大垣山岳協会

白銀の天上回廊周遊・野谷荘司山~三方岩岳 2021.03.31

野谷荘司山

 【 個人山行 】 野谷荘司山( 1797.29m Ⅱ△ )~ 三方岩岳( 1736m △なし )  丹生統司

この3月27日(土)に三方崩山を訪れた折り白山山系の雪の深さを改めて実感した。今週は天気が安定しているようだ。絶景を求めて野谷荘司山~三方岩岳を訪れた。

<ルート図>
  • 日程:2021年3月31日(水)
  • 参加者:単独
  • 行程:馬狩集落6:10-鶴平新道登山口6:20-三方岩分岐10:35-野谷荘司山10:55~12:00-三方岩分岐12:20-三方岩岳13:25:三方岩岳馬狩登山口15:30:馬狩料金所15:50-馬狩集落駐車地16:05
  • 地理院地図 2.5万図:中宮温泉

 白川郷からホワイトロードを馬狩に着くと雪量がグンと増えた。トヨタの施設を過ぎた所で除雪は終わり雪の壁が立ちはだかった。施設横に駐車スペースを見つけて出発した。

 野谷荘司山、鶴平新道登山口の墓石は大杉に守られて覗いていた。谷筋を尾根目指して直登したが上部に行くに従い傾斜が増した。雪が堅くアイゼンを早々に着けた。

 尾根に出ると昨日か一昨日当たりの真新しいトレースを見つけた。三方崩山でも感じたが白山山系のブナ林は見応えがある。幹肌が爆ぜ縦皺に苔むした古木に魅せられた。

 唯一ピッケルを使用した斜面、トレースは馬狩谷側へトラバースで逃げていたが遠回りを嫌い直登した。スリップすると白谷まで止まらないと思えるほどの高度感があった。

 前写真斜面の抜け出し付近から見た三方岩岳(中央)である。白谷を挟み県境稜線と三方岩岳の岩壁が青空に映えていた。馬狩料金所への下降尾根が見え周回コースが確認出来た。

 尾根芯に這い上がると4日前の27日(土)に登った三方崩山が荒谷を隔てた南に見えた。

 野谷荘司と三方岩の分岐(県境稜線)への登行尾根である。尾根上部の白谷側は亀裂だらけ。

 県境稜線への抜け出しルートはほぼ荒谷側を歩いた。白谷側はクラックで近寄れなかった。

 野谷荘司山と三方岩岳の分岐に到着。三方岩から笈ヶ岳、大笠山への白い山並みに目を奪われる。ゴールデンウィーク前半に当会で計画されているコースが一望できた。このまま雪が溶けずに残って欲しいが。

先ず野谷荘司山を目指してオオシラビソの間を抜けて緩やかな雪原を天上散歩した。

 野谷荘司山山頂からの白山である。大迫力、やはり白山の白さは際立っている。左端の三方崩山と野谷荘司山の尾根が合流する間名古の頭までのルートが鮮明に確認出来た。

 振り返って北方を見れば三方岩岳から続く笈ヶ岳から大笠山の白い山並みの絶景である。

 更に東に目を転じると御嶽山から乗鞍、穂高からの北アルプスが朝日岳まで確認出来た。剱岳が三方崩山で見た時よりも大きく黒いピラッミドの山容を際立たせていた。写真左端のピラミダルな山容の山は三ヶ辻と思われる。6月当会の計画が有るので参加して欲しい。

 昨日30日、関ケ原は黄砂がひどく山頂の眺望を心配したがこの日の視界は良好だった。絶景を独り占めし天上のランチタイムを1時間過ごすと重い腰を上げて周回を開始した。

 分岐から三方岩へのトレースは先日の雨で消えていた。長い休憩中にすっかり雪が緩み周回を始めると靴が潜り早々にワカンを履いた。県境稜線は緩やかだが雪庇が残っていた。

 亀裂が白谷側の雪庇に網の目のように発達していた。今度雨が来れば落ちるだろう。

 野谷荘司山を振り返った。この方向から見る白山は穂高の稜線のような荒々しさが有った。

 三方岩岳がグンと近くなった。実はこの斜面の雪は1月10日以降の積雪で、それ以前の雪は此処の斜面を滑って馬狩料金所一帯を襲ったのだが、この時はまだ知らなかった。

 三方岩岳到着、山名プレートが僅かに覗いていた。ストックで雪を払って撮影した。

 山頂から続く笈ヶ岳と大笠山への峰、右端は奈良岳と見越山が重なって見えているのであろう。手前の台地は夏の三方隧道手前ルートからの観光登山者展望台である。

 展望台手前のコルから馬狩料金所へ向かう尾根へのトラバースを開始した。結構な高度感で堅雪の個所もあり気が抜けずワカンの爪を効かし慎重に行動したが結構長く感じた。尾根芯に出るとやれやれホッと一息入れた。後は下に向かい快適な尾根下りとなった。

 隣に白谷を挟んで今朝方登った鶴平新道の尾根が眺められた。

 ホワイトロードがヘアピンで登山道に最接近する辺りの標高1150mから100mの急下降が有り、この斜面でのルートファイディングは難しかった。ヘアピン直下が雪崩ておりワカンなので堅雪を嫌って下りながらルートを左へ左へと修正していたが正規ルート発見は容易ではなかった。このまま白谷を目指して下ろうかとも思案したが下部斜面で雪が無くなると藪漕ぎとなるので敬遠した。忠実に夏道沿いに下降すると雪は林道登山口まで続いてくれてベストの選択だった。

 ところが林道は雪崩跡の様相で木々が散乱して荒れていた。そしてホワイトロード料金所について唖然とした。料金所の建物が大破し、白谷に架かる橋がない。周辺の樹木は全てなぎ倒され河原一面をデブリが埋めていた。一帯を大雪崩が襲ったことは明白であった。

 橋はなかったが川はデブリで埋まっており道路から1mほどの段差を飛び降りて上を歩いて対岸に渡り再び道路に上がり下山に支障はなかった。馬狩集落で聞いた話では1月10日に三方岩岳上部で発生した雪崩がこの一帯を襲ったとのことであった。これほどの大規模雪崩跡を見たのは初めてである。

 4月から工事に入りホワイトロードは7月に何としても開通させると言っていた。工事関係者や歩行者用に仮橋が出来ると思われるが何とか早く復興して欲しいものだ。

 今月29日で72才になったが健康で雪山の単独行を楽しめる環境に感謝したい。一つには登山を提供してくれるフィールドに、二つ目は登山の楽しさと奥深さを教えてくれた大垣山岳協会と仲間達に、三つ目は登山が出来る健康な自身の体に感謝する。完

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