大垣山岳協会

御嶽山冬山技術講習会 2011.12.10-11

御嶽山

月報「わっぱ」 2012年1月(No.362)

【 冬山技術講習会 】 御嶽山(濁河コース) ( 3063m (Ⅰ△)) 平木 勤

  • 日程:2011年12月10日(土)~ 11日(日)
  • 参加者:佐竹良、久世勝、後藤友、竹森せ、柴田悦、杉本眞、藤森ふ、大橋勉、北川洋、後藤正、酒井康、杉本誠、林旬子、平木勤
  • 行程:
    • 12月10日(土)  大垣4:00=濁河温泉8:10~9:00-お助け水テント場12:50
    • 12月11日(日)  テント場7:30-飛騨山頂9:00~9:20-テント場10:00~11:20-濁
      河温泉12:50=大垣
  • 地理院地図 2.5万図:御嶽山・胡桃島

12月10日(土)

 今回の冬山技術講習会は今までになく多くの参加者があり、にぎやかになった。特に新人の参加が目立ち頼もしさを感じた。

 今年は雪が降るのが遅く心配していたが小坂から濁河温泉までの道中では路面が白くなっており期待が持てた。濁河温泉では10センチ前後の積雪だった。

 久し振りに踏みしめる雪の感触を味わいながら草木谷沿いの登山道を歩いていく。途中、豪快に落ちる仙人滝が見えた。

 仙人橋を渡ると登山道は急登となり、テント泊の荷物の重みをずっしりと感じながらの歩行となる。しかし積雪量は少なく、トレースがつけられているため歩きやすい。

 今回の山行中には幾つかのパーティに出会った。中には我々と同じように技術訓練の為に登ってきているパーティーもあった。スキー場の雪不足で御岳ロープウェイやおんたけ2240のゴンドラが動かないので、飛騨側に集中したようだ。3年前の同じ濁河コースでの冬山講習会の時にテント場にしたのぞき岩避難小屋の周辺も積雪が少ない。さらに進むと標高2450mのお助け水に着く。平坦な地形はテン場に良さそうだが、6人テント2張りと4人テント1張りを張るには少し狭い。適地を探して森林限界あたりまで登ったが結局見つからず、この場をテント場に決めた。樹林帯の中なので、強風を避けられる利点もある。ただ、雪量が少ないため雪をかき集めて整地するのに手こずった。しかし力を合わせて、安定性の高いテント3張りを設営することができた。

 テント設営に思わぬ時間がかかったため、この日の訓練は中止。楽しい歓談の時間となった。新人には設営の難しさとテント生活の楽しさを知るよい機会になった。

12月11日(日)

 時折強く吹く風がテントの外張りを打ち天候が危ぶまれたが朝を迎えると風もおさまり、行動には支障はなさそう。それぞれのテントで朝食を終え出発。雪量が少なく、ワカンは置いていく。森林限界を越えても雪は少なく、ハイマツが緑の葉を露出させていた。夏道がはっきり分かり、訓練としては物足りなかった。

 ガスの切れ間から御嶽の裾が見え天候の回復を期待したが、高度を上げると強風と濃霧の世界。寒気は強まり、むき出しの頬が痛い。上部に至ると登山道はクラスト。アイゼンを装着するかどうか迷ったが、そのまま進むとほどなく五の池小屋(飛騨頂上小屋)に辿り着いた。

11日、森林限界を抜けて飛騨山頂に向かう

 小屋付近は冷たい烈風が吹き抜けていた。ピッケルに氷が張り付きはじめ、睫毛が凍り付いた。アイゼンを装着して付近を歩く訓練を始めたが、条件が悪すぎて効果は期待できない。リーダーの判断で間もなく打ち切った。

 下降はテント場までアイゼン歩行。途中アイゼンがはずれてしまう人もいて、本番に向けていい経験になった。

 テント撤収後に簡単に滑落停止についての講習が行われた。通常、急な雪面を利用して練習するのだが、今回は雪不足のため身体を反転する動作の確認だけになった。全員が薄い雪面で基本体形を繰り返した。

 訓練機会がやや少なかったのは残念だったが、冬山でのテント生活や厳冬期の厳しさを体感できた点は今後に生かせるものと思う。

<ルート図>

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