大垣山岳協会

沢泊シーズンを控えて・とある谷で釣ロマン 2021.05.08

とある地域
  • 釣行日:2021年5月8日(土)晴れ
  • 参加者:ソバズル、ダイスケ、ゴリ
  • 釣行地 岐阜県内のとある谷

 今年のゴールデンウィークは11連休で前半29、30日は家庭菜園と庭の草取りをして妻の機嫌取り、そして1~3日は笈ヶ岳、1日休養して後半は穂高の涸沢でテント泊して北穂から奥穂を久方ぶりに周回する予定だった。ダイスケ君に昔通った滝谷のドームや各尾根のルートを北穂の山頂から得意顔で説明する予定だった。

 山三昧の連休のはずだったが不順な天候で山行計画は大きく変更させられた。4日の晴天を捉えて笈ヶ岳は登ったが不順な天候に穂高を中止した。8日の天候がよさそうになると身体がムズムズして来た。御在所岳前尾根で老体の筋を延ばそうと思いソバズルにTELすると「連休中の前尾根はひどい順番待ちです」とのそっけない返事だった。アルピニズム全盛時、山岳会や山岳部のゴールデンウィーク中は穂高や剱で春山合宿、そのため御在所等のゲレンデに人影は無かった。だが現在はゲレンデクライミングが主目的になっているようだ。

 ならば沢泊シーズンを前に清流の瀬音を聞きながら陽射しを浴びて竿の調子を見ようと近場の谷へ出かけた。幸い昨日は雨で釣日和であった。

 小滝の水しぶきが頬やまつ毛に冷気を含んで心地よく降り注ぐ、竿を持つ手に小さな手掛かりは心もとないが小滝の向こうの景色を楽しみに攀じる。此の向こうには何かが有る。

 大石が谷を埋めて無造作に天然の堰をつくっている。落ち込みは白い泡立ちで流れの先は大岩で堰となり深い淵なっていた。好ポイント、どちらが先に竿を曲げるのか?

 渓流釣りは忍者釣りともいう、相手に姿を晒すようではご馳走にはありつけない。抜き足、差し足、忍び足で攻める。姿勢が豹などネコ科の狩の姿勢に見えれば一人前である。

 左奥の大石の右、白い落ち口から左に流して攻める。泡が切れたあたりでコツコツと指先にアタリの反応を感じても慌てない。手首を少し下げて糸を緩め1,2と数え今度はグイと手首を起こせば必ずヒットするハズであるが・・・?

 渓流の楽しみは釣りだけではない。山葵の「醤油漬け」は酒の御供に最高、廃林道の歩行では「三つ葉」を見つけ帰りの楽しみにしている。三つ葉は「お浸しの胡麻和え」が風味が有って美味しい。他にコゴミの群生が幾つか有ったが既に旬を終えていた。山ウドも谷の斜面でよく見かけるのだが今回は見なかった。

 谷の切り立った斜面の岩を覆う苔の間から湧き出て垂れる「岩清水」神の御恵みの冷水を両手で受けて飲むと歯に凍みた。

 小滝下の好ポイント、大石の陰から狙いを定めて身体を延ばして竿を繰り出し流れの渦へ、息を殺して獲物のアタリをジッと待つ。

 連続する好ポイントに心が逸るが焦ると竿の穂先を折ったり糸がオマツリをして仕掛けをダメにする。

 絶好ポイントを前にして「あ~やっちゃった」糸が絡んでオマツリだ。根気よく仕掛けを何とかほぐそうと奮闘中。裸眼で糸の絡みが見える若者がうらやましい。

 竿が弧を描き大物、尺オーバーの予感がするほどの曲がりである。これ以上の大物の獲物はない、実は釣れていたのは地球だった。

 5月の陽光を浴びて一日清流の瀬音と戯れた。忘れていた勘を取り戻すのに時間を要したが本格的沢泊シーズンを前に竿の調子を確認した一日で有った。完

コメント