大垣山岳協会

杉倉 2012.11.04

杉倉

月報「わっぱ」 2012年12月(No.373)

【 一般山行 】 杉倉 ( 1281.6m Ⅲ△ ) 伊藤 正規

  • 日程:2012年11月4日(日)
  • 参加者:L.古林定、佐竹良、鈴木正、後藤友、衣斐剛、大橋辰、清水浩、北川洋、林旬子、後藤正、伊藤正
  • 行程:大垣5:30=樽見駅駐車場6:30=下大須=白谷堰堤碑前駐車地8:00-尾根取り付点8:55~9:05-杉倉三角点(写真)11:35~12:25-駐車地14:35=能郷=大垣
  • 地理院地図 2.5万図:冠山・能郷白山

 オリオン座がまだ西の空に輝く早暁に大垣を出発。温見峠を越える頃にはすっかり朝日が上がり、紅葉真っ盛りの峠周辺のブナ林を黄金色に輝かせ、難関の杉倉登頂への意欲を高めてくれる。

 『白谷堰堤』と書かれた石碑の前に駐車、広い白谷の川原に伸びる林道跡を歩き出す。ゆるい流れだが、3・4回渡渉した。私は大事を取って沢靴をはいたが、登山靴の仲間もいて足を濡らす人もいた。

 巨大なコンクリート堰堤を3つ越え、標高840m辺りで杉倉から東に伸びる尾根の末端に取り付く。しばらく急登すると、そこは黄葉のピーク。ブナやミズナラの葉の黄色の世界だった。自然に足取りをゆるめて木々の最後に放つ輝きを目に焼き付けた。ふり返ると樹間から能郷白山の山頂部が樹氷で白く化粧している姿を見られた。

 山頂の丘陵部までの尾根は、思っていたほどヤブや雑木がうるさくなく意外だった。でも、私は最後尾だった。先頭部を行く人たちが鉈やノコギリを振り切り開いてくれたおかげでしょうか。

 標高1250mを越し山頂部に出ると想像通りの背丈を越す激ヤブが現われた。木に上がって見渡すが三角点がある高みはさっぱり不明だ。「おーい」と大声をあげると、遠くヤブの向こうから「ヤッホー」と微かな声。どうやら単独で白谷の一つ下流の支流、杉ヶ谷を遡行し先に三角点に到着した平木さんらしい。我々にとってはまるで天使の声だ。「おーい」「こっちだ」を繰り返し、導かれてヤブを漕ぎ進み三角点に達した。ネマガリダケの密集の中なので、眺望はゼロ。三角点の周りをわずかに刈り払ってにぎやかに昼食。

杉倉 山頂三角点

 帰路は付けてきた赤布を回収しながら、まるで登山道のように踏み跡のついた尾根を早足で下った。この山行は前週の10月28日の予定だったが、悪天候で中止となりこの日に変更になった。紅葉全開の山行を実現させてくれた気象の神さまに感謝したい。

 もう一度ここを訪れる機会があるのなら、岐阜県側徳山の扇谷を詰め上がって見たいものだ。徳山ダム湖の出現で水没した林道の接続路の工事が間もなく完了するらしいと山行の仲間から聞いた。

<編集者注>
 杉倉の山名は、この山域に以前広がっていた天然スギの美林から付いた旧徳山村側の呼称だったようだ。ある同村櫨原出身者は「スギの原生林、それも株立ちした巨樹をたくさん見た。それは見事だった」と言う。50年ほど前から、地上権を得た大手林業会社が大規模に伐採搬出した。この事業で、天然スギは消えたのであろう。

 一方、福井県側ではこの山を「杉谷山」と呼んでいたらしい。「福井の山150」の著者、増永迪男氏もそれを採用している。いずれにしても、スギの美林の存在から付いた名であろう。

<ルート図>

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