月報「わっぱ」 2012年8月(No.369)
【 一般山行 】 南木曽岳 ( 1676.3m Ⅱ△ ) 鈴木 正昭
- 日程:2012年7月29日(日)
- 参加者: 鈴木正、安藤正、久世勝、桐山美、大城幸、米山多、田中善、山田哲、佐久間俊、小川弥、福元茂、杉野一、阪井俊、岡本雅
- 行程:大垣5:25=大垣IC=中津川IC=国道19号=南木曽駅前=上の原登山口駐車場7:25~40-第2鉄塔8:25-8:50三角石-巨樹の森入り口9:45-蘭コース分岐(避難小屋)12:10~25-南木曽岳三角点12:35-展望台1:00~30-巨樹の森入り口2:55-第2鉄塔3:50-4:20駐車場
- 地理院地図 2.5万図:三留野・南木曽岳
平地で熱中症被害が続発する最中の山行。なにより、暑さ対策が気がかりだった。十分な水分を持っているかを確認、少な目の人は立ち寄った恵那峡SAで補給した。
民家が点在する田園にある駐車場を出て、標高差1150mの南木曽岳を目指す。白い雲が広がる空模様はかえって好都合だ。少しの間、道をふさぐササで足をぬらした後、ヒノキ林の中に入った。林内は微風がそよぎ、思ったより涼しい。
送電第2鉄塔を過ぎると南木曽国有林となる。ただ、北側は依然としてヒノキの人工林が続くが、南側斜面にはカエデ類やミズナラの広葉樹の緑が広がっていた。ゆるやかな尾根をゆっくりと登る。時折、南の谷から薫風が流れ、ほてる身体を冷やす。
1152mの主稜線に出ると、「巨樹の森の入り口」の看板があった。脇に枯れ朽ちた大木の幹が立つ。巨樹の精神を代表する古老のようだ。私は26年前の秋、このコースを歩いた。それ以来、もう一度この原生林の姿をみとどけたかった。歩き出すと、「樹齢400年、幹回り4m」の看板のあるミズナラの大木があった(写真①)。モミ、コメツガ、イチイなどの針葉樹の大木も交じる。ただ、26年前に登山道をふさぎ、乗り越しに難儀した巨大な倒木には切り込みが付けられ歩きやすくなった。倒木や地表を覆っていた濃緑のコケのじゅうたんはかなり薄くなった印象だ。
高度1400m付近で巨樹は消え、若いブナや大きなモミ中心となる。南側からの蘭コース分岐にある避難小屋に着いたのは、予定より幾分遅れた昼過ぎであった。結構な標高差に加えて、やはり暑さがこたえたのか。遅れる人が幾人かでた。みんなそろうのを待って、山頂に向う。
木立に囲まれた三角点前広場で登頂万歳を済ませた後、小屋近くの展望台広場で昼食のひととき。立派な山名看板を見ると、中央アルプス全山と御岳が一望できる絶好の眺望ポイントであることが分かるが、ガスに阻まれ何も見えなかった。下山はみな順調に下り、猛暑の下界に戻った。
同じコースの登山者は一人だけという静かな原生林散策の山旅だった。標高1400m辺りで巨樹は少なくなり、ブナやモミの若木が並び立つ樹林となる。各所に古い木の切り株が見られた。この尾根筋でも出材の履歴があったのか。後で木曽森林管理署南木曽支所に聞く。そうではなく、安全のため風倒木を伐採した跡だという。支所によると、南木曽岳西面、歩いてきた登山道の西南側の上部670㌶は南木曽国有林の中でも保護林に位置づけている。尾張藩政時代、戦前の帝室御料林時代から人手が入っていない。すべて天然更新に任せ、自然のままに保護する方針という。そうであって欲しいのだが、原生の森は前回山行の記憶に比べ、手つかず感、あるいは原始性が薄れた印象であった。
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