大垣山岳協会

個人山行 前穂高岳北尾根~奧穂高岳 2014.10.03-05

前穂高岳

前穂高岳( 3090m Ⅰ△ )、奧穂高岳 ( 3190m △なし ) 竹森 せい子

  • 日程:2014年10月3日(金) ~ 5日(日)
  • 参加者:L.丹生統、平木勤、竹森せ、後藤正
  • 行程:
    10月3日(金) 大垣3:00=アカンダナ駐車場5:45=上高地6:30-徳沢8:30-新村橋8:45-奥又白・パノラマコース分岐9:45-奥又白池12:00(テント泊)
    10月4日(土) 奥又白池6:00-五・六のコル8:00-三・四のコル10:40-前穂高岳13:50-紀美子平14:50-奥穂高岳16:50-穂高岳山荘17:30-涸沢19:30(テント泊)
    10月5日(日) 涸沢8:00-本谷橋9:00-横尾10:00-上高地13:20
  • 地理院地図 2.5万図:穂高岳

 涸沢の紅葉を生で見てみたい、と思っていたところへ声がかかった。だが、計画は奥又白池から前穂北尾根経由・前穂高岳~奥穂高岳、そして最後に涸沢の紅葉という内容。重いザックを背に岩稜を登れるのか不安だったが、リーダーと自分の技術・体力を信じて参加を決めた。

 上高地は多くの登山者で賑わっていたが、左岸水平道を進み新村橋を渡るのは私達だけだった。パノラマコースの分岐から右尾根上の中畠新道に入る。急登の連続を木の根や岩をつかみ腕力で強引に登る。

 立ち休憩をしながら左右を見れば残雪と岩壁を彩どる木々の紅葉が美しい。ガスが濃くなり雨粒が落ちて来た。北尾根の五・六のコルへの分岐を確認して左上すると、ナナカマドの紅葉に包まれた奥又白池に出た。2000m以上の山の上にこのような大きな池があることに驚く。池の畔には先着のテントが一張りあった。少し離れた位置に二張りを設営した。急登と重いザックにどっと疲れが出た。テントに入ると30分ほど眠ってしまった。

 4日早朝、テントを出ると満天の星空。テント撤収の頃には前穂高東壁が湖面に美しく映えた。ハーネス・ヘルメットを付けて五・六のコルを目指し出発。踏み跡と所々に残された目印を頼りに一旦下ってから奥又白本谷に入る。不安定なガレ場に気が抜けない。やっと尾根筋に出て振り返れば、中央アから南ア・八ヶ岳・富士山までもが遠くに見渡せた。

 五・六のコルで休息。北尾根正面を見る(写真①)と五峰をアンザイレンして登る先行パーティーが見えた。私たちはザイルがいつでも使えるようにして少し間を置いて出発。五峰は岩稜を登ってピークを涸沢側に巻いて鞍部に出た。先行パーティーは2組4名だった。

写真①

 四峰も厳しい登りだったがザイルは出さず。ここで先行するパーティーを抜く。四峰から見える本峰には沢山の人の姿が見える。まだまだ近くて遠い。三・四のコルを吹き抜ける風は強く寒くて上着を着た。いよいよ北尾根核心部である三峰フェースだ。オーバーハングのように見える壁を平木君のビレイで丹生リーダーが登って行く。

 上部の岩で姿が見えなくなって暫くして「OK」の声。セカンドの私はタイブロックを使い登り始める。ホールド・スタンスはしっかりあるが高度感が今までの経験と全然違うほどの威圧感。次のピッチも丹生さんは重いザッックを背に軽々と登って行く。30mザイル一杯まで延びる。私も全身をフルに使い登る(写真②)。チムニーを越えて少し広いところに出た。次は奥又白側の溝になった岩壁を上がる。三峰の頭を乗越す岩上でVサインの写真を撮る余裕も出て来た。

写真②

 二峰のピークには懸垂下降のための残置スリングが何本も束になっていた。ザイルにATCをセットして7~8mの垂壁を下降。涸沢側の岩を慎重に越して稜線を辿り前穂高岳頂上に着いた。広い山頂に誰もいない。私達4人で独占だ。一等三角点にタッチして互いの健闘を称え万歳三唱。山頂は360度の大パノラマ、先日噴火した御嶽山の噴煙が風に流されていた。灰の下に眠っている人が一日も早く家族のもとに帰れるように祈った。

 休憩の後に奥穂を目指し歩きだす。紀美子平から吊り尾根をトラバースして行く。長い行程だが登山道があるのは心強い。上高地側に足元から広がる岳沢カールの黄葉が美しかった。奥穂高岳のケルンには初めての平木君だけが登った。後藤君と私はヘトヘト……。この時間では白出のコルでテントを張るしかないよね、と話しながら下る。岩場の梯子を下りて穂高岳山荘に着いた頃、美しいアーベントロート(夕焼け)に明日の晴天を祈った。生憎、天気予報は雨らしい。

 ヘッドランプを点灯し涸沢までザイテングラードを下ることになった。暗闇の中、時々現れるペイントを頼りにして下降した。やがて色とりどりのテントの灯りが見えだし涸沢小屋に到着。今日一日の健闘を祝して生ビールで乾杯!時間が遅いので見つけたテント場は石がゴロゴロしていたが二張り並んで張れるのはここだけと観念して設営した。周りはすでに就寝中のテントもある、声を殺して今日の労をねぎらった。

 5日朝6時に起きて外に出ると周りのテントがすっかりなくなっていた。待望の紅葉は美しく燃え、やがて来る白い季節を前に盛秋を謳歌しているようだ。歩き出すと予報通り雨が追って来た。雨の中を下から登って来る人の多さに驚く。疲れた身体に鞭打って歩を進める。河童橋のたもとで、ご褒美のソフトクリームを4人で頬張った。

<ルート図>

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