月報「わっぱ」 2020年8月(No.465)
追悼 佐竹良彦様
私が貴男と初めてパーティを組んだのは、昭和44年12月27日から翌年1月2日までの冬山合宿で、西穂高岳北西稜への計画であった。
常任理事会で計画発表の際、リーダーに指名されていた小生に「サブリーダーは誰にする考えか」という質問が投げかけられた。小生は「佐竹君にお願いしようと思っている」と答えた。「まだ経験が浅いのでは」と心配する声もあったが、「彼の山に向ける情熱は人一倍あると信じている」と説得し、サブリーダーを務めてもらうことに決まった。
その山行で貴男は終始積極的に行動しパーティを引っ張ってくれた。そして最後のアタックは小生と貴男でザイルを結んだ。気象条件にも恵まれたとはいえ、貴男は殆どトップを行き頂へと導いてくれた。
「岳友」16号に掲載されている貴男の報告文では「いよいよ核心部である。ザイルを出しコンテで登る。好天の為かさしたる困難もなく頂上に立つ。あまりにあっけなく成功して、何だか冬山にいる気がしない」と記されている。貴男の実力、そして気概、誇りがあふれているように思われる。
その年、小生は会社の配置転換により大垣を離れることになり、当会の活動が出来なくなってしまった。
その後、貴男は理事長として30有余年に渉り当会を支え続けて頂いた。長い年月の間には会には紆余曲折があったであろう。そうした中での貴男の功績は計り知れないし、立派な足跡を残してくれたことに感謝の念を禁じ得ません。ありがとうございました。
犬飼 進
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