大垣山岳協会

地吹雪の霊仙山 2018.02.03

霊仙山

霊仙山冬山講習 丹生統司

  • 日程:2018年2月3日(日) 曇り後地吹雪
  • 参加者:丹生統、小倉幹、藤井利、竹森せ、柴田悦、林 旬、小栗敦、大谷早
  • 行程:醒ヶ井養鱒場7:40-榑が畑登山口8:55-汗ふき峠9:30-おさる岩11:10-霊仙山頂12:10

 霊仙山で冬山のルートファインディング講習を行ってきた。地形図に最短で計画歩行路を描いて、悪天候でも登頂できる技術を習得する実践講習である。なだらかな山容の霊仙だから出来る講習である。実はこの山行は先週計画したが、集合場所の関ケ原が降雪で車のトラブルを心配して今日に順延した。醒ヶ井の家々の屋根には先週の雪がまだ大量に残されており、案の定養鱒場までしか除雪されておらず、駐車地より1時間15分をかけて榑が畑登山口に到着した。

 公共交通機関を利用していた昔は「皆歩いた」と言ってはみたが、車依存の生活にどっぷり浸かった身には遠く長い林道歩きだった。

 「クマ出没注意」の立て札が、我々が登山を始めた頃は「鈴鹿山脈に熊はいない」が定説だったが。

 雪山の斜面登高は直登を旨とするが理由が幾つかある。①雪山は体力の消耗が激しく一歩でも節約最短距離で登る。②深雪急斜面のトラバースは雪崩を誘発する危険がある。特に降雪後のトラバースは絶対避ける。③蛇行登行は下山時に踏み跡や目印を見失いやすい。

 穏やかに見えた天候だったが、「おさる岩」まで来ると一変し、ホワイトアウトとなった。おさる岩は雪の下だが、「七合目の道標」が覗いていた。これより夏道沿いの踏み跡から外れ、沢を渡り東の霊仙山頂へ突き上げる急な尾根に取付く。高度差約150m、霊仙の広い台地は草木が少ないがこの尾根には樹木が多い。

 赤布の目印地点は出来る限り直線でつながる位置で、樹木があるうちは赤布付けが容易だったが、これがなくなると雪面から僅かに覗いた枝にも赤布をつけた。竹竿を車に置いてきたのは油断だった。

 山頂手前の大きなドリーネ付近で夏道から来た踏み跡に出、先行する登山者を見た。山頂直下ですれ違い声をかけた若者は、林道で我々を軽く抜いて行ったのだが、頂上ではタイム差はなくなっていた。山頂標柱や三角点は間近、目前に迫るまで確認が出来ないくらいの地吹雪であった。前日は春の日和を思わす陽気だったので、最短コースで登ってひと汗かいてビールで乾杯と目論んでいたのだが、実戦さながらの冬山講習となった。強風に頬を叩かれる痛さを体現出来たことも冬山講習としては喜ばしいことかも。

 ホワイトアウトの中で山頂の長居は無用。写真撮影を終えると安全地帯の樹木のある踏み跡の消えない地点で休息をと下山した。しかし樹木のある斜面も山頂から吹き降ろす強風で腰を下ろす場所はなく、五合目の展望台でやっと強風から解放された。

 登山もデジタル化でGPSを使用している人が多い。近頃は携帯電話に機能がついて今日のような天候には有効である。GPSもピッケルやアイゼンと同じ道具と思えばそれを駆使して登山領域が広がればいいことだと思う。今回使用しなかったが私も持っている。「岐阜のⅠ等・Ⅱ等三角点訪問」で広い山頂の笹薮に埋もれた三角点の捜索には大変な効力を発揮した。約2年で165座の点名・三角点が撮影できたのはGPSの近代兵器のおかげである。だがGPSに頼りすぎると登山の持つ探検心がそがれることも事実である。私は登山には感性が重要だと信じているので、それが育つまでは我慢してほしいのだが・・・次はピッケル、アイゼンを使用しての雪山講習を約束して関ケ原で解散した。

<ルート図>

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