大垣山岳協会

山中雑記 クマ棚

月報「わっぱ」 2012年5月(No.366)

クマ棚 鈴木 正昭

 「山書巡歴」のコラムに合わせた訳ではないが、この4月に小白山に登った時に数個のクマ棚を見た。標高1300m付近の雪尾根に立つミズナラあるいはブナの木の幹の分岐の上に枯れた枝葉の大きな束が載っていた(写真①)。

 米田氏の本には、クマは木の実を食べる時、太い木の枝に座り実の付いた枝を手繰り寄せてへし折り、食べ終わった枝を自分の尻に敷くので鳥の巣状のベッドができる、とある。その枝の折れ口が幾つも空に突き出ていた。私は2011年秋に木曽・大桑村の殿(点名)南西尾根上(約1400m)でもクマ棚を見た。ただ、いずれの場合でも、クマが座ったと思われる枝は「太い」とは言い難く、意外に細めだった。子グマだったのか、やせクマだったのか。座ったら枝がしなり、サーカスのような曲芸をしながらの食事だったようだ。クマ棚の主たる狙いは採食目的であるが、そのまま寝こむこともあるそうだ。

 旧徳山村では「エンザ」または「イズミ」と呼んだという。小白山の麓、石徹白の人々がどう呼んでいたのか、知りたい。

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