【 一般山行 】 日野山 ( 794.42m Ⅱ等△ ) 中平吹登山口コース 丹生 統司
昨年12月半ば、北陸では大雪による人家の被害や主要道路の交通マヒが連日報道された。今季の多雪を予想していたのであるが年を越すと雪の情報は聞こえなくなった。雪山を楽しみたいと20名もの会員が集まった日野山であるが大垣と変わらぬ麓の風景に戸惑った。
- 日程:2023年1月15日(日) 曇り
- 参加者:L.丹生統、SL.後藤正、大谷早、小倉幹、納村千、塩川眞、清水友、竹森せ、田中恵、中田英、廣瀬美、藤井利、藤野一、堀嵜尚、宮川祐、宮澤健、三輪唯、山本知、吉田正、若山和
- 行程:日野山登山口駐車場8:15-日野神社8:25-室堂9:40-日野山奥の院11:00~11:50-駐車場13:35
- 地理院地図 2.5万図:武生
ラッセル訓練が出来ると期待していたが大垣や関ケ原と変わらぬ風景、ザックに括りつけたワカンが空しい。日野山も雲の中でこれまた寂しい。
参拝者の多い神社にトイレは珍しくないが日野神社の境内にも有り登山者に優しい神社。
歩行中に気付いたマンホールの蓋、鍛冶師のデザインに思わず足が止まった。越前市誕生前の旧武生市は打ち刃物の名産地だそうだ。菊人形づくりも盛んで市の花に指定されていたようで上の山は日野山かと思いきや鬼ヶ岳533mとのことである。
道脇に嘗ての日野山標石案内柱が有った。細い線で刻まれた錫杖を持った僧が描かれた下に右日野山道と読めた。奥宮への参道で有ったことが伺われた。
積雪は無かったが地面は多量の雪解け水を含んでいた。それに昨日までの雨が追い打ちをかけて道はぐちゃぐちゃ、長靴が正解だったようだ。
「石の唐戸」の説明書きによれば大岩の下穴に「僧兵が隠れた」というがこれだけ水が出て居れば身体を休めることも出来ずギブアップも早かったのでは。
「弁慶の三枚切り」と書かれている。京をのがれた義経主従は北陸道を北上した。一日一刻も早く平泉を目指していたと思われたが弁慶は平吹で道草をしていたようだ。これが原因で安宅関を通らねばならぬ事態になったのかもしれない。
室堂着、釣り鐘や不動明王、石仏が安置されていた。御堂のすぐ脇に谷水が勢いよく流れ湿気の多いところと感じた。夏はヒルが多いと思えたがどうなのだろう。
石仏や石柱案内が随所に有って信仰の厚い山に登らされていると感じる。雪がちらほら登山道に出て来た。
雪が途切れなくなったが気温が高く雪はグサグサのザラメである。あちこちに踏み抜いた穴が有って歩き辛い。前を行く長靴の主は隙間から雪が中に入るらしく靴を脱いで雪を出してはボヤいていた。
「比丘尼ころがし」の回避ルートを選択して歩いていたが遠回りに嫌気がさし斜面を直上して本ルートへ合流を目指した。斜面の雪は安定していたが、それが切れた地肌の斜面は滑りやすく樹木を掴んでの乗越となったが各人技量の差が出て順番待ちとなった。
「比丘尼ころがし」へ合流した。雪の下は滑りやすい岩盤らしく鉄の杭と太いロープが覗いていた。割愛した下部はおそらく雪が消えているだろうから下山はズボンを汚さぬ用心深い歩行が求められるだろう。
奥宮への鳥居は以前来た時は僅かに覗いていただけであったと記憶している。今年は正月が明けてから降雪が少なくこのところの気温のゆるみも有って無雪期と変わらない。ゆとりをもって鳥居の下が潜れた。
山頂到着、奥宮をバックに記念写真、Ⅱ等三角点は雪の中で拝謁は叶わなかった。20名もの大所帯、昼食休憩は一段下の休憩小屋とその周辺で行った。
登山人口の増加で道の整備された麓に近い鈴鹿や伊吹山は冬でも登山者が絶えない。この日の日野山も多かった。しかし、アイゼンなどの知識や基本技術を習得していない登山者が増えているようだ。アイゼンは堅雪や氷雪の急斜面、尾根、岩稜で使用するためのもので全く危険のない平地同然の登山道ではスパッツやオーバーズボンに引っ掛け破るだけである。滑落など危険のない柔らかな雪ではバランスで下降する術を練習しないと年数を重ねるだけで登山技術の上達はおぼつかない。
駐車地が近づくとドロドロの下降路でズボンを汚して気にする何人かを目撃した。ベテランとて足を取られて転ぶ事はままあることである。しかし、転びの状態や回数は厳密に見るとかなり違う。転んではいけない所では絶対にミスをしない。これが遭難事故になるか、ならないかの違いである。
未だ1月の半ばというのに、この貧雪では春山に雪が無くてピッケルやアイゼンの活躍の場が失われ不要になるのではと心配になる。ピッケルやアイゼンは使い方を知らねば無用の長物だが使いこなせば厳しい雪山で無くてはならない道具となる。
今回、福井在住会員のOさんから参加したいと連絡があった。数年前に一度お顔を拝見して以来であり、失礼だが少々心配していた。駐車場で待ち合わせしたがザックを背負った彼女を見て瞬時に不安は解消された。ザックのパッキング、ヤッケの着こなし、ストックの持ち方ひとつで実力は測れる。ザックのパッキングさえも技術なのである。次もご一緒したいものである。完
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