大垣山岳協会

平成26年度総会・激励会報告 2014.01.26

TOPICS・随想・コラム

月報「わっぱ」 2014年2月(No.387)

平成26年度 定時総会・激励会報告

 曇り空が広がる1月26日(日)、新年度総会と激励会が大垣フォーラムホテルで51人の会メンバーが参加して開かれた。

 初めに、体調不良の高木泰夫会長に代わって村田正春副会長が開会のあいさつ。その論点の一つは高齢化による会員数減少問題。大垣山岳協会は発足56年を迎えるが、かつての青年は今や高齢者、後期高齢者となり、退会者が増えている。若い人に入会してもらう工夫や提言をお願いしたい、と要請。もう一つは遭難事故対策だ。幸い、協会は遭難事故を一度も起こしていないが、会員高齢化は遭難危険度を高めている。常に安全登山に徹するよう心がけて欲しい、と呼びかけた。

 続いて議事に移り、25年度事業報告、決算報告を承認し、26年度の事業計画案、予算案、役員人事案を原案通り可決した。

 議事終了後、恒例の新年記念講演会に移った。講師は岐阜県警高山署奥飛騨交番の谷口光洋警部補。県警の山岳警備隊小隊長でもある。40年近く、北アルプスや白山山系での遭難救助活動をリードしてきた。演題は「私の携わった幾多の遭難救助」(写真①)。遭難現場での救助活動の実態や技術を述べるとともに、遭難防止に付いての助言や忠告をいただいた。

写真① 講演 谷口 光洋 氏

 講演会後、隣の広間に会場を移して激励会に入った。まず、来賓の小川敏大垣市長と猫田孝岐阜県議(当会顧問)から祝辞を受けた後、前年の登山活動に高い実績を収めた次の皆さんを表彰した。

  • 特別功労賞:村田正春(2000年から昨年12月まで13年余、週日山行を立案、リーダーを務め、新しい山行形態の普及に功績を残した。山行回数は126回、登頂山座数は189に達した)
  • 協会主催山行最多参加者:竹森せい子
  • 月例山行最多参加者:丹生統司、大城幸子
  • 美濃百山完登者:後藤友子、古林定、大橋辰雄、大塚花江
  • 個人最多登山数:馬場昭宣

 さらに7つのテーブルに分れて杯を交わしながら語り合う。次第に他のテーブルにも出かける人が増え、総ぐるみの宴会風景となった。

 最後に全員で雪山賛歌など山歌を声を張り上げて歌い、散会した。

谷口光洋さんの講演要旨

 私の活動拠点は飛騨地方ですが、伊吹山や揖斐川水系の山にも遭難救助の応援に来たことがある。その際、「美濃の山」3部作は参考にさせてもらったので協会のことはよく知っている。

 私たちの山での活動は陰の部分でもあり、実際の活動は分かりにくいと思う。そこで、私たちの救助活動の現場を取材した民放のテレビ録画を見てもらいたい。

《テレビ録画では錫杖岳岩壁で滑落して負傷した女性を岩場から救助したケースが紹介された。ここで、威力を発揮したのが、谷口さんたちが考案、実用化したレスキューハーネスだ。負傷者を担ぎ運ぶための装備で、担がれる人、担ぐ人の双方にとって負担軽減、つまり楽に早く移動できるように工夫したもの。業者と共同開発して今では各地の救助組織に採用されている》

 私は地元の高校時代から登山をしていたが、登山中のあるとき、遭難救助の現場に遭遇した。隊員たちの姿を見てこんな仕事をやってみたいと思った。

 昭和51年に警察官となり、すぐ遭難救助の現場に就いた。以後、滝谷や錫杖岳の大半の岩場コースを登り登攀技術を磨いた。

 昭和57年に県警にも救助用のヘリコプター1機が導入された。ただ、ヘリによる救助の技術は手探りであったので、先進地のフランスやスイスに赴き現場で勉強したこともあった。そこで学んだのは、救助装備は自分たちに合うようにどんどん改良、考案するという姿勢だった。それがレスキューハーネスの工夫につながった。また、ものすごいトレーニングに驚いた。

 数々の救助現場を体験してきたが、つらい深刻な思いが消えないのは09年(平成21)9月に奧穂高岳近くで起きた岐阜県の防災ヘリの墜落事故だ。登山者(死亡)の救助活動でホバリング中、ローターが岩壁に接触し墜落。操縦士ら3人が死亡した。私たちが、現場に着いたとき、まだヘリが燃えていた。散乱する遺体を収容して、早く家族のもとにその日の内に返そうと、最大限頑張った。どんな立派なヘリでも運用を誤ると大変なことになる。以来、私たちもヘリ訓練に精を出して同種事故を起こさないように心がけている。

 ヘリからの遭難者の発見は難しい。私たちはヘリの窓にピタッと額を付けて必死に地上を見つけ続ける。自分がここで見逃すと一人の生命が失われる。そういう思いで、す。絶対に見落としはできません。


平成25年度山行集計 ( 犬飼進調べ )

●協会山行登頂山座数

1竹森 せい子36
2大城 幸子31
3桐山 美代子30
4小倉 繁雄29
5丹生 統司27
6佐竹 良彦26
6米山 多津子26
8後藤 正雄25

●月例山行参加回数

1丹生 統司11
1大城 幸子11
3小倉 繁雄 9
3米山 多津子9

●個人最多登山数

1馬場 昭宣116
2小倉 繁雄73
3竹森 せい子48
3大城 幸子42
5大杉 すみゑ39

●年間総登山:1615座

●難易度別協会主催山行参加人数
   ★494
  ★★178 
★★★168

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