大垣山岳協会

敦賀湾を眼下に周回・蠑螺が岳~西方が岳 2022.09.04

蠑螺が岳

【 個人山行 】 蠑螺が岳 ( 685.2m Ⅲ△ )~ 西方が岳 ( 763.8m Ⅱ△ ) 丹生 統司

 天候が安定しない今季の夏、束の間、好天に恵まれて敦賀半島を訪れた。照葉樹の樹間越しの眼下に青い海原が見えて湿気を含んだ潮風が心地よかった。

<ルート図>
  • 日程:2022年9月4日(日) 晴れ
  • 参加者:L.藤井利、小倉浩、後藤正、杉本眞、竹森せ、丹生統、藤井眞、藤野一、宮澤健
  • 行程:蠑螺が岳登山口8:25-長命水分岐9:45-蠑螺が岳10:45-カモシカ台分岐11:35-西方が岳12:20~13:15-銀命水14:20-常宮神社15:35
  • 地理院地図 2.5万図:杉津

 先ず西方が岳下山口の常宮で民家先に駐車の許可を得て1台デポ、蠑螺が岳登山口のある浦底で敦賀半島トンネルへ続く道路の膨らみに駐車して出発した。

 連日の降雨で赤土の登山道は青苔が発達して表面を覆いヌルヌル、登りと雖も油断出来なかった。浦底を登山口にしたのは正解で下山だったら尻餅を幾つも搗いたことだろう。

 大垣では厚かった雲が此処には無く久方ぶりに見る青空だった。灌木の樹林は照葉樹が多かったが梢を揺らして潮風が吹き抜け心地よい。樹間からは明神崎の水島が見えていた。

 この山域は岩盤が花崗岩のようだ。花崗岩の山は鈴鹿の御在所山に代表されるように大岩があちこちに露出している。フリクションが効いてクライミングが楽しくなる岩だ。

 蠑螺が岳山頂手前で一枚岩と呼ばれる展望所から見下ろす湾の青い海原が印象的だった。対岸に見える双耳峰はホノケ山(736.7m)だろうか、だとすれば奥の格好いい山は日野山(794.4m)だろう。

 蠑螺が岳山頂着、灌木に覆われて展望は利かなかった。三角点標石柱は歯槽膿漏状態、標石の高さは79㎝だから幾何も地中に埋まっていないはずで垂直が保たれているのに感心。

 蠑螺が岳山頂から道は小さなアップダウンを繰り返した。稜線には所々に大きなブナが残されており林を抜ける潮風が心地よく歩を止めて風上に頬を晒した。

 オオシロカラカサタケ? フクロツルタケ? 連日の降雨でキノコは多かったが白いキノコは毒性の強いものが多く要注意。他にサンゴハリタケを見た、これは食用可のようだ。

 カモシカ台へ立ち寄ることに、ところが連日の降雨で足元が悪く分岐から2~3分下った所でスッテンコロリン!大きな尻餅をついてズボンを汚してしまった。

 すっかり戦意を喪失して分岐に引き返し休憩、若者二人が代表して「カモシカ台」に向かった。大岩の展望を満喫しポーズをとるG君。撮影は藤野氏。

 久方ぶりに見る夏雲、陽射しは幾分和らいで日本海の潮風がススキと笹原を揺らしていた。行く手に目指す西方が岳が見えた。

 避難小屋と人声に誘われて進むと山名柱の在る広場に出た。三角点が見当たらないので地形図を確認すると西の高みが標石の在る山頂で引き返して踏み跡を追った。

 避難小屋から引き返すこと4分で三角点の在る763.77mの山頂に着いた。点名は「西方ヶ岳・Ⅱ等△」文字面は西向きである。後続のパーティーが居たが三角点の在る高みに見向きもせず避難小屋の在る広場に向かって行った。

 西方ヶ岳764.1mと書かれた山名板の在る広場で記念撮影、三角点の在る高みの763.77mの方が高く感じたが?気のせいだろうか?高度計で確認すべきで有ったが忘れていた。

 広場から東に踏み跡を追うと敦賀湾を見下ろす岩の展望所が有った。記念撮影の後この木陰で昼食休憩をした。

 山頂から整備の行き届いた尾根道を南東に下降した。オウム岩を過ぎて高度で約100m下った地点に銀命水があった。岩の奥から冷えた地下水が流れ出ており美味しかった。

 標高160m辺りに常宮神社・奥の院が有って岩場の上から素晴らしい敦賀湾の展望を満喫した。湾の奥に敦賀市街が眺められその奥に福井・滋賀の県境の山並みが広がっていた。岩場の下から吹き上げる気流に乗って鳥になりたい気持ちにさせられた。

 今年の夏はよく雨が降った。8月の中旬に予定していた劒岳合宿は不順な天候と山小屋のコロナで延期した。計画を縮小し9月の此の週に再計画を予定していた。しかし、秋雨前線が日本海に定着し台風も接近中で中止した。9月、10月は他にも黒部源流域など北アの計画が3件も有って今季の剱岳は断念せざるをえない。

 6月から4度の岩講習をして技術向上に取り組んで来たので中止は残念である。しかし、一度取得した技術は身体が覚えておりそう簡単に失いはしない。自信がない方はトレーニングを継続していただきたい。自分のことは自身が一番気付き知っているはずである。来季もう一度再々計画を約束する。全員がバリエーションに挑戦出来ればこの上なく嬉しい。我々が若い時代の八ツ峰やチンネにハンマー音が響かぬ日は無かった。我が会の若者にあの日に眺めた景色を見せたいのである。完

地理院地図


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