大垣山岳協会

鈴鹿・石水渓 2022.07.31

石水渓

月報「わっぱ」 2022年8月(No.489)

【 岩登り講習会 】  鈴鹿・石水渓  平木 勤

  • 日程:2022年7月31日(日)(晴れ)
  • 参加者:CL.平木勤、PL.丹生統、PL.中田英、PL.後藤正、内牧真、尾内順、大谷早、加藤美、北川稔、清水克、田中恵、西村洋、堀嵜尚、三輪唯、村田美、森川浩、山本知、吉田千
  • 行程:岐建荒尾駐車場5:00=石水渓キャンプ場6:40~7:10-石水渓岩登りゲレンデ7:30~(岩登り講習)~13:00=大垣(解散)
  • 地理院地図 2.5万図:伊船(名古屋11-1)

 今夏予定されている剱岳山行は一般道+バリエーション2ルートの3つのルートから頂上を目指す。バリエーションについてはもちろんだが、この岩の殿堂は一般道さえ難しく、登山道としては国内最高難度だ。その壁に立ち向かうための技術の向上を目指して、今期は初級岩登り講習会の他に2回の岩登り講習会が設定された。今回は本番前の最終回となる。

 講習会のリーダーとして何をすべきか悩んだ。悩んだ末、本番当日のパーティ―ごとに分かれて練習することにした。その方が当日の意思疎通も取りやすくなり連携も取れるだろうという考えだ。それを中田君にも伝えると先週の芥見権現でもその方式を取り入れてくれて今回との繋がりができた。

 ここのところ不安定な天候が続き、当日の空模様も心配された。夜に若干のお湿りがあったようだが、三重県に向かって南下するにしたがい青空が広がってきた。石水渓はここのところ駐車が規制されていて、昨年同様キャンプ場近くに車を置き、15分ほど車道を歩いた。岩場は車道から更に上がったところにあり、広々とした一枚岩が印象的だ。

 早速、僕と中田君とでロープを張る。その間に丹生さん、西村さんといったベテランの方々に岩や山での心得を語ってもらった。その後にはいつものようにロープの結び方の基本をやっていただいた。

 2度にわたる岩登り講習会で、僕がリーダーを務める予定の源次郎尾根チームでは、それぞれがそれぞれの命を守れるように、最低限の技術を同じレベルで出来るようにすることを目標にした。もし、リーダーが欠けメンバーが欠けしていった時、最後に頼りになるのは自分だけだからである。

 これは何もバリエーションルートに限ったことでなく、一般道でも起こりえる。気象が急変したら、何かの拍子に道を見失ったら。そんな時は自分のみが頼みの綱だ。その為に基本的なロープの結び方以外に、ロープを木に繋ぐ方法や登攀者をビレイする技術など様々な練習をやってもらうようにした。

 また、山では素早い行動が安全を確保する場合もある。そのためにはリーダーが何を指示したのか、どんな結び方をするのか、どんな行動をとるのかを瞬時に理解する必要がある。その為の技術的な面がロープの結び方の理解であったり名称を覚えることであったりする。これらをしっかり身に付けて素早く対応出来るようにしておくことが大切だ。その点も重点として練習に取り入れた。

 統制のとれた行動をとることも大切だ。気を抜かずパーティーの中で自分が今何をすべきかを把握していることが求められる。その為の集中力を養うのも岩場での練習の目的だ。集中力を持ってやらなければ、岩場では事故につながる。それらの事を先輩方から言葉や態度でもって示していただいた今回の講習会だった。

 ロープがセットされてから、バリエーションチームはトップロープで登攀練習。岩肌が若干湿っていたため、安全を考えトップロープとした。それぞれに成長した姿が見られて頼もしかった。

 今回、何人かが登攀者のビレイに挑戦した。ビレイするということは登攀者の命を預かることであり、自ずと集中力が養われる。また、目の前で登攀者を見ることになり、登り方の勉強になる。ロープに触れる機会も増えるので、その扱い方が分かってくる、など学べることが多い。これからもどんどんビレイに挑戦してほしい。

 一般道組はトラバースの練習を行った。カラビナを使ったトラバースを実践。こういった技術もいざという時に必要となることがある。その時、言われたらすぐに出来るようにしておきたい。後半は一般道組もトップロープでの登攀練習に加わった。みんな積極的に登って行くのでびっくりさせられた。その姿を見たら剱も何のそのだろうと思わされた。今回、剱岳合宿には参加しないメンバーもいたが、その方たちの技術力、精神力の向上にもなった講習だったのではないかと思う。

岩壁登攀と懸垂下降。様になっている。

 季節的に暑い中での講習会となったが、暑さをものともしない参加メンバーの意欲には敬服させられた。自分自身も負けじと研鑽しなければならないと感じた一日であった。

 猛暑を避けて、講習会は昼前に切り上げた。それでも内容的には十分やりつくせたと思う。皆さんの協力のおかげだ。お昼は石水渓の河原で和気あいあいと食べた。火照った身体に石水渓の涼やかな流れが心地よかった。


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