大垣山岳協会

3年越しの夢かなう・人形山&三ヶ辻山 2022.06.12

三ヶ辻山

【 一般山行 】 人形山 ( 1726m △なし )、三ヶ辻山 ( 1764.3m Ⅱ等△ ) 丹生 統司

 飛越国境の人形山と三ヶ辻山は2020,21年と計画するもコロナや雨天で中止となっていた。3度目の正直でやっと山頂に立つことが出来た、3年越しの恋を実らせた報告である。

<ルート図>
  • 日程:2022年6月12日(日) 雨後曇り
  • 参加者:L.藤野一、SL.丹生統、大塚花、大橋辰、小倉浩、加藤美、後藤正、清水満、田中恵、竹森せ、藤井利、堀 洋、堀嵜尚、宮川祐、宮澤健、三輪唯、村田美、山本知
  • 行程:中根平登山口7:38-第一休憩所8:34-宮屋敷跡9:44-県境分岐10:45-人形山山頂11:17~12:00-県境分岐12:28-三ヶ辻山13:03~13:13-県境分岐13:50-宮屋敷跡14:45-第一休憩所15:48-中根平登山口16:40
  • 地理院地図 2.5万図:上梨

 早朝の大垣は一日の晴天が約束されているような青空だった。しかし東海北陸道・五箇山ICを出る時には雨粒が落ちており中根登山口は雨具を着けて出発した。

 第1休憩所、点名・奥山上(1208.8mⅣ等△)に着く頃には雨粒も大きく本降りとなった。

 登山道沿いには立派なブナが多かった。雨でぬかるみ木の根が滑って油断が出来ない。

 標高1618mの宮屋敷跡には鳥居があった。泰澄が開山したと伝わる山頂には白山権現が祀られていたが天治2年(1125)に平村上梨集落に移されたとされる。今日は生憎の雨で人形山伝説孝行姉妹の雪形を見ることは出来なかった。姉妹の涙雨だったのかも知れない。

 宮屋敷跡を過ぎると雪が出て来た。伝説の姉妹は母の病気治癒の祈願が叶ったお礼に女人禁制を冒して入山、白山権現宮に参ったが消息を絶った。悲しむ母の為に毎年、姉妹は手を繋いだ雪形となって姿を見せることから人形山と呼ばれるようになったそうな・・・

 ダケカンバの巨木、枝を上に伸ばそうとするも重い雪が圧迫して閉じ込める。それでもあきらめずに枝先を少しでも上へ、挫折の繰り返しが得も言われぬ曲線をつくった。自然の造形師の長い時間の芸術にはいつも敬服、感嘆する。

 この日の登山道はドロ田状態で第一休憩所の下から山頂直下迄最悪のコンディションとなっていた。赤土の急斜面は良く滑り帰りのことを考えると気が滅入る。

 三ヶ辻山、人形山の県境分岐点。天気が良ければ残雪を抱いた両山が見えるのだが、ガスの中で雨具も脱げず寒い日だった。

花の多い山であった、この日見た花をご覧あれ。

ツバメオモト
ムラサキヤシオツツジ
マメザクラ
コイワカガミ
ナルコユリ
ウラジロヨウラク
ユキザサ
オオバカメノキ
笹の花
タムシバ
カタクリ
ミツバオウレン&コイワカガミ&マイズルソウ

 その他にチゴユリ、ツクバネソウ、ショウジョウバカマ、イワナシ、カタバミ、ゴゼンタチバナ、イワウチワ、エンレイソウ、マンサク、サラサドウダンツツジ等の花を見た。

 下写真はアズマヒキガエル(と思われる)のペア(ニホンヒキガエルかも?)恋の季節、この日はペアが多かった。その下写真は中根平登山口で見たモリアオガエルの愛の結晶。

 奥美濃ではとっくに新芽が伸びきって固くなったコシアブラが此処では採取期であった。

 飛越国境の人形山山頂は台地から2mほど一段高くて18名の我がパーティーには狭くて順番待ちでの撮影となった。

 県境から南の飛騨側笹原に移動して昼食休憩を取った。天気が良ければ東に北アと南に白山の絶景が広がって見えるはずなのだが濃いガスの中で展望はお預けだった。

 人形山から引き返して県境分岐点から更に南へ辿って三ヶ辻山登頂。点名・三ヶ辻(1764.26mⅡ等△)標石柱の傍に富山百山のプレートがあったが山頂は県境から250mほど離れて岐阜側に入っており完全に岐阜県単独の山で有る。明治26年埋設時の「点の記住所」は岐阜縣飛騨国大野郡白川村芦倉となっている。しかし岐阜側に登山道は無く相当な藪漕ぎを覚悟せねばならず富山側の道に頼っている。岐阜の山と胸を張って言い辛い・・・

 ガスに覆われてはいるが雨は上がったようだ。周りに他のパーティーは居ない本日二ツ目、大きな声で「三ヶ辻山登頂万歳」!!!

 県境分岐点の標柱迄引き返してくると俄かにガスが切れて人形山の山頂が見えた。

 更に青空が覗いて三ヶ辻山の山頂も見えた。ほんの一時であったが山がほほ笑んだ。3年越しの恋が報われた瞬間だった。

 この山は2017年の6月に個人山行で訪れている。出発時間は今回より15分早かったが15時06分に登山口に帰っている。今回は雨で足場が悪かったが帰着は16時40分であった。リーダーの早足に最後尾は駆け足状態に感じたがタイムを比較すれば一目瞭然、人間の感覚とはいい加減である。数字は薄情だがウソをつかない。雨の影響は有ったがそれ以上に退化した実力を認めざるを得ない。己を知って山を楽しむ術を教わった山行であった。完


コメント