大垣山岳協会

岩登り講習会 鈴鹿石水渓 2017.07.02

石水渓

月報「わっぱ」 2017年8月(No.429)

【 岩登り講習会 】 鈴鹿石水渓  大谷 早苗

  • 日程:2017年7月2日(日)
  • 参加者:CL 佐竹良、SL 丹生統 他11名

 登山に岩登りはつきものだから山岳会で岩登り訓練するのは必要なことで、協会でもずっと昔から行っていた。初級コースを赤坂の西壁で、それが使えなくなってからは岐阜の岩戸公園で毎年実施している。20年程前からこの時期に鈴鹿で上級コースを行うようになり、最初は御在所の前尾根だったが平成18年より石水渓で実施しているとのこと。石水渓は鈴鹿山脈の南端、仙ヶ岳の南を流れる安楽川にある。行楽地として付近には研修施設やキャンプ場があるが、私達のゲレンデは東海自然歩道から少し入った鬼ヶ牙の下部にある花崗岩の気持ちの良い岩場。梅雨真っ只中で予定通り実施できるか心配したが、前日の雨天とは打って変わり晴れ間の1日となり講習が始まった。

 駐車地から5分程歩いた岩場に着き各自装具の準備を終えると、リーダーからビレイ無しで下から2~3mの高さまでの登り降りを指示される。その際の注意点として、つま先で登ると滑るため踵を落としフリクションを効かせて登ること、必ず3点支持すること、靴裏が濡れていると滑るので気をつけること等を教えていただき何度も登り降りを繰り返した。その間にリーダーは岩壁に5本のザイルをセットし、ザイルを使って最初の注意点を心しながらトップロープでの確保で登攀の練習を行った。岩棚の到着点では、セルフビレイの仕方や大切さを厳しく教えられたのに、ついセルフビレイ無しでクレムヘイスト結びを外しそうになり注意も受けた。

 降りる時最初は懸垂下降で降りていたが、途中からクライムダウンを行うよう指示された。体を岩から離すこと(降りていく岩の様子が分かる)、手を下の方に着くこと、足を縮めることにより目指すスタンスに足が届きやすくなる、等のコツも教えていただき何度も練習した。1回目より2回目、2回目より3回目と回数を重ねる毎に、恐怖心もほんの少し薄れやる気が出てきた。また、途中からランニングビレイ(中間支点)でカラビナを付け替えて登っていく講習も受けた。話を聞いているときは、「分かった」と思ったのに、いざ自分でやろうとしたら「あれっ、どうするんだった?」と上手く出来ず頭が真っ白に。やはり自分で実際にやってみないとできないことを実感し、練習の重要性を再認識した。

 経験の浅い者は傾斜65°位の岩壁で練習したが諸先輩方は左側の傾斜70~80°の高度な花崗岩の岩場を登っているのを見て「凄いなー」と感心し、何時かは私も登れるようになりたいと強く思った。(編者註:大谷さんはそう感じたと思うが、70~80°だとほとんど垂壁でフリーでは登れない。丹生理事長に訊いたら、大谷さんの登った壁は45°位。上級の壁でも一部60°程はあるが平均斜度は50°位かなぁ、とのことであった。)
10:30に大休止で昼食。昼食後は中間テラスから更に上部へ1人ずつ登った。登るときは恐怖心があったが、上に着くと山間を抜ける新名神高速道路や麓の街並みも見え、高い所からの景色に感動し思わず「うわー」と声が出てしまった。最後は上部から下までの長い距離を懸垂下降でおり講習を終えた。

 リーダーから「利き手の右手でロープを繰るな! 右に寄りすぎ!」等と大声で注意を受けたが、長い距離の懸垂下降の気持ち良さといったら言葉にできないくらい素晴らしいものだった。私は4月に行われた岩戸での講習会に参加したが鈴鹿での講習は初めてで、クレムヘイスト結びさえも忘れていて不安いっぱいで始まった講習だった。しかし、今回の参加者はほとんどが熟達者でその登りにも刺激を受け、準備してくださった5本のザイルを全て使い何度も練習ができたことでとても充実した1日を過ごし、岩登りの楽しさも味わうことができた。しかし、危険を伴うことも肝に命じこれからも挑戦していきたい。

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