大垣山岳協会

金糞岳北尾根縦走 2016.03.05-06

金糞岳

月報「わっぱ」 2016年4月(No.413)

【 初級冬山縦走 】 金糞岳 ( 1317m △なし ) 後藤 正雄

  • 日程:2016年3月5日(土) ~ 6日(日)
  • 参加者:L.大橋辰、丹生統、竹森せ、小林和、大塚花、林旬子、後藤正
  • 行程:
    • 5日(土) 岐建荒尾駐車場6:15=道の駅「ふじはし」7:00=鳥越林道殿又谷出合駐車地7:40~55-殿又谷林道終点8:45-1039m峰主稜線10:15-1277m点名川上11:50-金糞岳12:00~35-1039m峰14:00-林道終点14:50-駐車地15:20~40=16:00川上夜叉龍神社(テント泊) 
    • 6日(日) テント泊地7:00=岐建駐車場8:10
  • 地理院地図 2.5万図:近江川合

 美濃・近江の県境稜線にある名峰、金糞岳への1泊縦走。当初は初日に1039m峰でテント泊し、翌日に登頂、下山する計画であった。藤橋へと向かう車中、雨がぽつぽつとフロントガラスを濡らし、時折は本降り。道の駅ふじはしで全員集合し、行程計画について話し合う。天候は下り坂で、日曜日は雨と強風の予報。結局、テント装備は駐車地にデポし、機動力を確保した上で、日帰り登頂を目指すことにした。

 浅又川沿いの鳥越林道を進み、除雪の終点地であった殿又谷出合に駐車した。雨はあがっているものの、合羽を着てザックカバーを取り付ける。雪ならまだしも春の雨は本当にいやらしい。殿又谷の林道のゲート脇を越え出発。林道には20㎝ほどの積雪。ここ数日の春の陽気でべた雪ではあるが輪かんを付ける程でもない。

林道歩き

 林道の終点から急登だ。藪もうるさく簡単には登らせてくれない。残雪期のくされ雪。すぐに踏み抜く。一度踏み抜くと膝下まで埋まり、体力を使う。先頭の大橋さんの苦労振りが分る。左右切り立ったやせ尾根もあり慎重に登る。主稜線に上がると、藪も薄くなり雪原となる。当初テント設営予定の1039m峰にはガスがかかり、幻想的な雰囲気だった。

先が見通せない(1090m付近)

 輪かんを装着し、小林さんを先頭になだらかな雪原を南下。全体的に雪はあまり積もっていない。本来だとこの時期一面雪原だろうが、結構藪が出ている。そのため、途中の木々に赤布を取り付けていくことができ、旗竿も不要だった。雨はすっかりあがり、わずかに青空はみえるものの、全体としてガス模様だ。金糞岳の山頂もはっきりしない。例年だと大きな雪庇を見る稜線のようだが、ほとんど出ていない。藪をさけながらアップダウンを繰り返しながら点名川上(4等)のピークまで進む。あともう少し。振り返ると遅れる人もなく、みんな好調だった。

 金糞岳山頂は広く、視界を遮るものはないものの、ガスにまかれて眺望ゼロ。木にぶら下がった山頂プレートの前で万歳三唱の後、風をよけるため一段降りた所で大休止。

金糞岳山頂
登頂万歳!

 風もなく暖かいとはいえ、じっとしていると体が冷える。30分ほどで休憩を切り上げ下山開始。青空も見え、白倉岳への縦走路もはっきり見える。

白倉岳
足取り軽く下りていく
1277m峰と1211m峰の鞍部にて
1211m峰の手前で
下山時の登り返しはしんどい
身がよじれる!

 ブナの木の幹に古いものから最近のものまで熊の爪跡が刻まれていた。見上げると枝が折られた熊棚が見える。どうやら熊が上り下りした跡だ。この木は細いがすぐそばに太く枝ぶりがよい木も多い。太いほうがずっと休憩するには良いと思うのだが、熊の選択眼はよくわからない。

熊の爪跡
熊棚

 なだらかな斜面が続く。下調べの際、八草峠から金糞岳への山スキーの記録を読んだ。なるほど、滑るにはちょうど良い斜面が続いている。ただ、藪がかなりうるさく、スキー滑走は私の腕前では無理かなと思う。主稜から枝尾根の急斜面を降りる。枯れ葉や木々の根の上に緩んだ雪が載っており非常に滑りやすい。しかも左右切り立ったやせ尾根。輪かんの爪をきかせながら慎重に降りた。

 今回はピッケルを車に置いてきたが、やはりあったほうが安心だったと反省する。林道をショートカットしながら進み駐車地まで戻った。想定時間よりも少し早い7時間超の冬山登山だった。せっかくのテント泊の準備は場所を川上夜叉龍神社に移し、生かされた。深夜に強風が吹き何度か目を覚ます。これが山上でなくてよかった。

<ルート図>

ルート

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