大垣山岳協会

黄葉と初冠雪・秋の白山 2021.10.29

白山

【 個人山行 】 白山 ( 2702.1m Ⅰ△ ) 丹生 統司

 初雪のニュースを耳にするが雪ならやはり白山だ。例年最も遅くまで雪を残す。また白山山系はブナやミズナラの巨木が多く黄葉も期待できる。久方ぶりに大倉尾根から白山を登ることにした。とはいえ大白川ダムの登山口から山頂までの標高差は1400m、老いて歩行スピードがめっきり落ちたこの頃、日帰りできるか心配でコンロやシュラフカバーをザックに入れて大倉山避難小屋泊も視野に入れた計画である。

<ルート図>
  • 日程:2021年10月29日(金)晴れ(強風)
  • 参加者:単独
  • 行程:平瀬道登山口6:25-大倉山避難小屋8:25-室堂10:15-御前峰山頂11:15-大倉山避難小屋13:10~13:35-平瀬道登山口15:05
  • 地理院地図 2.5万図:白山

 登山口から木階段で高度を稼ぐ、周りには直径が1mは有りそうなブナが林立している。

 ミズナラの巨木と黄葉。

 ブナの巨木並みのダケカンバも多い。

 南方向には別山から続く岐阜・石川県境稜線が白く雪化粧していた。

 御前峰と剣ヶ峰、結構雪が乗っている。風が強く山頂まで行けるか少し気にかかった。

 大倉山避難小屋と白山。遅くなったら此処を今夜のネグラにする予定、だがここまで2時間、順調に来たので日帰りできそうだ。コンロなどの宿泊装備を置いて行こうと思ったがザックから出すのが面倒で結局担いでいくことに。

 2000m付近から登山道の雪が途切れなくなった。冷え込みで一旦溶けた雪が凍っており夏靴はよく滑った。夏靴は底が柔らかくてキックステップが旨く出来なかった。

 凄い強風にハイ松に囲まれた窪地で防風着代わりに雨具を上下着けた。手袋もフエルト製は指が冷たく冬用に換えた。万全の防風対策で再出発した。

 大倉尾根からトラバースが始まると室堂が見えた。登山道は踏まれてカチカチ、ツルツル、重たい冬靴を嫌って夏靴にしたが滑って体力を消耗した。

 室堂に寄らず手前から御前峰に向かった。鳥居の所まで行くと100mほど遠回りとなり距離で損をする。既に気力も失せてヘロヘロになって何度か立ち休憩、山頂が遠かった。

 凍った傾斜の雪道は滑って疲れた。アイゼンは準備して来なかった。若い頃なら何ともなかったことが足腰の衰えから旨くこなせない。強風に吹かれてバランスを失いそうになるヘロヘロの情けない自分がいた。

 下山して来る人や追い越して行く人はアイゼンを着けていた。雪が消えて地道や石段が覗いていると安心して歩ける。立ち休憩時に振り返ると室堂が遠くなった。

 強風の山頂に着いたが足を踏ん張っていないと飛ばされそうだ。この強風下に頭上をヘリコプターが旋回していた。私のヘッピリ腰を見て笑っているのかもしれない。

 写真を撮るのも足元が不安定で膝をついて行わないと突風に煽られてバランスを失いそうで危ない。撮影を済ますと長居は無用、逃げるように山頂を後にした。

 下山を心配したがアイゼンで踏まれた跡は意外や滑らなかった。しかし油断した訳ではないが氷の上で片足が滑ると強風に煽られて大袈裟に転倒、斜面で一回転した。ザックがクッションになったお陰でケガはなかった。これに懲りて登山道での下降から踏み跡のない斜面を大倉尾根めがけてショートカットして下った。御嶽、乗鞍、穂高を正面に見て人気のない斜面を一気に下った。

 登山道から離れ軽快に斜面を下ったが登山道まで後200m程の所でハイ松帯に遮られた。それでも堅い雪に助けられてハイ松帯の突破を終えてヤレヤレ斜面の雪にストックを突き立て一息入れようとしたら左手のストックがない。ストラップに手首を通して藪を漕いでいたのだが左手に通していた方がない。慌ててハイ松帯に戻るも5mほどしか進入できず跳ね返された。

 ハイ松は雪に押されて斜面の下に向かい枝を延ばし逆茂木のごとくになって頑強な抵抗をした。5mも進むのが精一杯、気力も萎えてストックの捜索は諦めた。雪の斜面を下って登山道に合流する頃には風も収まって別山が全容を現し穏やかな天気となっていた。

 大倉山の避難小屋に着く前に熱くて上着を脱いだ。振り返るとナナカマドの赤い実と青空に冠雪した御前峰と剣ヶ峰が青空に映えて晩秋を感じさせた。

 当初、大倉山避難小屋でのビバークを想定した山行であったが、充分日帰りが可能な時間に小屋迄引き返して来た。秋の陽を浴びて長めの休憩を済ますとブナやミズナラの黄葉を楽しみながら下山した。

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