【 個人山行 】 伊吹山(上平寺尾根~弥高尾根~南東尾根下降) ( 13773m Ⅰ等△ ) 丹生 統司
昨日から久方ぶりに伊吹山が白いたおやかな峰を青空に浮かべている。今日は絶好の登山日和と思えた。この冬2度目の伊吹山は南東尾根へ周回することにして家を出た。(写真は南東尾根上部からの伊吹山山頂台地東端である)
- 日程:2023年1月12日(木) 快晴
- 参加者:丹生統(単独)
- 行程:上平寺駐車場7:50-弥高山9:50-伊吹山山頂12:23~50-川戸谷林道14:59-上平寺駐車場15:43
- 地理院地図 2.5万図:関ヶ原
上平寺集落には雪がなく京極氏城跡迄来てやっと雪が途切れなくなった。やはり百名山である、明瞭な踏み跡と今朝の冷え込みが相俟って靴が埋まることはなかった。
弥高寺跡への分岐を過ぎると夏道は大きくトラバースし蛇行するが踏み跡はそれに続いていた。遠回りを嫌いワカンを履くと踏み跡から離れ斜面を直登したが脛辺りまで潜り汗だくになった。尾根上で踏み跡に合流するとヤレヤレ、やはり歩きやすい。余計なアルバイトだった、遠回りでも踏み固めた上を追うのが正解だ。弥高山まで来ると山頂が良く見える。
点名・城跡(838.7mⅣ等△)を弥高山と我々は言っているが、そこから伊吹山へ続く尾根を距離で900m歩いた高みに弥高山最高点の山名プレートが木に括られていた。その内此処が弥高山になるのだろうか。
背後に霊仙山と御池岳、藤原岳が霞んで見えていた。この日の弥高尾根では3人と会った。以前弥高尾根といえば冬と雖も表道へトラバースする登山者ばかりだったが最近は弥高尾根を直登して山頂に立つ人が多くなった。
紺碧の空に向かって踏み跡が続いていた。天気は上々だが全くの無風とは言えず山頂付近は雪煙が舞っているようだ。
快晴で心にゆとりがあった。踏み跡を辿るだけでは面白くない、一人でも有りトレースのない急傾斜地を直登した。結構な傾斜であったが雪が適度に緩んでおりワカン履きでのキックステップでも十分こなせた。表道を行く登山者がアリのように小さく見えた。
年末に来た折には越せなかった山頂フェンスだがその後の降雪で簡単に越せた。フェンスを跨ぎ最短で三角点を目指した。
北尾根の先に国見岳が有って峠を挟んで虎子、その奥にブンゲンと貝月山が確認出来る。貝月の右に目を転じると特異な二重山稜の山頂は花房山、ということはその左は小津権現山である。更に奥は能郷白山であり離れたピラミダルな山容は屏風山である。更に、更に奥に白山、目を凝らせば乗鞍がかろうじて霞んで見えて御嶽は威風堂々としていた。
Ⅰ等三角点には弥高尾根で出会った方が一人だけ居た。下で挨拶程度の会話を交わしていたので会釈を送ると撮影の間も待っていてくれた。一緒に休憩をと思ってくれたのかもしれないが、このまま東方向に周回すると言うと小屋の方向に立ち去った。
今朝、上平寺の駐車場に着くやワカンを忘れていることに気付き家へ取りに戻った。出遅れたので周回は無理かなと半ば諦めていたが山頂到着が12時半前なので実行した。壊すのがもったいないような風紋の芸術をワカンで踏んで人気のない広い山頂台地を東に進んだ。
南東尾根に入る前に山頂を振り返った。山頂台地東端の木の鳥居は昨年すでに朽ちて倒れていた。石塔や石像の類は全て雪の下でどの付近だったか見当もつかなかった。
いよいよ南東尾根の下降であるが下から足跡が上がって来ているのを見つけた。やはり物好きは居るものだ。上平寺から上がって来ておればルートを捜す手間が省けると都合のいい期待が膨らんだ。
尾根は左によれば積雪が少なく堅そうで所々石が見えておりワカン履きの下降では少し嫌な所だ。右に寄り過ぎれば雪庇が気になり峰から4~5mほど離れて歩いた。
下降斜面の向こうに白山と能郷白山その周辺の山々が北尾根と相俟って良いカメラアングルを提供している。南東尾根に入った途端に風は止んで春山のようだった。
弥高尾根の上部が稜のようで格好いい、阿弥陀崩れは急な雪の斜面となって見えていた。
弥高尾根の先に琵琶湖が霞んで見えていたが対岸の高島や比良の山々に囲まれて日本一の湖が案外小さく感じた。百名山、お花畑、イヌワシ目当てに伊吹は人で賑わうが鳥もそんな気分で人間界を俯瞰しているのかもしれない。
下り出したら早いものだ、ワカンの落書きを残して山頂台地があっという間に遠くなっていく。春山のような陽気の中で雪上漫歩を楽しんだ。
南東尾根を下りきるとドライブウェイとなり、その先の高みは川戸である。更に相川山、明神山と続き東端は池田山である。川戸の南に南宮山と笙ヶ岳が黒いクジラのような山塊となって濃尾平野に浮いているようだ。
伊吹で唯一ブナが林立する台地である。このブナ平で今日のような陽気の日にキャンプをしたいものだ、スノーテーブルを囲み日焼け顔でビールの杯を重ねたい。
ドライブウェイが真下に見えだすと日差しで雪が緩み何度か落とし穴にはまり歩行は最悪となった。足跡はドライブウェイに向かっていたので分かれて南へ向かい斜面を下ったが雪の状態は良くなかった。尾根が明瞭になる植林帯になると雪の状態も良くなった。
標高620m辺りで雪が途切れだしたのでワカンを外した。川戸谷が近くなると尾根は岩交じりで急傾斜となるが何度も通過している所であり順調に林道に降りた。谷には雪が有ったが今更ワカンを履く気にならずツボ足で駐車地まで歩いた。完
コメント