【 個人山行 】 点名・横谷 ( 谷口山 )( 740.5m Ⅱ等△ 揖斐川町坂内坂本字横谷 ) 丹生 統司
2月の晴天が約束された日のはずであったが気象庁の予報は外れ曇天である。しかし車中の関ケ原から御嶽山が見えていたので天候が大きく崩れることはないだろう。本日は当会Tさんが踏査中のⅡ等三角点の山に同行した報告である。
- 日程:2023年2月3日(金) 曇り
- 参加者:L.丹生統、大谷早、杉本眞、竹森せ、林 旬、三輪唯
- 行程:坂内道の駅8:08-尾根取付8:50-点名・横谷山頂11:12~12:06-坂内道の駅13:49
- 地理院地図 2.5万図:美濃広瀬
国道303号から坂内川に架かる橋を渡るといきなり軟雪となって靴が潜りワカンを装着した。下山では背後の獣害柵が気にかかる、地形図を的確に読まないと檻から出られない。
作業道歩きが負担になると思ってもいなかった。冷え込みが足りなかったようで雪が柔らかくワカンが潜って辛い。登れそうな斜面を見つけショートカットして尾根を目指した。
尾根筋に出て安心と思いきや藪がうるさく立ちはだかる。予想されたことだが右に左に迂回するのが辛い。通せん坊をしている倒木、獣がその下を通った足跡が残されている、柔らかな身体が羨ましい。
高齢者には倒木を越えるのが一苦労、この頃股関節が硬くなって足が上がらない。中腰での倒木潜りも苦手である。身体が硬くて膝をつかねばザックが引っ掛かり通過に思わぬ体力を消耗する。年寄りのヤブ山歩きは辛い。
ヤブ山登山に地形図とコンパスは片時も離せない。休憩時間中も現在地の確認を怠らない、こういう光景を見ると嬉しくなる。近頃は北ア等の登山道や道標の整備された山をGPS片手に登って登山家気取りを目にすることが多い。しかし我が会の会員は違うでしょ、
尾根の向こうに貝月山が見える。シャッターチャンスを伺っていたのだが藪が邪魔をして旨くとらえられない。
前方に高みが見えてどうやらあそこが山頂のようだ。俄然ハッスル気合が入る。
しかし、山頂を前にして深い雪にトップはヒーヒーハーハーの苦闘である。気温が上がったのか雪が重たくなった上に傾斜が増して足が上がらない。ラッセルは雪が大腿部より深くなると辛い。ストックを横にして雪を掻き落とし膝を使わないと斜面は登れない。
山頂らしき高みに到達したが頂を示す物が見当たらない。当然三角点は深い雪の下である。辺りを見回し捜すこと数分、誰かが立ち木の高みに山名板を見つけた。文字は消えており読めなかった。2015年11月に訪れた時には黄色テープを確認していたが、
Tさん念願の点名・横谷登頂、広瀬の集落まで届けとばかりの大声で万歳を三唱した。
今日は穏やかな小春日和の山頂を予測していた。スコップを準備、三角点を掘り出しカメラに収めた後にスノーテーブルを囲み団欒の予定であった。天気予報は外れ、スコップは車に忘れてしまいザックを尻にひいての昼食休憩となった。
先日、横山岳に登った際の山頂休憩でMさんは直に雪面に座り「桃割れの尻形」を残して下山した。偶然その10分後に当会のH、S両女子が金居原ルートから登頂して「桃割れの尻形」を見て主の顔を連想していた・・・がMの「尻形」と知り団欒は盛り上がった。
下山は予定通り登路に使用した西隣の尾根を利用した。この尾根は支尾根の分岐が多く地形図とコンパスの勉強には最適と思われた。また山頂から北に向かう広い尾根はブナ林となっており身近な里山で奥山気分が味わえた。
登路では色あせて白くなった目印を2ツ見たがこの尾根では黄色テープを1ツ見つけた。
樹間から蕎麦粒山が見えていた。年1度は必ず訪れている、もっともっとたっぷりと雪を蓄えて欲しい。昨年は冬山らしく積雪があったが今季もそうあって欲しい。
坂内は熊の生息数が多い所である。大きく育ったブナの幹を見つけて観察すれば必ず熊の上り下りした爪痕を発見できる。
順調に支尾根の分岐をやり過ごして下降して来たが最後に予定していた地点から外れた。結果的には登りで辛かった雪深い作業道を省略して最短で今朝方ワカンを装着した所に降り立った。幸いに獣害柵の檻も避けられたし良しとしよう。
坂内川を挟んで隣の湧谷山が大きく見えていた。
道の駅に帰って来ると雪下ろしや除雪で集められた残雪にイラストが施されており和まされた。今朝方は気付かず狐の仕業のような・・・
点名・横谷の山名について
2015年11月21日に訪れた際の下山後に広瀬集落で畑作業をしている方々に山名を訪ねたことがある。お年寄りの女性の方達は「前山」と言った「私たちは嫁いで来たのでよく知らない」とも。その内世話好きな方があっちこっちの家に声を掛けると7~8人ほどの人盛りとなったが長老らしき男性の「谷口山」の一声で点名・横谷の山名は決着した。
ネットには「ワラビ」との山名で記載がある。本日登路に使用した尾根の東の谷が「ワラビ谷」で有るからとの名付けのようだ。地元で呼ばれているとも記されている。当事者作と思われる手作りの山名板を括り付けた写真も添付されていた。本日の山頂にそれらしきものは無かった。山頂の三角点住所は坂内坂本字横谷になっているが山林所有者は坂内広瀬地区の方である。山名は集落によって呼び名が違うのかもしれない。
名もないヤブ山の山頂で手作りの山名板を目にすることがたまにある。山に自分の名付けの山名が定着すれば快感かもしれない。しかし、我々は他人の山で山登りを楽しませていただいているのである。その山に個人が勝手に山名板や目印等の人工物を持ち込み残す行為は控えて欲しいものだ。完
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