【 沢登り 】 奥美濃 揖斐春日 尾西谷から国見岳 ( 1126m △なし ) 平木 勤
- 日程:2021年6月20日(日) 晴れ
- 参加者:L.平木、SL.中田、西村洋、竹森、杉本眞、後藤、伊藤正、吉田千、廣瀬
- 行程:尾西・白山神社8:00-入渓8:30-天空の滝9:50-登山道10:30-KDDアンテナ址地11:00~12:05-右岸尾根下降-白山神社14:00
- 地理院地図 2.5万図:美束
当初は揖斐・高地谷の白倉谷へいく予定だった。しかし、前日が思いの外強い雨で増水が予想された。そこで増水が見込まれても比較的安全な尾西谷へ行き先を変更した。
尾西谷はかつて同じように雨で他の沢を断念した際、僕の提案で行った事がある。その時のメンバーが今回のメンバーの中に多い。しかし、良い所は何度来てもいい。
尾西集落の白山神社脇に3台の車を停め出発。谷沿いの林道を歩いていく。林道終点からは左岸を進み堰堤を越える。堰堤で塞き止められて出来た池は枯れ木が立ちまるで大正池のようで良かったのだが、今回、干し上がっていて無惨な姿になっていた。どうやら溜まっていた水が抜けてしまったらしい。
植林の踏み跡を辿っていくと自然に入渓。すぐに感じの良い滑が現われる。昨日の雨でなかなかの水量になり見栄えがする。普段はチョロチョロの水流なのだが。
基本花崗岩の沢でフリクションは良い方だ。しかし、場所によってヌメリもあるのでバランスよく登らないと滑る。それが結構難しいつもりでいたがみんな普通に登ってきて感心させられる。
中にはちょっとしたシャワークライミングもあり楽しい。岩の上からみんなの様子を伺っていたが全く心配な様子はない。
この沢へ入る関門のように立ちはだかる4m滝も水量はやや多め。無難に一番簡単な左側を登る。誰も正面からのフルシャワーでのぞまなかったのがちょっと寂しい。
緑の中に布団を重ねたような巾広の滝が現われる。ここはこの沢で一番美しい場所だろう。ビューポイントにメンバーを招くとみんな感嘆の声を上げていた。
わかりにくい630m二俣を左に取り4mの滝を越えるといよいよこの沢の一番の見所である長い滑が始まる。赤茶けた岩と水流の白と樹林の緑が奏でるハーモニーが心を柔らかく包む。
滑滝を落ちる水流の呼吸を手足に感じながら登るのはとても心地よい。いくらでも巻いていけるけど水芯が呼び寄せ吸い込まれていく。
岩や水との微妙なやり取りをして一歩ずつ確実に登る。そうして登りきった時の達成感もまたいい。全身が満足感に満たされていく。
途中、新会員の廣瀬さんが滑滝脇の岩の合間に鳥の巣と卵を見つけた。増水したら流されてしまいそうな所だ。何鳥のものだろう。初めて見た。
連続した滑が終わると巨岩帯が始まる。その一角でちょっとしたお遊び。
山協のエースにスラブ岩にのぞんでもらう。が、滑った岩は流石に登れなかったようだ。
巨岩帯の中でも特に目を見張る大岩でできた岩屋。修験岩とでも言おうか。ここは岩の下をくぐり抜けることができる。これも心躍る場所だ。
この沢には珍しい階段状の滝が現われる。やはり何時もより水流は太い。誘われるように半身を水に濡らしながら流芯を歩くのが気持ちいい。
そして現われる斜瀑。初めて見た時は緑の中で天から落ちてくるかのように見えた。今は両岸が荒れて、下部に堆積物が溜まりあの時の姿はなくなった。それでも一番の滝には違いなく、ここを直登するのは一つの楽しみだ。右を登ってやっとこの滝を直登したと言えるが今は自信がない。左から楽に越えていく。他のメンバーは巻きルート。
最後の大きな二俣で沢登りとしては終了。僕自身はここを訪れたのは10回前後だろうか。短い沢だが何時きても何かしら心に刻み付けてくれる。今回も楽しい思い出として心に刻まれるだろう。後は登山道を目指して右俣を急登していく。これがきつい。
息を切らして登山道に出て靴を履き替える。山頂までの道のりが意外と長い。やっと出た広場は元KDDIアンテナが立っていた址地だ。ここは見晴らしが良くてお気に入りの場所だ。風に吹かれながら奥美濃の山並みを楽しんで大休止。眠たくなるような気持ちのいいひと時を過ごす。一年前、佐竹前理事長の追悼で訪れた所でもある。安らかに眠っておられるだろうか。
休憩後、国見岳山頂を訪れる。以前に比べて見晴らしが良くなったような気がする。目の前に広がる山並みはどれも登った事がある所ばかりだ。それぞれに幾つかの思い出がある。
傍らのカレンフェルトが立つ庭園のような窪地には池ができていた。ここを横切って下山尾根に取り付く。
下山尾根は自然林に覆われ気持ちいい。時折現われる岩がアクセントを付けて飽きる事もない。中には変わった形の岩もあって目を楽しませる。
この尾根はルートファインディングが重要なのはわかっていた。しかし、手を抜いたおかげで間違った尾根に入ってしまった。予定通りのルートを歩きたかったので渋い顔のメンバーもいたが登り返した。下部の平坦な尾根の樹林を歩くのがこのルートの楽しみなのだ。
最後は緩やかな植林帯を抜けて堰堤横へ。参加メンバーからの「よかった」の声が初夏の日差しにキラキラと輝いていた。
ルート図
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