【 個人山行 】 御在所山籐内壁前尾根 三重県菰野町 NT
- 日程:2023年5月24日(水) 晴れ
- 参加者:L.NH、SD、NT
- 行程:藤内壁前尾根 11:00~16:40
- 地理院地図 2.5万図:御在所山
籐内壁で岩トレを行うとソバズルから連絡あり「なら!俺も」と言ってしまった。昨年、「岩はもう引退」と宣言したのだが籐内壁と聞くと年甲斐もなく血が騒いだ。裏道は2008年の災害で昔とすっかり変わっている。賽の河原のような兎の耳辺りから見上げる籐内壁。
先ずテスト岩で2015年2月1日藤内滝に永眠した「TS」に会いに来たと手を合わせた。そして会員を守って欲しいとお願いし改めて安全登山を誓った。
前尾根取付きのクラックには先行パーティーがおり準備しながら順番待ちした。平日で貸し切り状態と思いきや六甲、三ツ峠と昔は日本三大ゲレンデといわれただけある。
この最初の1ピッチが難しくこの日の登攀が占える。今朝体重計に載ったら74㎏を越えていた。つい参加を口にしたが身体が重く後悔した。昔取った杵柄は通用しない。
クラックからリッジへはい上がると背後に北谷から四日市市街が広がっている。足元から取付き迄スッパリ切れ落ちて高度感がある。
此処で止めとけば迷惑は最小で済んだのだが昔の記憶ではこれから先は簡単との思い込みがあった。結果、今日一日彼らの足を引っ張ることになってしまった。
青春時代に通い詰めた籐内壁であったが前尾根がこれほど花の岩尾根だと知らなかった。若い頃に見えなかった景色に改めて年齢を感じた。白ドウダンツツジとダイちゃん。
紅ドウダンツツジ
イワカガミ
ピンクの花色を見てイワウチワと決めつけていたが花弁が5ツに分かれておらず葉もハート形で良く観察するとイワカガミの変種のようだ。
ザイルの後ろからばかりでは申し訳ない。簡単な所でトップを務めさせていただく、忘れていたザイルのトップの感触を少しだが味わった。
風は強いが伊勢湾と四日市市街を眺めて最高の天気であった。この景色も岩の手掛かりや足掛かりまで昔のままだが変わったのは己の体格とバランスである。
雲の流れが速くなり急速に冷え込んで来た。トップを勤めるソバズルは震えて確保をしていた。早く登って負担を和らげてやりたい、気は焦るのだが身体が動かず申し訳ない。
ホールドもスタンスも昔のままであそこを掴んで此処に足をかけてと順番まで甦る。それが嘗て乗れたスタンスが不安で乗れず、易しいと思っていた岩が難しくなっていた。
風を避け日溜りを求めてコルに逃れると山ツツジとシロヤシオ、紅ドウダン、更紗ドウダンが迎えてくれた。ヤグラ前の鞍部はツツジ科の花園であった。
前尾根最後のヤグラには先行パーティーが居た。時計を見ると16時半を過ぎている。ダイちゃんは夜勤で業務に間に合うか微妙な時間になっていた。ヤグラ登攀を諦め前壁ルンゼの急斜面を北谷へ向け下降した。彼等だけならとっくにヤグラも終えて下山していただろうに申し訳ないと思った。
ダイちゃんはギリギリ仕事にはセーフであったが小生のモタモタした登攀が原因であった。昨年は非常に疲れて体力の限界を感じたが今年は登攀力そのものが通用しなくなっていた。「年寄りの冷水」はこれまでにしておかねばと決意した。完
コメント