大垣山岳協会

希少種クマガイソウお花見山行・簗谷山 2024.05.15

簗谷山

【 個人山行 】 簗谷山( 1214m Ⅱ等△ ) NT

 今春最後のお花見を簗谷山で行って来た。小生が把握しているクマガイソウの生息地で唯一公に出来る山である。今年は何処も雪が少なかったせいかクマガイソウに限らず開花が早くお花見山行には10日ほど遅かった。盛花を撮れず少し淋しい報告である。

<ルート図>
  • 日程:2024年5月15日(水) 晴れ後曇り
  • 参加者:L.NT、SE、HT
  • 行程:登山口8:02-クマガイソウ生息地8:19-小鹿の涙8:55-簗谷山山頂10:06~47-登山口12:05
  • 地理院地図2.5万図:二間手、萩原、下呂、郡上市島

 登山口駐車場には先行車が1台あって既に出発していた。熊注意の看板を横目に南尾根へ進入、山頂経由でブナの木コースへ周回下山の予定である。新緑が眩しかった。

 15分ほどでクマガイソウ生息地へ着いた。侵入禁止のロープが張られ保護されているが以前よりも株の密度が薄くなっているようだ。3年ほど前に訪れた時には葉が重なり合って地面の腐葉土が見えなかった。もう一段厳しい保護策が必要と思われた。

 今年は開花が早かったようでほとんどが花期を終え既に茶色い花ガラ状態、遅咲きの花が6ツほど斜面を飾っていた。木漏れ日が袋状の花弁を照らすと赤みが際立っていた。

 「小鹿の涙」と呼ばれる小滝へ着いた。涙にしては水量が多く両手ですくって飲んだが飛沫で衣服が濡れた。おそらく秋になると水量が減って涙になるのだろう。

 赤みを帯びて荒れた樹皮の幹をくねらせた大木に目を奪われた。見るとゴヨウツツジ(シロヤシオ)で有った。これほど大きいゴヨウツツジは珍しい、満開時は樹冠を白く飾るが既に花期を過ぎており白花は数えるほどしか残っていなかった。

 盛花を過ぎ白花がまばらで淋しいが枝先に5枚の葉が輪生状に付くことから漢字で五葉躑躅と書く。白八汐とも書く。秋の紅葉も綺麗だ。愛子内親王のお印としてこの花が用いられている。

 ヤマツツジも遅咲きのこの1本だけ奮闘し映えていた。朱に近い赤が濃くて綺麗だった。

 木々の梢越しに御嶽山が見えていたが5月半ばというのに雪は谷筋にしかなく可哀想なほど貧相だった。

 山頂到着、展望はすこぶるよいが唯一北北西の白山の方向のみヒノキの林が邪魔をしていた。「点名・弓掛」三角点石柱は用土流失が続いて歯槽膿漏状態、その内倒れそうだ。傍の望遠鏡の基礎部分は既に浮いていた。

 東面は伐採されて展望が確保され御嶽山と乗鞍岳が、この時期にしては情けないほど少ない雪を抱いている。その手前は御嶽山遥拝の御前山である。

 乗鞍の北に前穂と奥穂高の吊り尾根が、涸沢岳は奥穂と重なって見えず北穂からキレットを経て南岳、中岳、大喰岳と続いて槍ヶ岳は黒くて見づらい。少し距離を置いて抜戸岳、笠ヶ岳は槍の穂先のように尖って、その北に双六と三俣蓮華が重なっている。そして一際白く黒部五郎岳が雪を抱き目立つ、その左の大きな山容は薬師岳だ。

 帰りはブナの木ルートへ周回、ここで2名の登山者に会った。倒木が多く越えたり跨いだり潜るのも有ったが身体が硬くなった高齢者集団には疲れる労働であった。

 尾根には皮1枚で虚になった老木のミズナラやブナが幾本か残されておりその生命力に感動した。

 このミズナラは雪や台風に絶えてよくぞ生き延びていると感心する。奥美濃のように多量の湿雪が降らない幸運もあるのだろう。

 フタリシズカ、古典的な名前に惹かれるがヒトリシズカとは花と葉の形状と艶が違う。

 モミジガサ、茎の柔らかい芽出し時の若芽がテンプラや和え物にすると美味しい。東北では「シドケ」飛騨では「キノシタ」というので別名「トウキチロウ」とも言うようだ。ヤブレガサと似ているがヤブレガサは茎を中心にして葉が円(傘状)である。

 ヤマシャク、花期が短いので花は諦めていた。既に花後の種を付けていた。南尾根よりもブナの木ルートの谷沿いに多かった。ヤマシャクの生息地には山サンショウが多い。

 先日の雨で水量が多く岩は苔むして渡渉では滑りそうだ。山慣れしていないと靴を濡らす。

 登山口はいつの間にか車が5台ほど増えていた。12時を過ぎていたが女性が1人出発準備をしていた。今朝方停まっていた先行車は既になかった。ダム湖下の巨石遺跡群を見学する為早々に駐車場を後にした。

 岩屋ダム堰堤から300mほど下流に「岩屋岩蔭遺跡」の看板が有り右折して下った坂道の膨らみに駐車した。見上げると凄い巨石だ。右の巨石はマッターホルンに似ている。

 縄文遺跡だったようで古代の天文観測所、パワースポットなどの看板が多かった。岩屋ダムは山の行き帰りに何度か訪れていながら初めて見学した。

 目当てのクマガイソウは遅咲きを数輪確認出来ただけでシロヤシオもヤマシャクも時期を逸していた。昔流行った美樹克彦の「花は遅かった」を思い出し口ずさんだ。

 帰りに美濃関JCTで進入口を間違えた。IC出口で申告するのだがETCゲートが反応前だと書類が不必要なことを学習した。超過走行分は無料で職員の対応は良かった。失った時間は戻らないが美女とドライブを楽しめたと思えば良い1日であった。完

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