大垣山岳協会

ダムと石仏と巨樹を訪ねて・高戸山 2022.02.19

高戸山

【 一般山行 】 高戸山 ( 794.6m Ⅱ△ ) 丹生 統司

 当会2月の一般山行は岐阜県恵那市・愛知県豊田市の境に位置する矢作ダムに裾野を落とす高戸山で行った。石仏あり大アベマキの巨樹ありで冬季に無積雪の山を楽しんだ。ルートは人工林の単調な山のイメージで有ったが意外や落葉樹も多く落ち葉を踏んで膝にやさしい山の報告である。

<ルート図>
  • 日程:2022年2月19日(土) 晴れ後曇り
  • 参加者:L.丹生統、阿部育、安藤正、岩田嘉、小倉繁、加藤美、金光鏡、桐山美、清水友、竹森せ、成瀬八、名和妙、藤井利、藤井真、藤野一、田中恵、宮澤健、三輪唯、安村單、山本知
  • 行程:矢作ダム・釜井公園駐車地8:55-釜井の大まき9:05-反射板10:10-高戸山頂11:10~12:00 矢作ダム・釜井公園駐車地13:40
  • 地理院地図 2.5万図:川ヶ渡

 地形図を見れば高戸山に向かって右の谷沿いに波線の道が引かれているが「釜井の大まき」の看板を左に見つけてリーダーを置いて全員行ってしまった。仕方なく後を追った。

 木階段を上がるとダム湖を見下ろす台地に風化した花崗岩の観音石仏が安置されていた。文政2年(1819)と読めた。湖底に沈んだ釜井集落に在ったものだろう。

 石仏の安置された廟からいかほども進まないうちに墓石や石仏が尾根のあちこちに点在している。材木のように横向きに10体以上重ねられたものも、おそらく水没した釜井集落から移転したものであろう。今年と思われる供え物も有った。ダム湖の駐車場では感じなかった湖底に沈んだ村の歴史の様相がふと脳裏をよぎり少し胸を熱くした。

 尾根の茂みの中からカモシカが警戒してこちらを見ていた。20人もの集団がワイワイガヤガヤ墓守は心配で監視していたのだろうか。

 墓地を過ぎると右の谷から地形図の波線で記入された道が現れ合流した。そして、直ぐに「釜井の大まき」であった。アベマキの老木で推定樹齢350年、幹回り7.1mだそうである。

 尾根はアベマキやクヌギ等の落葉樹が多く残されており落ち葉の道はふかふかの絨毯の上を歩くようであった。木々は雪が少ない地域を象徴するように真っ直ぐ幹が延びていた。

 目印は目障りなほど多かったが4ケ所ほど自前の赤布を用心の為に使用した。明瞭な道跡らしき分岐が何ケ所か有ったからだが案の定一度騙されて踏み込み引き返した。間違えた所をよく見れば踏み跡は薄いが目印は3ツも4ツも有るのに足元の明瞭な方に誘われ追っていた。おそらく足元ばかり見ていたからだろう。そして大多数がそこで間違うから踏み跡がより鮮明に道らしくなったのだろう。

 この頃は山で茸の収穫がめっきり減った。昨年の秋はナメコに一度しかお目にかかれなかった。今日は偶然にヒラタケをゲットした。3月頃までが収穫時期だ。

 途中に反射板が有りコンクリートの基礎を見ると大きなボルトで調整が出来るようになっており向きや傾斜を変えられるようになっていた。雪がちらほら出て来たが歩行には全く問題なかった。

 背丈の低い照葉樹のヒサカキ(ビシャ)が邪魔をしているが山頂がやっと見えて来た。

 尾根の左側は檜の植林帯で右側は自然林であった。植林帯には大きな松が残されていたがよく目を凝らして見ると五葉松で有った。

 ヤマザクラと○○○○?の合体木、幹肌は里山でよく見る木なのだが・・・・

 尾根には花崗岩の大石が何ヶ所かに有った。此処は将棋の駒を無造作に掴んでばらまいたような中を越えた。

 絶妙なバランスの自然石の配置の中を行く、これが人工林ではなく広葉樹の自然林なら造形美に感嘆すると思うのだが。

 美味しそう!チョコレートで出来たような菓子に似たキノコ、実はサルノコシカケである。

 アベマキの根元にマイタケと思われるキノコが、寒さで凍った後に溶けてベチャクチャになったようであったがこの時期まで姿が確認出来るとは?

 幹に大きなコブのある、いかにも老木の趣がある松の大木が有ったが既に枯れていた。人工林に囲まれて陽光や養分を奪われ生存出来なかったようだ。

 倒木が有り枝の下を潜らされるのだが身体の固くなった高齢者には辛い。

 文字面が北西を向いた点名・串原村(Ⅱ等△)、広く平坦な山頂には8㎝ほどの雪が有り三角点廻りの切り開きは白い広場になっていた。実はこの標石柱に触れるのは2度目だ、岐阜県のⅠ等、Ⅱ等三角点訪問の際にゴルフ場の有る北から来てタッチしている。

 三角点近くの木には山名板が括られており、それを囲み集合写真を撮った。

 86才最高齢の岩田さんの発声で万歳を三唱した。奥矢作湖まで届くほどの大きな声であった。

 今回の山行は天気予報に悩まされた。週末は雨予報で一昨日までは中止を覚悟していた。中止が一番楽であるが山頂までの標高差を考えて降雨前に登山を終えられないか思案していた。昨日午後になると短時間決戦で登れそうな気圧配置となり決行した。登山中には晴れ間が出てゆとりを持って登山が出来たし急かすこともなく下山出来た。参加者の方々は決行か中止かヤキモキしただろうが終わってみれば「よかった」とお褒めをいただいた。

 今年度計画では5名の方がリーダーデビューをする。彼等も天気予報に振り回されるだろうし、山の情報収集や参加者への対応、車の手配等に追われるだろう。他人の世話をするのは大変だが誰かがやらねばならない。報われることのない役務だが自身の成長に役立つ為と辛抱をお願いしたい。

 そして何より大事なことは会員諸氏がリーダーを育てることの重要さを理解して協力できるかである。年下で経験も浅い若いリーダー達であるが磨けば光る方々ばかりである。光の度合いは磨く人を照らす鏡でもある、彼らを会員全員で育てることにご協力をお願いしたい。完

コメント