大垣山岳協会

岳沢合宿 奥穂高岳 2019.08.02-04

奥穂高岳

【夏山山行】 岳沢合宿報告 奥穂高岳(ジャンダルム、南稜) 清水克宏

  • 登山日 8月2日(金)~4日(日)    
  • 登山者 A組:丹生(L)他5名、B組:西村(SL)他2名
  • 行 程 (―:車orバス、…:徒歩)
    • 2日(金) 大垣5:30―アカンダナ駐車場9:20―(バス)―上高地10:10…穂高・岳沢登山路入口10:35…風穴11:20~11:30…岳沢テント場13:40(泊)
    • 3日(土) A組 岳沢5:00…天狗のコル7:50…ジャンダルム10:00~10:20…(馬の背)…奥穂高岳山頂12:00~12:30…(吊尾根)…紀美子平14:10…(重太郎新道)…岳沢16:45(泊)
      B組 岳沢5:00…(南稜登攀)…奥穂高岳山頂12:35…(A組に合流)
    • 4日(日) 岳沢8:20…上高地11:00(ビジターセンター見学など)…上高地バスターミナル12:30ーアカンダナ駐車場13:20―(帰路)

岳沢をベースに、次の2組で穂高岳を巡る合宿に行ってきました。
A組は、最近入会者、お試し参加者を中心に、ジャンダルム・奥穂高岳を周回する計画
B組は、ベテラン勢が、奥穂高岳南稜を登攀する計画

2日
アカンダナ駐車場からバスで上高地へ。河童橋後ろの穂高連峰に囲まれた雄大な渓谷が、岳沢。

梓川右岸の治山運搬路から穂高・岳沢登山路に入る。
標高差が大きく難易度が高いコースなので、一般的な涸沢経由の登山路に比べると、ずいぶん静か。ツガやシラビソの「岳沢原生林」を抜けていく。
岳沢小屋までの、中間地点あたりに風穴がある。

地中の凍土を通って吹き出る風が、飛び切り涼しく、下界の皆さまには、申し訳ないくらい。

食料やテントで重いザックで標高を上げていくと、小屋見峠という場所で、岳沢小屋の赤い屋根が見えてくる。テント場は、小屋の先、涸れた沢を渡った対岸にある。

テント設営後、A組6名は事前訓練、B組3名は南稜の事前偵察のため、岳沢上部に向かう。
あいにく、にわか雨が降りだし、事前訓練はあまりできなかったのが残念。
南稜偵察のB組は、取付き箇所などを確認。

この登攀路は、1912年8月にウォルター・ウエストンが上條嘉門次の案内のもとに「日帰り」で初登した、歴史あるルート。その時、ウェストンは51歳、嘉門次は65歳。なお、嘉門次は、同月鵜殿正雄の奥穂高岳~西穂高岳初縦走の案内もしているから、おそるべし。

やや不完全燃焼で、テント場に戻る。夕食は、豚キムチ鍋。にわか雨に降られながら腹ごしらえ。

3日
われわれA組は、岳沢から天狗沢を詰め、ジャンダルム経由で奥穂高岳へ登頂、吊尾根から前穂高岳により岳沢に戻る計画。お試しの若きN君も含め、無事1日で周回できるか、いざ挑戦。
まずは、岳沢から天狗の頭(2,909m)とジャンダルム(3,168m)の間の天狗のコルへ天狗沢を詰める。

このコースは、奥穂高岳から西穂高岳の縦走路のエスケープルートで、国土地理院の2万5千分の1地形図には記載されておらず、昭文社の地図では、一般登山道ではなく破線になっている。
しかし、下部は比較的緩やかで、岩もしっかり固定されていて案外歩きやすい。
登山道沿いには、ハクサンフウロ、テガタチドリ、ミヤマカラマツ、イワオウギ、エゾシオガマ、ヨツバシオガマ、ウサギギク、クルマユリ、コバイケイソウなどが見られた。

天狗のコルが近づくと、ぐっと傾斜がきつくなり、足元も浮き石だらけ。

天狗のコルに立つと、西側の展望が一気に開ける。
特に蒲田川をはさんで向かい合う、カール(圏谷)を抱き込んだ笠ヶ岳と抜戸岳を拝むには、最高の場所。

天狗のコルから飛騨山脈の主稜線に入る。
鎖などはあるものの、一般登山道のように整備が行き届いているわけではないので、慎重に進む。

ジャンダルムの取付き点。奥穂高岳側から見るよりは、登りやすそう。

ジャンダルム山頂に立ち、奥穂高岳を眺める。

涸沢カールから見上げる緑や紅葉に包まれた姿とも、笠ヶ岳側から見る雪と岩の殿堂といった姿とも違って、岩の塊然としてそこにある。
これから難所「馬ノ背」を越え、あの頂きに立たねばならない。

岳沢から約6時間で奥穂高岳山頂に到着。

奥穂高岳の直下で、南稜ルートを登り切ったB組のメンバーと出会い、一緒に万歳三唱。

岩登りにハイマツ漕が加わり、大変だったとのこと。どうもお疲れさま。

奥穂高岳からの吊尾根の先にそびえる前穂高岳。それに続く鋸の歯のような明神岳の雄姿。
計画では、紀美子平から前穂高岳を往復する予定だったけど、もう時間も体力も使い切って、ジャンダルムを断念したB組と一緒に、直接岳沢に下山することに。

西穂高岳方向の稜線を眺めながら、重太郎新道を一気に岳沢に下る。

予備日だった4日は、ゆったり上高地へ下る。普段なかなかゆっくりすることのない上高地で、ビジターセンターに寄り、周辺の自然などの概要を把握し、帰路に就く。

<ルート図>

B組 フォトレポート 後藤 正雄

雪渓も終わり、シュルンドを越えていよいよ岩稜登りです。
南陵取付。正面ルンゼのルートを選択。昨晩の雨の影響か、岩は濡れ滑りやすい。
登攀準備
乗鞍岳と霞沢岳。ふもとは上高地
ハイマツの藪漕ぎで体力消耗。ようやくスラブ岸壁の基部へ。
僅かなトレースを頼りに再びハイマツの中へ。
トリコニーⅡ峰

ルート図:B班

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