大垣山岳協会

福寿草の藤原岳 2018.03.25

藤原岳

【月例山行】 藤原岳( 1140m △なし ) 小栗敦子

  • 日程:2018年3月25日(日)
  • 参加者:CL竹森せい子、SL丹生統司 他20名
  • 行程:大垣岐建駐車場7:00=聖宝寺登山口8:15-藤原山荘11:10-藤原岳展望台11:35-藤原山荘12:00~13:00-大貝戸下山口14:55=大垣岐建駐車場15:55(解散)

 藤原岳は、鈴鹿山脈の北部に位置し「花の百名山」に選定されている。昨年は雨で中止になった計画だが、今回は好天に恵まれ、絶好の「お花見日和」となった。総勢20名の大パーティの中には、5年ぶりに参加されたという女性会員も加わり、初々しい雰囲気だ。

 コースは聖宝寺道(裏道)から登り、大貝戸道(表道)に下る予定のため、車1台を前もって西藤原小学校前観光駐車場にデポする。登山口である聖宝寺駐車場に全員が揃ったところで、リーダーから「皆さん、取り付きから急登なので、くれぐれも慎重に登ること。ストックは山側に突くように!」と、注意点が伝えられる。八合目付近から先は、雪が解けてかなりぬかるんでいるとの情報を得て、前日長靴を買いに走ったり、スパッツを忘れた人は急遽スーパーの袋で簡易的に足首をくるむなど、皆が「泥んこ」になることを覚悟して出発。

 標識に従いしばらく上ると、堰堤を巻くようにしっかりした階段が整っており、沢水の小さな流れを一足飛びに越えて登山道に取り付く。ゴロゴロした石灰岩の急登をつづら折りに進み、やわらかな春の日差しを浴びてニリンソウやバイケイソウが姿を現した。

 9時半、少しなだらかになった六合目で大休止。杉木立を抜けて七合目の途中で、小さいながらも凛と輝く黄色の福寿草をひとつ発見。高度を上げるにつれて、黄色の花弁がどんどん増えて、福寿草の群落がひろがっていく様子に女性メンバーは歓声を上げる。

 登り進み、オーレンの群落を見つけると同時に10時5分、八合目着。聖宝寺道と大貝戸道の合流点である。冬場はこのあたりでアイゼンを装着すると聞くが、雪解け後のぬかるみもこのところの好天続きで乾いた様子。どうやら「泥んこ」にならずに済みそうだ。

 ゴツゴツした岩場の脇に張られた植生保護ロープに目をやると、セツブンソウが岩の隙間に咲いている。初めて見る小さく愛らしいその花姿に癒されながら、藤原山荘に到着。標高1090mにある避難小屋で、荒涼とした大地がのびやかに広がり、その先に展望台が見える。リーダーから「天狗岩は又次の機会にして、今日は昼休憩をゆっくり取りましょう」という嬉しい指示が出たので、いったん荷物を小屋の横にまとめてデポし、空身で展望台にむかう。

 昼前に標高1140mの藤原岳展望台到着。三角点は無いが、この展望台が事実上の頂上となっており、北に天狗岩、その左手に御池岳がどっしりと見える。にぎわう登山客に配慮して、メンバー20人は小声で控えめに「万歳三唱」。

 再度小屋裏に引き返し、カルスト地形独特のゴロゴロと無数に散らばっている白い奇岩に、めいめいが腰を下ろし12:00からランチタイム。

 そろそろ帰り支度をする頃、小屋前のトイレは一時長蛇の列となった。登山客の多さに天水が不足し、簡易水栓が不具合になったのだ。出発時刻が迫る中、ドアの前で不安そうに並んでいた女性メンバーも、ギリギリ間に合い、予定通り下山開始。陽の陰りと同時に少し花弁を閉じた福寿草に名残惜しみつつ、樹林帯をジグザグにゆっくり下る。八合目合流地を過ぎ、大貝戸下山口の藤原岳登山口休憩所に無事到着。

 私が二十歳の頃、近鉄四日市から三岐鉄道に乗り換え、2度ほどこの山に登ったことがある。頂上一帯は白く輝くススキと、緑の笹のコントラストが美しかった。長い年月を経て荒涼とした大地に姿を変えてしまったことに一抹の侘しさを感じつつ、今日は春の暖かい陽気に恵まれ、福寿草を愛でることができたことに感謝。花の季節の到来に、いつまでも人気のある山であって欲しいと願う一日だった。

<ルート図> [篠立(名古屋9-2)]

コメント