸沢が計画されている。それぞれ行きたい山に向かって目的を持って週末の山行を行っていただきたい。講師の皆様有難うございました。完


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